競売物件は儲かるのか!?実際に入札して試してみました!

 

競売物件投資を決めた背景

市場価格よりもだいぶ安く買えると言われている競売物件。以前から不動産投資を検討はしていたものの、なかなか納得のいく賃貸利回りの物件が見つからなかった私にとっては好条件に映り、競売物件を検討し始めました! 

もともと東京都内のワンルーム投資に興味を持っていたのですが、近年、物件価格がかなり上昇しているものの、賃料はインフレしていないため、賃貸利回りが大分低くなっていました。リーマンショック当時から物件価格は34割は上昇している物件が多く、リーマンショック当時投資していれば実質賃貸利回りベースで4-5%くらい期待できた物件が、それから築年数を10年以上プラスしているのにも関わらず、実質利回りが3%を切る水準で売りに出されており、全く魅力を感じらない状態です。

 人口が減少に転じており、かつ経済も長年停滞している日本において、今後も不動産価格が上昇し続けると見込むのも楽観的過ぎるのかなーと考えており、物件の残存年数で投資額に見合った賃貸利回りが稼げることを条件にして探していましたが、そんな中古物件は現れず。。。むしろ現時点の空室率5%が今後3040年続く想定で収益予測を立てているエージェントが都合の良さにうんざりしていました。これから人口が減ってかつ築年数がどんどん古くなる物件がなんで今の空室率を維持できるのか理解できません。

 それでも不労所得には強い興味があったので、利回りにこだわり続けて色々検索していたところ、競売物件にたどり着きました! そして、なんとラッキーなことに以前投資を検討していたマンションが競売になっているではありませんか!! これは運命だと思い、入念なリサーチをした上で、入札してみました!今回は競売物件入札の体験について共有させていただきます!

 

そもそも競売物件は大丈夫なのか?

住みたい物件を見つけたとはいえ、競売物件と聞くとちょっと手を出しにくい印象を受けますよね?質の悪い人が住んでいたらどうしよう、その場合、退去してもらえるのか?とか、物件がボロボロで多額のリフォームが必要になったり、何らかの瑕疵があったら自己責任だとか、いくつもの懸念点が浮かびますよねー。一番気になる2点について解説します。

物件に瑕疵があったらどうするか:競売物件はいったん買ってしまったら返品/返金できないと思ってください。そのため、裁判所が提供してくれる資料である3点セット(後ほど説明)をしっかり見ること、もし前所有者に連絡が取れる場合は物件のコンディションについての話を聞く、あるいは物件を実際に見せてもらうことで、最大限リスクを軽減することが賢明です。

住居者がいたらどうするか:住居者に対して立ち退き要求ができ、6ヶ月間の明け渡し猶予期間内に立ち退かなければなりません。もし6か月を過ぎても立ち退かない場合は、強制立ち退きを執行することができるとのことです。実際に立ち退きとなると債務者への負担が大きいので、できる限り誰も住んでいない競売物件を買いたいところですよね。これも3点セットで確認できます!

上記の通り、普通に不動産エージェントから物件を買うより手間もかかるし、リスクもありますが、それを苦なくできる人には安く物件を仕入れる良い手段になりえますね。

入札した競売物件情報

それでは早速入札した物件情報を共有します!

    • 物件名:LA PRYLE新横浜
    • 築年:2005
    • アクセス:新横浜駅徒歩7分。菊名駅徒歩14
    • 階:6
    • 間取り:1LDK
    • 広さ:38平米

裁判所が3点セットと呼ばれている1) 物件明細書、2) 現況調査報告書、3) 評価書というものを作成してくれ、ネット上で閲覧可能です。残念ながら3点セットは転載、転用が禁じられているのでご自身で以下のサイトをご覧になってください!気になる物件をを選んで、3点セットをダウンロードというボタンを押せば入手できます。現在競売にかかっている物件のみ、三点セットが閲覧可能になっております。

http://bit.sikkou.jp/app/top/pt001/h01/

3点セットによると以下のことがわかりました:

    • 物件のコンディションは良好(資料に物件の写真4枚あり)
    • 住居者なし(前所有者は退去済み)
    • 前所有者の置物なし
    • 滞納金が管理費、修繕費、駐車場代含めて10万円弱

上記の通り、競売物件とはいえコンディション良好で、滞納金は10万円、住居者なしで即入居可能となると、普通の中古マンションを購入するのとほぼ同じですよね! エージェントを通して買うと、物件価格に対して3%の手数料を取られるので、その分こっちを買った方がお得になります!

一点気を付けなければならないのが、3点セットにある写真だけでは水回りや機器周りがちゃんと機能するかが記載がないので、その部分は事前に情報がない中で判断をしなければなりません。この物件の場合、2005年築の築浅だったので気にせずに入札しましたー。

競売物件の入札額の決め方

肝心な入札金額の算出根拠ですが、事前リサーチにより以下の情報がわかりました:

    • 売却基準価額: 1,358万円
    • 入札可能最低価格:1,086万円
    • 同じマンション&同じ間取り物件の現在の売出価格:2,350万円
    • 同じマンション&同じ間取り競売物件の過去落札価格(3年前):1,950万円
    • 同じマンション&同じ間取り想定賃料:10.5万円(共益費込み)

 一番上の売却基準額とは鑑定評価が参考にされる裁判所がつける価格で、市場価格よりだいぶ安くなっています。

現在の市場価格を調べたところ、同じマンションの同じ間取りの物件が2,350万で売りに出されていました。また、3年前に同じマンションのこれまた同じ間取りの物件が競売にかかって1,950万で落札されていたので、1,950/2,350=83%、競売物件は市場価格よりも17%割安で落札されたということになりますね! 果たしてこれが競売物件の相場なのかはわかりませんが、目安として使えますね。

競売物件の入札は一度しかできず、同時にリアルタイムで他者の入札金額がわからないので、セリでどんどん値段が吊り上がる原理が働きません。私はこれを安く買えるチャンス?と捉えました。仮に競売物件の入札がリアルタイムのセリだった場合は、一番高く出したい人/出せる人が必ず勝つ仕組みになりますので、ほんの少しでも物件を安く仕入れられれば良いという不動産会社が個人には到底採算が合わない水準でセリあうことが容易に想像つきますが、お互いがいくらで入札したかわからないとなると、みんな欲を出して大分低い金額で入札するのではと都合よく解釈しました!

元々実現したかった実質利回り5%が取れるように入札金額を逆算すると、1,411万になりましたので、14,112,222円で入札書を提出をしました。3年前の1,950万円からするとだいぶ安いですが、そこまで払ってまでこの物件をほしくなかったですし、今回は運に賭けてみることにしました!

 

競売物件の入札の手続き

入札するには、以下の4点を裁判所に提出しなければなりません。

入札書:競売物件を管轄している裁判所に取りに行くか郵送で送ってもらうかの2通りあります。私は初めてだったので、横浜地方裁判所まで取りに行ってきました!立派な建物でしたー。

用紙は以下になります。入札額のけたを間違いないようご注意ください!

 

 暴力団員等に該当しない旨の陳述書:これは用紙に署名するだけで簡単です。

 入札保証金振り込み証明書:金融機関に足を運んで裁判所に保証金を入金すると同時に、証明書を発行してもらわないとなりません。保証金は売却基準価額の20%でして、本ケースでは2,716,000円でした。

もし落札できた場合は戻ってきませんが、落札できなかった場合は返金されます。ご注意いただきたいのが、落札後に物件購入を諦めた場合でも、この保証金は戻ってきません! 本当に欲しい物件なのか、もし入札した場合どうファイナンスするのか目途をつけた上で臨んでください!

 

入札書提出日の前3か月以内に発行された住民票(マイナンバーが記載されていないもの)

 

本当に競売物件を買って大丈夫?入札までにすべき事前リサーチ

以前から投資を考えていたマンションだったとはいえ、初めての入札だったので、可能な限り下調べをしました。3点セットを入念に読んだ以外にも以下を実施しました。

  • 実際にマンションに行ってマンションの立地、日当たり、雰囲気をチェック: もともと内覧に行ったことがある物件だったのですが、改めて足を運んで周辺を散策しました。大通りに面していて、すぐ隣にプリンスホテルと横浜アリーナがあり、プリンスホテルには雑貨、インテリア、レストラン、カフェ、食品スーパーが揃っているペペというショッピングモールが入居しています。プリンスホテルからは羽田空港へのバスが出ており、徒歩7分の新横浜駅からは新幹線に乗れるなど、アクセスは申し分ない物件でした!また雰囲気も、若い人が多く、活気があり魅力を感じました!日当たりはあまり良くないですが、若い人が賃貸する分には問題ないと思いました。

 

  • ピンポンを鳴らして人が住んでいないかチェック: 3点セットには誰も住んでいないと記載されていましたが、念には念を入れて、該当物件を3回日にちを変えてピンポン押しに行きました。案の定誰も出ませんでしたが、もしかしたら居留守を使っているのでは?と思い、隣に住んでいる人にもピンポンを鳴らし聞いてみたところ、住居者いないことが確認できて安心しました!

 

  • マンションの管理人に前所有者について聞く:もし怖い人だったら厄介なので、どんな人か管理人に聞いてみました。360戸あるマンションだったので、部屋番号を言ってもわかるわけないと追い返されました笑。そりゃそうですよね笑。小さなマンションだったら管理人さんに聞くのは有効かもしれませんね。

 

  • 管理会社に電話して前所有者について話を聞く:こちらも同じくわからないし、わかったとしても個人情報は提供できないとの一点張りでした。

 

  • 裁判所に行って前所有者の実名をチェックする:ネットでダウンロードできる3点セットからは前所有者の名前が消されています。しかし、裁判所にある元本では名前が見れます。念のため前所有者の名前をグーグル検索してみて悪い情報が出てこないかチェックしました。何も出てこなかったので一安心でした!

 

競売物件の入札結果発表!

改めてこれまでの情報をまとめますと以下の通りです:

    • 物件市場価格:2,350万円
    • 売却基準価格:1,358万円
    • 3年前の落札価格:1,950万
    • 私の入札金額:1,411万円

もし運が良くて、他に入札者が少なければもしかしたらいけるかなーと少し期待して結果発表日を待っていたのですが、結果は衝撃でした。。。

    • 入札参加者数:18
    • 落札価格:2,356万円
    • 落札者資格:法人

3年前の落札金額どころか、市場価格までも上回る金額での落札でした。。。この金額だと実質利回りはちょうど3%くらいで、都内のワンルームマンションを不動産エージェントからかうのと同じ水準です。 ということで、私の経験においては、競売物件は特段儲からないということがわかりました。いろいろとリサーチをしてみたところ、地方の1戸建て物件を利回り15-20%になる価格で落札するのが、競売物件の一番の狙いどころみたいなことが書かれていたので、本当に儲けたい人はその観点でも検討してみてください!

以下が参考にした本でした!

 

 

Roblox(ロブロックス)株は買うべきか!?

3月10日に時価総額約4兆円で上場したRobloxは、Metaverse(インターネット上に構築される仮想の三次元空間)実現に一番近い会社の1社と言われており、多くの投資家の注目を集めております。そのRobloxについて調べましたので共有させて頂きます!

Roblox(ロブロックス)とは

ゲーム版YouTubeと言われており、誰もがユーザーとしてプラットフォーム上にある無数のゲームを遊べ、そしクリエーターとして無数のジャンルのゲームを作れるオンラインゲームプラットフォームです。スマートフォン、パソコン、IPadで利用が可能です。202011月時点で17000万人のMonthly Active User数がこのプラットフォームを利用しており、202010月で13000万人のMonthly Active userを誇ったMinecraftを既に抜いています!(Source:PCMAG)。

(Source: Roblox SEC Filing)

ユーザーは無料で登録ができ、Robloxプラットフォーム内の大半のゲームが無料で遊べます。ユーザーは友達と一緒にゲームを楽しめ、ゲーム上でメッセージのやり取りが可能になっています。

プラットフォーム上ではRobuxという通貨が使用されています。Robuxは米ドルとの交換比率が決められており、いつでも購入可能です。 ゲーム上の自分であるアバターは、複数のパーツを組み合わせてカスタマイズできるようになっており、Robuxでアバターの衣装や特殊能力を買うことができます。また、Robuxで一部の有料ゲームを購入したりできます。

ゲームのクリエーターは自作のゲームを有料にしたり、ゲーム内課金ができたりするので収入が稼げ、Robloxはクリエーターから手数料を取って収益を得ています。

Robloxのビジネスモデル

Robloxはユーザーとクリエーターの両方を収入源にしています。

    • ユーザー:ユーザーが入れる$4.99/月、$9.99/月、$19.99/月の3つのサブスクタイプがあり、サブスクタイプに準じたRobux通貨が毎月もらえます。よりグレードの高いサブスクの方がRobux換算率がよく、お得になります。このサブスク料金がRoblox社の売上になります。
    • クリエーターRobloxプラットフォーム上でクリエーターの収入源は大きく分けて3つあります。1)自作ゲーム内での特殊能力/アイテム購入に対するユーザー課金、2)ゲーム自体を有料にしてユーザーから収入を得る、3)Premium PayoutといってRoblox社からのプレミアムユーザーのゲーム利用時間に応じてクリエーターに支払われるボーナスの3つです。1)と2)のクリエーターがユーザーから手にする収入の約半分がRoblox社の手に入ります。

以下がクリエーターの収入に対してかかる各費用の内訳です。

 (Source: Roblox SEC Filing)

競合マインクラフトとの違い

マインクラフトはマイクロソフトが2014年に買収したゲームで、自由自在にゲーム上でブロックを配置し建築を楽しむことができるオンラインゲームサバイバルゲームです。世界最大級のユーザーベースを持っており、その規模の大きさと絶対的な認知からよくRobloxと比較されます。以下の通り、売上ベースでみるとRobloxはこの3年の急上昇でMinecraftを抜いています。

(Source:businessofapps)

 Robloxマインクラフトの違いは以下です:

    • Robloxはサブスクリプションモデル vs マインクラフトはOne Time Pay(一回払い)
    • Roblox上でクリエーターが課金収入を得ることができるが、マインクラフト上ではできない。
    • Roblox上ではクリエーターが様々なジャンルのゲームをゼロベースで作ることができるが、マインクラフト上ではマスターゲームを改造することしかできない。
    • Robloxはバージョンが1つしかないが、マインクラフトは複数のバージョンがあり、友達と一緒にプレイするには同じバージョンを購入しないといけない。

Roblox社の強みと弱み

 

Robloxの強み:

    1. 800万人ゲームクリエーターと3,710万人のDaily Active Userがいる世界最大のゲームエコシステム。
    2. クリエーターがRobloxプラットフォーム上でゲーム開発をしてお金を稼げるため、優秀なディベロッパーが集まり優良ゲームが開発される。そして、より多くのユーザーが集まるオーガニックな好循環が出来きている。
    3. ユーザーが友達と一緒にゲームを楽しみたくなる仕掛けがあり、友達をゲームに誘う傾向があるため、オーガニックにユーザー数が増えていく。
    4. 誰でもプログラミングに関するチュートリアルを無料で受けられ、ゲームを一から作る基礎を教えてくれるため親が子供に勧めやすい。欧米では実際に教育現場で活用されているらしいです。日本の小学校でもプログラミング教育が始まるので、日本でも火がつくかもしれません! 以下がクリエーター向けの画面です。

Robloxの弱み/リスク:

    1. 支払い能力の低い13歳未満がメインユーザー。支払い能力の高い大人をどう集客するか、現在の13歳未満のユーザーが大人るなるにつれてどうキープできるかが今後の課題。
    2. Roblox自らはゲームを開発をせず、クリエーター任せのため、数多くの低クオリティゲームが存在してしまうビジネスモデル。
    3. FacebookAppleのように最先端のVR/ARの技術開発をRoblox社は実施できていないため、将来VR/AR技術を開発した企業に肝心なユーザー体験を依存する形になる。
    4. メインユーザーが子供のため、政府による規制が入る可能性がある。
    5. 創業者かつCEODavidBaszucki氏が58歳と高齢。彼が辞めた後も会社が競争優位性を維持できるかが懸念。

RobloxFinancial Performance

以下の通り未だ黒字化に至っておらず利益率(Net Loss)-27.9%の赤字になってしますが、BookingとRevenueの両方で高い成長率を実現しています。

BookingRevenueの違いは、Bookingはサービス/アイテム売上が上がった年にすべて計上するのに対して、Revenueはそのサービス/アイテムを使用期間で割った金額だそうです。肝心なのは、より直近のビジネスの状況を反映しているのはBookingで、そのBookingが2020年により伸びているという点だと思います。

また、以下の通りOperation Metricsを見ても好調ぶりがわかりますね!

Daily Active User(DAU)数、Hours Engaged(ゲーム利用時間)、Average Booking per DAU(ユーザー一人当たりのBooking)のすべてが上昇しています。より多くの人が使ってくれるようになると、ユーザー一人あたりのBookingは減ることが多いのですが、両方のMetricsが上がっているところに強いポテンシャルを感じます!

Robloxのバリュエーション

20202月のファンディングでは約40億ドル(4,320億円)のバリュエーションだったRobloxは、上場3日目の313日現在で384億ドル(41,400億円)と約10倍まで膨れ上がりました!

コロナでユーザー数が劇的に増えたことで、上記の通り2020年はBooking、DAU、Hours Engaged, Average Booking per DAUがすべて大幅に伸びましたが、Roblox社はコロナが終息に向かうにつれてユーザーの伸びは落ち着くとの見解を示しており、バリュエーションが10倍になった要因としては不十分にみえてしまいます。

それより、創業者兼CEOBaszucki氏がRobloxを人々がゲームを楽しむだけではなく、コンサート、授業、会議や社交の場として機能するメタバース(Metaverse)の世界に仕立てると言及したことがバリュエーションを押し上げたのだと言われています。仮にそうなると、子供だけでなく大人も取り込むことができますし、人々がRoblox上で多くの時間を過ごすことになるので、課金の可能性がぐんと広がりますよね!とはいえ、10倍もバリュエーションが跳ね上がって、4兆円になりましたが、本当にそんな価値あるのかNetflixとFacebookと比較してみましたー。

Robloxのバリュエーションvs Netflix&Facebook

 なかなか上場している競合がいないRobloxですが、同じコンテンツを楽しむサブスクという意味でNetflix、友達とつながるソーシャルゲームという意味でFacebookのバリュエーションと比較してみることにしました!

(Source: CNBC. 注1: RobloxはRevenueではなくBookingを使っています。注2: NetflixはDAUではなくサブスク登録数を使っています。)

RobloxのNet Profit Margin%-27.9%で、黒字転換するのは長い道のりのように見えますが、時間の問題でいずれはNetflixやFacebookのように黒字転換すると仮定してここは無視します。

Market Cap/Revenue(株時価総額/年間売上)をみると、Robloxは20.4倍になっており、NetflixFacebook8.9-9.2倍の2倍以上の割高になっています。これをどう見るかだと思います。2020 Revenue Growth(2020年の対昨比成長率) 171.2%と群を抜いて伸びており、FacebookNetflix20%台前半に落ち着くのはまだ先のように見えますよね!もしそう受け止めるのであれば、相対的にみてそこまで割高のバリュエーションではないのかなと思えます。仮に2021年に売り上げが2020年の2倍になった場合、RobloxのMarket Cap/Revenueが現行の半分の約10倍になり、一気にFacebook Netflixと同じくらいの水準になります。

Robloxの今後の展望として、人気アーティストがライブをやったり、ブランドがプラットフォーム内で広告を始めたり、社内会議をプラットフォーム内でやったり、大人がもっと楽しめるようなゲームを追加したりできれば、ユーザーが入りびたりになり、無限の可能性を秘めているように思えます!

また、仮にFacebookMicrosoftといった競合する企業に買収されるとなると株価が上がると予想されるので、そのアップサイドも秘めていますね!

Robloxのペネトレーションが全世界で上がったらどうなるか

Robloxのペネトレーションが高いアメリカ、カナダと同じペネトレーションを全世界で実現できたらどうなるかを試算してみました。アメリカとカナダのDAUは11.5百万人で、年齢別にみると13歳未満が54%, 13歳以上が46%です(Source:SEC Filing)。これらを前提にすると、13歳未満で9.2%, 13歳以上で2.2%のペネトレーションをとれていることになります。この9.2%と2.2%をほかの地域でも実現できたらどうなるかが以下の表のDAU’です。非常にざっくりの計算ですが、現状より256百万人増えて293百万人になります! 8.1倍です。もし現状のAverage Revenue/Userの$32を維持できたとしたら、売上が8.1倍になることを意味しています。やはり大きな可能性を秘めていますねー。

(Source: backlinko & World Bank)

私はIPO後にもう少し下がってから買おうかと思っております。投資はくれぐれも自己責任でお願いいたします!

Zillow(ジロー)株は買うべきか!?

2004年に創業され、僅か7年後の2011年にIPOを果たしたZillow(ジロー)。今米国で最も注目を浴びているナズダックテック株の一つです。直近一年間で株価が3倍以上上昇しており気になったのでZillowの2018-2020年の業績、強み、将来性について調べてみました!Airbnb(エアビーアンドビー)、Uber(ウーバー)、DoorDash(ドアダッシュ), Tesla(テスラ)と比較してバリュエーションが割高/割安かも調べました!

Zillow株価の推移

以下のチャートをご覧になればお分かりになるように、ここ1年で急激に上昇基調になっています。2020年頭までは$50以下で推移していたのが、コロナ後から急上昇し、2021年2月28日現在は$170になっています。

 Source:Google

Zillowとは

Zillowは 不動産を買う、売る、借りる、貸すことと、ローンを組むことができる正に不動産のOne Stop Serviceです。ZillowIR資料によると、Zillowには11,000万件もの不動産物件情報が登録されており、23,000万人ものユニークビジターが毎月サイトを訪れているそうです。主にアメリカとカナダでサービスを展開しています。

私自身もハワイ不動産情報をチェックするときは必ずZillowのアプリを使わせてもらっています。自分が興味あるエリアで新物件出たり、お気に入りマークをつけている物件の価格が下がったりすると通知が来るので、都度チェックしています。

各物件の売却価格履歴、同じエリアの相場価格、ZestimateというZillow独自のアルゴリズムをつかった物件の適正価格があるので、そのエリアの不動産相場を理解していなくても安心して物件の購入検討できます。また、この先1年間の価格予測もあります。使い勝手も良くとても便利です!

Zillowサイトは使いやすく、左側に選択したエリアのマップ上に売出中の物件が赤い点で表示され、クリックすると詳細が見れるようになっています。

(Source:Zillow)

気になる物件をクリックすると物件の詳細が出てきます。最近はコロナもあって自宅にいたまま物件の隅々までいろいろな角度で見れるように3Dツアーができる物件が多くなりました。

(Source:Zillow)

 Zillowアプリの使い方を詳しく利したい方はこちらをご覧ください!

Zillowのビジネスモデル

Zillowはビジネスを3つのセグメントに分けています。

    • Home: Zillowによる物件の売買。
    • Internet Media and Technology (IMT): 主にZillowサイトで物件を売り買い/貸し借りしているエージェントやオーナーからの広告掲載料と顧客紹介料。
    • Mortgage:主にローン提供会社からの広告掲載料とZillowが提供しているローンの売買。

    Zillowの2018-2020年の業績

    以下は2018年から2020年におけるZillowのセグメント別売上の推移’棒グラフ)と、Zillow全体の売上成長率(折れ線)の推移です。売上成長率は、常に20%を超えていますね!その売上成長をけん引しているのが、Homeセグメントの急成長であることがわかりますね。

     

    次にセグメント別の利益率(Net Profit Margin%)を見てみます。どのセグメントにおいても改善傾向なのがわかります。IMTとMortgagesにおいてはすでに黒字化に成功していますね! 残すはHomeのみ。

     売上は高成長を維持し、利益は順調に黒字化に向かっているようなので、総合的にみても魅力的です!

    Zillowの強み

      • ブランド力23,000万人の月間ユニークビジター数は圧倒的です。アメリカの人口が33,000万人なので人口の約7割が使っている計算になります(実際には、私のような国外のユーザーもいるので正確ではありません)。アメリカでは”Zillow”Googleキーワードサーチ数の方が、“Real Estate”のキーワードサーチよりも多いそうです!不動産といえばZillowという認知を確立できているということなので、明白な競争優位性を築けていることになりますね!
      • データベース&アルゴリズムZillowには11,000万件にも及ぶ物件情報があります。ただ単に物件売値だけが記載されているだけではなく、過去何十年にも渡る売買履歴が記載されています。また、物件があるエリアの相場やその価格推移、及びに今後の価格予測まで見ることができます。売出中か否かに関係なく全物件にZestimateというZillow独自のアルゴリズムを使用して算出した物件のフェアバリューが記載されています。このZestimateの精度は年々高まってきており、2019年実績では、Zestimateと実際の売値との差が1.9%だったそうです(ソース:Zillow IR資料)! 多くのアメリカ人の方がZestimateを参考に不動産の値付けをしていて、私の友人は自分の家の価値を知るために定期的にZestimateを参考にしているようでした。
      • One Stop Service:前述の通り、Zillowでは、不動産を買う、売る、借りる、貸すのと、ローンを組むことができるためとても便利です。不動産を売る方の大半が新しく物件購入を考えているため、Zillowはそのようなカスタマーにとってみると一石二鳥のソリューションになりますね!

    Zillowの将来性

    Zillowの売上は高成長していますが、Zillowが狙っている米国不動産の市場規模と比較するとまだ0.1%のシェアも取れていません(ソース:Zillow IR資料)。現にZillowは不動産の直接売買事業に2018年に参入したばかりで、まだカバーできているエリアは非常に限定的です。そのためまだまだ伸びしろがあります!

    直接不動産を仕入れて転売する事業には大きなリスクも伴います。Zillowはカスタマーメリットを重視して、転売のマージンを抑えて薄利多売を狙っているように見えるため、不稼働在庫が増えるとすぐにビジネス全体が赤字になってしまいます。。このリスクは注意する必要があります。しかし、Zillowは膨大なデータベースと米国最大のトラフィックを有しているため、他社よりも機敏に不動産景気の変化に気づくことができるのでは?と思います。

    もう一つZillowの今後の成長を支えるドライバーになりうるのが、人口7,200万人を誇り米国最大の人口グループであるMillennial(1981-1996年の間に生まれた人たち)が、家を買い始めていることです。彼らは便利なサイト/アプリを使って不動産を探すことに慣れているため、Zillowとの親和性はばっちりです!

    そのMillennialの不動産所有率が43%と未だ低いので、彼らが年を取るにつれて所有率が上昇することが期待できます。また、米国では特に不動産を買い換えることが盛んです。一度不動産を買ったら終わりではなく、家族構成や住みたい場所が変わるにつれて買い換えたり、不動産価格が高騰した際に売却してキャピタルゲインを得たりするので、Zillowのリピーターとなってくれることが期待できます。

    まだ先の話ですが、Gen Z1997-2012年に生まれた人たち)に関しても将来Zillowのカスタマーになってくれる可能性があります。以下は人口(単位:百万人)と不動産所有率(%)です。

     

    Zillow株のバリュエーション

    Zillowは成長株なので、株価収益率よりも時価総額/売上(Market Cap/Revenue)を見てみます。同時に利益率(Net Profit Margin)も見てみました。時価総額/売上の値が高いほど、株は割高になります。

    異なるビジネスセグメントになってしまいますが、Zillow同様に高成長している人気のテック株であるAirbnb(エアビーアンドビー)、Uber(ウーバー)、Tesla(テスラ)DoorDash(ドアダッシュ)と比較してみました。データは2021/2/28時点のものです。

    Zillowの時価総額/売上は12.2とこのグループの中では相対的に低い数値になっています。不動産市場規模の0.1%未満のシェアしか取れていないことを考え、今後Zillowのシェアが仮に1%に上がるとしても、10倍以上の売上の伸びになりますよね!。以前書かせて頂いたAirbnbは既に1.1%のシェアがあるので、それよりも遥かに成長余地があることになります!

    Airbnbに関してはこちら

    また、利益率もこのグループの中では相対的にみると高い数字になっています。成長株が黒字転換したときはテスラのように大きく株価が上がることも期待できるので、今買って黒字転換するまで保有するのは一つの手かもしれませんね!

    今現在はNasdaq全体が大幅に上昇してしまっているので容易に買えませんが、少なくともこのグループの中ではバリュエーションが割安なので、私自身、今後下がる局面があればZillow株を買おうと思います!

     

     

    買って売却するのがお得?借り続けるのが得?港区人気タワーマンションで検証!

    コロナ禍で東京の人口減少が騒がれている中でも、都内の不動産価格は下がる気配を見せていません。下がるどころかコロナによる在宅勤務が浸透したことで、在宅勤務に適した家探しの需要が喚起されているのと、不動産物件供給数が下がっていることもあり、不動産価格はバブル以降の最高値を更新しています。

     実体経済はまだコロナ前の状態に回復していないのにも関わらず、世界各国の金融政策による超低金利により投資意欲が増し、米国Dow Jones, S&P500, Nasdaqは揃って連日のように過去最高値を更新していますし、日経平均株価もバブル以降の最高値を更新し続けています。バブルが崩壊するのではという見方も徐々に増えてきています。

    全てが割高になっているように見える今、マンションを買ってもし価格が下がった場合、買わずに同じマンションを賃貸するのと比較してどれだけ得/損をするのかを調べてみました!

    買うvs借りるコスト比較対象物件の概要

    比較対象物件を3つ選びました。2021年2月8日時点の情報をベースにしております。

    どれも港区の人気タワーマンションで、かつ供給戸数が多いところを選びました。極力、売りに出ている物件と貸し出している物件で同じ間取り、面積、向きを見つけて、比較しました。完全一致の物件ではないので、その点ご了承ください。

    買うvs借りるコスト比較方法の説明

    わかりやすくするために、1) 購入時/賃貸契約時にかかるイニシャルコスト、2)毎月かかるランニングコスト、3) 売却損益をすべて月ベースに換算して比較しています。購入価格と同じ値段で売却、-10, -20%,-30%で売却した場合の4パターンを設け、それぞれで買うvs借りるのどちらがお得かを5年,10年,15年の時間軸でシミュレーションしました!

    ランニングコスト:マンションを購入する場合は、住宅ローンの支払い、管理費、修繕費、室内リフォーム費用、各種保険、固定資産税がランニングコストとしてかかります。賃貸する場合は賃料(管理費含む)、各種保険、2年に1度の契約更新料だけになります。

    面積が50平方メートルを超えている物件を購入する場合、住宅ローン減税が受けられますので(毎年借入金額に対して1%、10年で最大400万円までの減税)、その分が月々コストが相殺されます。

    一方で、賃貸の場合は、賃料を何年分納めても物件は自分のものになりませんし、住宅ローン減税も受けられません。そのため、購入するほうがランニングコストを抑えられます。

    イニシャルコスト:マンション購入する際はより大きな固定費が必要になります。7,000万前後の物件を買う場合、物件価格の3%前後の不動産仲介手数料、ローン保証料&事務手数料が1.65%程、登記関連費用が計60万、固定資産税&管理費清算が26万、そして火災保険が15万かかるとエージェントに聞いております(詳しくは専門サイトで検索してみてください)。

    一方で、賃貸の場合は、敷金/礼金が家賃2か月分かかるのと、保証料が0.5か月分かかるくらいですみます。賃貸の方が断然固定費を抑えられます。

    売却損益:賃貸の場合は家賃を捨てているようなものですが、購入した場合は毎月のローンのうち、元本返済の分だけ残債が減ります。売却時に、住宅ローン残債を下回る価格で売却すれば、その差分損をすることになります。逆に、ローン残債を上回る価格で売却できれば得をします。

    購入する場合はイニシャルコストが高いが、毎月のランニングコストが安く抑えられるメリットがあります。その上、売却時にローン残債以上の価格で売ることができれば、その分お金が戻ってきます。一方で、ローン残債未満で売ってしまうと、その分損をしてしまいます。それでは3つの物件のシミュレーションを見ていきましょう!

    買うvs 借りるコスト比較①:シティータワー高輪

    買うvs 借りるコスト比較②:芝浦アイランドケープタワー

    買うvs 借りるコスト比較③:ワールドシティータワーズ

    買うvs 借りるコスト比較:3物件のサマリー

    以下のグラブに3物件のコストの平均を取りました。515年の期間で、賃貸した場合、購入&売却した場合、それぞれどれだけ月々コストがかかるかを赤字で表示しています。賃貸する場合は、イニシャルコストが敷金/礼金しかないので、住居期間が伸びてもさほどコストは下がりませんが、購入&売却の場合は、住居期間が延びるほど、コストが下がっていますよね。

    5年間住む場合においては、賃貸の場合は287,917円のコストがかかりますが、物件を同じ価格で売った場合は\176,180円までコストが下がります。逆に、物件を購入時よりも10%-30%下げて売ってしまうと、賃貸コストよりも高くなってしまうリスクがあります。

    一方で15年間住む場合においては、物件価格を購入時よりも30%下げて売っても(-236.711円)、賃貸するよりも(-280,556円)お得になります。

    最後に、賃貸するのと比較して購入するのがどれだけお得/損かを下のグラフに表示しました。先述の通り、15年以上保有するケースにおいては物件価格が-30%下がっても買う方がプラスになっています。

    もし長く住むことが確実な場合は、相当不動産価格が下がらないかぎり、買った方がいいのが明白ですね!

    実際に物件購入を検討される際には、必ずエージェントから詳細なシミュレーションををもらって、慎重にご判断くださいね。もし何かあればお気軽にご連絡くださーい!

     

     

     

     

     

     

    Beyond Meat(ビヨンドミート)株は買うべきか!?

    2019年にIPOをしたBeyond Meat(ビヨンドミート)。IPO時は25ドルだった株価が、一時は235ドルまで上がり、大きな注目を集めました。2020/ 12/31時点では、125ドルで推移しており、最高値から約半分の水準です。

    (Source:Google)

    Beyond Meatは食肉に代わる植物性代替肉を提供している企業です。提供している商品は、ビヨンドバーガー、ビヨンドソーセージ、ビヨンドビーフクランブルズ、ビヨンドチキンストリップと幅広く、アメリカのSafeway, Walmart, Target等のスーパーマーケットやKFCやStarbucksでも購入が可能です。残念ながら日本のスーパーではまだ買えません。東京港区にある海外からの輸入品が多いスーパーを探してみましたが、そこでも見つかりませんでした。。

    Beyond Meatがけん引する植物性代替肉市場は、環境、健康、動物愛護の観点で意識が高いミレニアム層から強い支持を得ており、今後長期にわたって成長する分野としての期待が大きいです。また、Bill Gates氏や世界最大食品企業のTyson Foodsが主要株主な点も心強いです。 

    そのBeyond Meat株に投資すべきか見ていきましょう!投資は自己責任でお願いします!

    Beyond Meatが解決しようとしている課題

    2050年に世界人口が100億人になると言われており、現在の75億人から33%増加する試算です。それに対して、世界食肉畜産需要は2010年から2050年にかけて、2.43億トンから3.80億トンへ60%増加すると言われています(ソース:農林水産省)。食肉畜産需要増が人口成長のペースを上回っているのは、一人当たりの食肉需要が増えることを意味しており、特に低所得国において顕著な需要増が予測されています。

    ネットフリック「食肉の未来」によると、世界では10億頭の豚、10億頭の羊、15億頭の牛、230億頭の鶏が食肉畜産用途で飼養されており、タンパク質、ミネラル、ビタミンといった栄養源になっています。特にビタミンB12は他では摂取しづらい栄養素です。また、食肉に含まれる鉄分は植物性の鉄分よりも体が吸収しやすいというメリットもあります。

    一方で、動物性食品は、植物性食品と比較して、圧倒的に土地、水を使い、多くの温室効果ガスを排出します。そのため、食肉畜産需要が増加することイコール環境問題が悪化します。Beyond Meatの2020Q3 Reportによると、全世界の農地の78%が家畜飼育用に使用されており、世界で使うの29%が家畜飼育用だそうです。それに加え、家畜飼育は世界の温室効果ガス排出量の18%-51%を占めているそうです。

    また、ネットフリック「食肉の未来」によると、もし低所得国の人口が高所得国と同じ量の食肉を消費した場合、世界中の住居可能な土地を畜産に使用しても、土地が足りなくなるそうです。既に家畜は狭いスペースに押し込まれ、ビタミン剤や抗生物質で成長スピードを最大限に早めているため、これ以上の効率化を図るのは難しいとのこと。例えば、鶏は1957年と比較して、4-5倍大きくなっているそうです。恐ろしいですね。。。

    このような状況を受けて、今後の人口増や食生活の変化を支えるサステイナブルなたんぱく質の供給が必須になっています。この課題をBeyond Meatは植物性代替肉を普及させることで解決しようとしています。

    Beyond Burger の優位性 vs 同じ大きさの牛肉バーガー

    環境面

      • 土地利用:93%カット
      • 水使用量:99%カット
      • 温室効果ガス:90%カット
      • エネルギー使用量:46%カット

    栄養面

      • タンパク質:同等レベル
      • 飽和脂肪:約半分
      • コレステロール:0 (一方でナトリウムの含有量は5倍)

    動物愛護面

      • 動物屠殺0

    植物性代替肉の普及に向けてBeyond Meatが抱える課題

    上記の通り環境配慮、栄養、動物愛護面で食肉を上回ったとしても、肝心な味と値段で勝らないと大きくスケールすることはできませんよね。Vegetarian Timesによると、米国にベジタリアンは730万人しかおらず、人口に対する割合は2.2%にとどまります。ビーガンに至っては730万人の内数で、100万人とのことです。非ベジタリアン・ビーガンの97.8%の人口にどう普及させるかが今後の成長のカギですね。

    私自身、食肉が好きで毎食何かしらの食肉を食べています。もしBeyond Meatが食肉と同じ味を再現できて、値段も同水準であれば確実に乗り換えると思います。一方で、値段と味が揃わないと買わないと思います。その場合、食肉の代替食品として他にも納豆、豆腐、枝豆でたんぱく質を摂取できるので、そっちを選ぶと思いますね。

    残念ながらBeyond Meatを食べたことがないため、味はわかりませんが、色々とリサーチしたところ、食肉と同じ味がしたと言う人はまだ少ないようです。競合他社のImpossible Foodsの植物性代替肉の方がおいしいと言っている人の方が多いように見受けられます。ちなみにImpossible Foodsは上場していません。

    2社の違いは、Beyond Meatはエンドウ豆と米ベース、遺伝子組み換えなし、グルテンフリー、Impossible Foodsは大豆ベース、遺伝子組み換えありです。グルテンフリーと遺伝子組み換えなしという点で、Beyond Meatの方がビジネスをスケールしやすいはずです。

    今後味の研究を続け、改善出来たときにより一気に成長が進むかもしれないですね!

    価格に関しては、2020 Q3 時点でBeyond Burgerの1ポンド(約450グラム) あたりの価格が去年から7%下がり5.33ドルになったそうです。これは、牛ひき肉の4.89ドル(Source: U.S. Department of Agriculture)にだいぶ近づいてきています。安くなった時に売上に更に拍車がかかるかもしれません!

    Beyond Meatの植物代替肉市場シェアと食肉市場シェア

    Grand View Researchは、2019年に33億ドルの売上だった世界植物代替肉市場は、2027年までに毎年平均19.4%伸びて、138億ドルに成長すると予測しています。Beyond Meatの2019年の売上は2.98億ドルなので、9.0%のシェアだった計算です。2020年の1-9月でBeyond Meatの売上は対昨年度比53%伸びていますので、植物代替肉市場の19.4%の上回っており、シェアを上げていることになります。

    視野を広げて世界の食肉市場規模を見てみると、なんと14兆ドルもあります!植物代替肉市場はその0.2%にしか値しません、Beyond Meatの売上に至っては0.02%にしか及びません。植物代替肉市場も、Beyond Meatもまだまだ成長余地があることを示しています。

    Beyond Meatの2017-2020年の業績

    売上:Beyond Meatの売上は、2018年に対昨年度比170%の成長率、2019年に239%、2020年Q1-3期に53%と、植物性代替肉市場の成長率を常に上回る高成長率を維持しています。2020年Q1-3期に成長率が大きく減速した要因は、コロナでRestaurant and Food Service(主にレストランの売上)が大打撃を受けマイナス成長になってしまったことが挙げられています。

    もしコロナが終わり人々が以前通り外食できるようになると、レストラン売上は回復するかもしれませんが、同時に、Retail(主にスーパー)の売上成長もコロナによる自粛影響で通常以上に上がっていることを否定できないと思います。

    以下2020Q1-3期の対昨年度比較です。ご覧の通り、Retailは好調で対昨年度比117%で伸びているものの、Restaurantに関しては、マイナス成長になってしまっています。

    利益率:今のところ赤字続きですが、どんどん利益率を改善してきています。2017年は-93%だったのを、2020Q1-3では-9%まで改善してきています。これから更に売上を上げていけば、黒字転換ができそうですね!2020Q1-3は2019と比較すると-4%から-9%に悪化していますが、長期的な成長のための投資拡大や、コロナ関連のコスト増が挙げられています。

    以下にBeyond Meatの2017年から2020年Q1-3の売上(Sales)と利益率(Net Income%)をまとめました。

    Beyond Meatのバリュエーション vs Tyson Foods & Kellogg

    売上: Beyond MeatのMarket Cap(時価総額)は、7,833百万ドルで、直近12か月分の売上の19.4倍で推移しています(2020/12/31時点)。要するに、19年間の売上分の価値を投資家が置いていることになります。この19.4倍のMarket Cap/Sales(株価売上高倍率)を、主に食肉を売る世界最大の食品企業であるTyson Foodsの0.54倍、世界最大級の植物ベースの加工食品企業であるKelloggの1.58倍と比較すると、Beyond Meatが非常に割高に見えますね。

    Tyson FoodsとKelloggは両社ともに植物性代替肉商品を販売しており、Beyond Meatの競合になります。両社とも長い歴史を持つ大企業ですが、売上成長率が一桁台しかありません。それに対してBeyond Meatの成長率は高く、その成長ペースが維持されることがBeyond Meatの株価に織り込まれているのでしょう。

    利益率: Beyond Meatはまだ赤字なのでP/E Ratio(株価収益率)がマイナスになってしまいますが、P/E Ratioが黒字になると、時価総額が何年分の利益に値するかがわかる指標です。Tyson FoodsやKelloggは黒字企業で、P/E Ratioはそれぞれ10.9と17.1です。それぞれの時価総額は10.9年間分の利益と17.1年間分の利益と同等になります。仮にBeyond Meatの現行の利益率がTyson FoodsとKelloggの平均をとった7.1%((4.98%+9.23%)/2)だった場合、Beyond MeatのP/E Ratioは、なんと273倍になります! 2社のP/E Ratioの平均をとった14 ((10.9+17.1)/2)にまで下げるには、Beyond Meatの売上を現在の19.5倍にしなければなりません。。。

    Beyond Meatの現在の株価は妥当か

    私はだいぶ割高だと思います。上記の通り、Beyond Meatが売上規模を19.5倍にし、利益率を現行の-7%から+7.1%に転換できれば、Tyson FoodsとKelloggのバリュエーションと同等レベルの割高さ/割安さになります。そのためには、2027年までの7年間、毎年2020年Q1-3と同等の売上成長率である+52.9%のペースで伸ばさないとなりません。そうすると2027年の売上規模が7,862百万ドルに達し、植物性代替肉市場のシェアは現行の10%から57%、食肉市場のシェアは現行の0.02%から0.6%のシェアになる計算です。以下にBeyond Meatの2027年までの売上の推移とそれぞれのシェアを記載しました。

    Tyson Foods, Kelloggに加え、Kroger、Nestle、Kraft Heinzといった世界大企業も植物性代替肉市場に参入してきており、競争はこれからどんどん激しくなる中、Beyond Meatがシェアを伸ばし続けるのは難しいと思います。そんな中、Beyond Meatの株価は、少しでも売上成長や利益率の改善が遅れてしまうと、現行のバリュエーションが更に割高になってしまい、それに伴い株価が大きく下がるリスクがあります。

    Beyond Meatは早くから植物性代替肉に参入していたので、その分先行者利益はあります。しかし、これらの世界大企業は、1)資金力があり商品開発やマーケティングにより多くの金額を投資できる、2) 消費者に信頼されているブランド確立しているので、新商品販売時に試してもらいやすい、3)既にスーパーの棚を多く確保している、4)販路への物流網を確立しており大量の物量を運んでいるため、物流コストが安いという点から、Beyond Meatより有利になります。

    上記の理由から、現時点の株価なら、私ならBeyond MeatよりTysonやKelloggといった大企業で、今後代替肉市場に徹底的に投資する姿勢を見せている企業の株の方が安心して買えます。そのような大企業は既に他の食品で膨大な売上を築き上げているので、代替肉市場の売上を伸ばしたところで、会社全体の業績への影響は限定的というデメリットもありますが。。

     

    Airbnb (エアビーアンドビー) 株はいくらだったら買うべきか?

    今アメリカで一番注目を浴びているIPO案件がAirbnbです。12月中にIPOが予定されており、遂に誰でもAirbnb株が手に入るようになります! 今回は、Hilton, Marriott, Booking.com, Expedia, VISA, MastercardのバリュエーションをベースにAirbnbの株価がどうなるかを考えてみました。

    Airbnbビジネスの概要と業績

    簡単に言うと、民泊予約ができるオンラインプラットホームです。日本では馴染みがないかもしれませんが、登録物件数は世界で700万件以上に及び、どのホテルチェーンも優に凌ぐ規模です。

    (Source:Airbnb)

    その上に、通常ホテルよりも安く、LOCALと同じ体験ができることが最大の武器です。最近では、民泊だけではなく、LOCALによる現地ツアーをつけられるオプションもあります。

    Airbnbのビジネスモデルは、基本ウーバーと同じです。ウーバーがタクシーに乗りたい人と、タクシー運転手をつなぎ、代金の数%の手数料を徴収するのと同様にArbnbも宿泊客(GUEST)と物件オーナー(HOST)をつないで手数料を取ります。HOSTとGUESTが多ければ多いほど、NETWORK EFFECTでPLATFORMの魅力が増します。

    Airbnbは、モノ消費からコト消費への時代の変化にうまく乗って成長しています。売上は以下の通り順調に伸びており、2015年から2019年までの5年間で約5倍の規模になっています。

    そのうえ、IPO資料を読むと、AirbnbのTOTAL ADDRESSABLE MARKET(獲得できる可能性がある市場規模)は3兆4000億ドルとあり、Airbnbの2019年のGROSS BOOKING VALUE(流通総額)が380億ドルなので、まだ市場の1.1%のシェアしかとれていないことになり、まだまだ成長できます。

    また、Airbnbは他のスタートアップとは異なり、極めて黒字化が近いビジネスです。AmazonやTeslaのように安定して黒字が出せるようになったことで、株価が何倍にも跳ね上がるケースあるので、この点は非常に魅力的ですね

    コロナのAirbnb業績への影響

    2020年に入って、コロナの影響で売上は不調です。1-9月の売上は25億ドルで対昨年度比で29%下落しています。しかし、2020年7-9月四半期ベースでは、2.19億ドルの利益を出したというGOOD NEWSもあります。コロナによる不振で社員の25%をリストラするなど、事業のスリム化を図ったことが功を奏したのかもしれません。

    Airbnbのバリュエーションの過去推移

    2017年3月に310億ドルあったバリュエーション(時価総額)が、コロナの影響で2020年4月には170億ドルまで下げました。2020年4月時点では、コロナのワクチンの開発がまだで、事態の終息が視野に入っていなかったため、弱気のバリュエーションになったのでしょう。

    次にAirbnbの株価の参考となる類似企業のバリュエーションを見てみましょう。

    1) 最大ホテルチェーンであるHiltonとMarriott、2) 旅行予約サイトであるBooking.comとExpedia、3)クレジットカード会社のVISAとMastercardを選びました。これら6企業のMarket Cap/Sales(時価総額/売上)をみていきます。

    Market Cap/Salesを選んだ理由として、成長段階のスタートアップ企業に関しては、長期的には競合他社と同様レベルの利益率水準になることを投資家は株価に織り込みますので、企業の利益率よりも、売上規模と成長スピードを時価総額と比較して、割高/割安を見極めようとします。従って、売上に対して何倍の時価総額がつけられているか=Market Cap/Salesが最重要指標になってきます。

    コロナ前の2019年の数字を拾ってきました。

    (Source: Yahoo Finance& Airbnb Prospectus)

    Airbnbバリュエーション比較 vs ホテルチェーン

    ホテルチェーンを選んだ理由は、Airbnb同様に宿泊体験を販売する企業だからです。しかし、Airbnbは以下の二点からホテルチェーンよりもビジネスモデルが優れていると思います。

      • Airbnbはスピーディーに取り扱い物件を増やせる: Airbnbは物件を所有せずに、GUESTとHOSTをつなぐプラットフォーマーなので、ホテルのように多額の建設費用や長い月日をかけずに物件が増やせます。
      • Airbnbの固定費は限定的: コロナのような不景気になった際に、ホテルと違って、賃料や人件費を払い続けなくてもよいので倒産リスクが小さいです。

    上記の理由から、例え同じ売上でも、Airbnbのバリュエーションがホテルチェーンよりも高くなるのは自然と考えます。HiltonとMarriottのMarket Cap/Salesは平均3.05倍ですので、Airbnbはそれよりも高くなると予想します。また、成長率(Revenue Growth)をとっても、Airbnbが圧倒しています。従って、2019年のAirbnbの売上の48億ドル*3.05倍=146億ドルは超えると思います。

    Airbnbバリュエーション比較 vs 旅行予約サイト

    次に、旅行予約サイトであるBooking.comとExpediaを選びました。これらはAirbnbの競合にあたり、同様にプラットフォーマーとしてGUESTとHOSTをつないでいます。Airbnbとの違いは、1) これら2社は航空券とカーレンタルもやっている点と、2)これら2社はホテルから部屋在庫を買い取ることもやっている点です。従って、安く買い高く売ることができれば高い利益率を稼げる半面、売れ残った場合は損をします。

    一方で、取り扱う宿泊物件に関しては、Airbnb同様に、個人宅にも幅を広げており、Airbnbも負けずとホテルを取り扱い始めたりと、どこも似たり寄ったりになり始めております。

    私は長期的にみると、Airbnbが競争に勝つと思っています。3つ理由があります。

      • AirbnbはOrganic Trafficの割合が多い:Airbnbはブランド力が強く、リピーターが多いため、集客への投資コストを抑えた状態でも成長しています。実際にSimilarwebで調べたところ、2020年8-10月の期間で約91%がOrganic Trafficになっており、BookingとExpediaの59%、79%よりも高いです。その分コスト削減ができるので、競争上、有利になります。以下Similarwebより。
      • Airbnbには、他にはないユニークな物件が多く集まる仕組みがある。個人宅の短期レンタルという形でビジネスをスタートしたこともあり、元々、個人宅物件が多いです。個人宅のHOSTは副業としてAirbnbの運用していることが多く、複数のプラットフォームにて物件を掲載して運用する時間がありません。そのためAirbnb一本の人が多いようです。また、AirbnbはHOSTに加え、GUESTに対するレビューが存在します。大切な個人宅を貸す人たちは、GUEST選びに慎重で、GUESTに対するレビューがあることで、質の悪いGUESTのBOOKING依頼を断ることができます。ExpediaやBookingにはGUESTのレビューがありません。
      • AirbnbがExpedia、Booking.comの掲載物件を登録するのは容易。ExpediaとBooking.comにはホテルと不動産運用業者の物件が大半を占めています。これらビジネスは売上最大化を最優先するため、AIRBNBに物件を掲載することで売上が増えるのであれば、そうすると思います。エアラインやカーレンタル会社も同様です。

    上記の理由に加え、成長率においても、Airbnbは2019年に対前年比32%で成長していたのに対して、この2社の成長率は4%-8%です。そのため、Airbnbの方がMarket Cap/Salesが高くなってもおかしくありません。Booking.comのMarket Cap/Salesの6.13倍を使うと、Airbnbのバリュエーションは294億ドルになります。

    Airbnbバリュエーション比較 vs クレジットカード会社

    最後に、クレジットカード企業を選んだ理由は、Airbnbと同じく以下の3つの特徴があるからです。

      • ブランド力が強い(TOP企業が占めるシェアが高い)
      • 在庫リスクがない手数料ビジネス
      • 売上原価率が低い

    VISAとMastercardはクレジットカード会社の中でTOP2 PLAYERです。長年にわたりTOPとして君臨しているので、とても安定感があります。Airbnbは設立してから10年程で、同じ安定感はないですが、将来そうなる/それを超えるポテンシャルは秘めていると思います。

    従って、クレジットカード会社と似たバリュエーションになってもおかしくないと考えます。これら2社のMarket Cap/Salesは平均18.72倍です。Airbnbが同じMarket Cap/Salesになるとすると、898億ドルになります。

    Airbnbの株価はいくらになる?

    Reuterによると、株価が$50で約300億ドルのバリュエーションに値するとのことなので:

      • ホテル並みの148億ドルであれば=株価:25ドル、
      • 旅行予約サイト並みの298億ドルであれば=株価:50ドル
      • クレジットカード会社並みの898億ドルであれば=株価:150ドル

    になります。そもそもIPO後にどの水準で株取引が始まるのかがわからないです。私は50-150ドルで推移すると考えております。

    投資はくれぐれも自己責任でお願いいたします!

     

     

    島移住前に必ずチェックすべき5つの指標

    雲一つない青い空。エメラルドブルーの海。ゆっくりと時間の流れるリラックスした雰囲気。そんなアイランドライフに憧れる人は多いと思います。私もハワイや沖縄でバケーションする度、ここで暮らせたらどれだけ幸せになれることかといつも考えてしまいます。

    どこの島に住みたいかは個人差があると思いますが、これから栄える島に移住した方が、仕事のチャンスも増えるし、色々なものやサービスも手に入るため、より豊かな暮らしをおくれます! 

    今回は、島移住前に必ずチェックすべき5つの指標について沖縄、ハワイ、グアムを例に用いて解説させて頂きます!

     

    人口は伸びているか

    魅力がある島は人口が伸びます。魅力とは、自然の豊かさ、食事のおいしさ、仕事の多さ/見つけやすさ、生活費の安さ等、多岐にわたり、それぞれの要素の重要度は人によって異なります。例えば、私なら海が大好きで、その他要素を多少犠牲にしてでも、ハワイや沖縄といった海が綺麗な島に移住したいと思う派です。人を引き付ける飛びぬけて強い魅力要素があるか、あるいは複数の要素が満遍なく揃っていれば人口は増えます。

    人口が伸びることがなぜ肝心かというと、経済成長につながるからです。人口が増えることで労働力が増え、より多い生産が可能になります。生産が増えると1ユニット当たりの生産コストも減りますのでその分生活費が安くなり、生活が豊かになります。消費面でも、人口が増えることで消費者が増えるので、より多くのものやサービスが売れるようになりビジネスも繁盛します。

    また、人口が増えることで歳入が増え、行政による住民へのサービスも拡充されるため、より住み心地が良い島になります。

    逆に人口が減ると、経済規模が縮小し、行政サービスも限定的になり、住みにくい島になってしまいます。そのような背景から、今現在、日本の多くの市町村が移住者誘致に必死になっています。

    以下に、日本、沖縄、アメリカ、ハワイ、グアムの人口を2000年と2020年で比較しました。

    (ソース:Wikipedia) 2020*=2020年のデータがない場合は一番直近のデータを使っています。

    日本全体では人口が-2.1%減少している中、沖縄は10.6%増加していますね。

    アメリカ全体では人口は16.6%も増加しています。ハワイはそれを更に凌ぐ16.9%で成長しています。一方で、グアムは8.8%の増加にとどまっているようです。

    これを見る限り、人口が増えている沖縄、ハワイ、グアムは移住先として魅力的ですね!

    生産年齢人口比率は高いか

    人口は多くても(あるいは伸びていても)、生産年齢の人口(15-64歳)が少ないと経済への貢献は限られてしまいますので要注意です。また、次世代の生産人口担う0-14歳の比率も高いかを確認するのが重要です。

    以下、沖縄、ハワイ、グアムの年齢別人口の割合の推移を比較しました。

    (ソース:Wikipedia、US Censusと沖縄県)

    沖縄、ハワイ、グアムともに15-64の生産人口の割合が60%台で近い水準ですね。また傾向として、どの島も15-64の割合が減ってしまっています。これは良くないです。

    沖縄とハワイは15-64の割合が減った分、65+の割合が増えていますが、一方で、グアムは65+の割合はそのままで、代わりに0-14が増えています。沖縄とハワイは高齢化が進んでいるが、グアムは出生が増えて若返っていると解釈できます。

    また、グアムはそもそも65+の割合が8.9%と一番低く、0-14の割合が一番高いです。生産人口の割合に大差はないものの、人口動態上は、グアムが今後一番安泰にみえます。

     

    競争力が高い産業があるか

    島内で人口が伸びて経済が成長することも良いのですが、島として世界に売れるものやサービスがあるかも島の生活をより豊かにするために重要です。

    島の産業としてまず思いつくのは観光業があります。ハワイ、沖縄は観光業の競争力が高いですが、まだ多くの人が訪れていないが魅力満載の島も潜在的な産業力を秘めています。来る人を魅了する観光スポットがあり、独特でおいしい食事に加えて、固有の文化、伝統が存在している島と、そうでない島とでは差がつきます。

    ハワイは自然の素晴らしさに加えて、おいしいパンケーキやアヒポキがあり、だれでも優しく迎えてくれるアロハスピリットがあり、ストレス発散のフラダンスがありと、他と差別化ができる複数の要素を持っています。これらが強い競争力を生みます。

    製造/生産面においては、小さな島は規模の経済が働きにくいため、大量生産して1 unitあたりのコストを下げて稼ぐビジネスモデルでは負けてしまいます。代わりに、島の特色を生かしたニッチな商品に特化し、高単価のブランド作りをする方がより適しています。生産量は少ないですが、高単価で売れる宮古島の高級マンゴーや、ハワイのコナコーヒーはよい例ですね。

    島の産業力の参考になる指標としては、一人当たりの総生産(GDP Per Capita)が挙げられます。これは島で生産されたものやサービスの総額を島の人口で割ったものです。GDP/Capitaが高い島は一般的に産業力があると解釈できます。なかなか島単位でのデータが取れないのが残念なところです。

    以下、日本、沖縄、アメリカ、ハワイ、グアムのGDP/Capitaを比較しました。

                (ソース:Wikipediaと沖縄県)

    観光地として確立しているハワイはアメリカさえを超えていますね。さすがです!

    沖縄はまだハワイの半分にも及ばないですし、グアムにも負けています。まだまだ伸びしろがあると解釈しております!

    上記はあくまでも2018年のスナップショットで、これからGDP/Capitaがどう伸びるかが、生活を豊かにするうえでより肝心です。

     

    近くに大経済圏はあるか

    近くに大経済圏があると恩恵を受けます。まず一つ目は観光です。距離が近いと多くの観光客が来てくれます。東京圏内にお住いの多くの方が、箱根や、伊豆、熱海を訪れるようなイメージでしょうか。

    2つ目は、そこからの人口の流入が期待できる点です。身近にある場所に移住するほうが遠くに移住するより物理的にも精神的にも楽です。また、家族にもすぐ会いに行くこともできます。

    3つ目は、物価が安くなる点です。小さい島の決定的な弱みは物価が高い点です。小さい分生産できる幅と量が限られてしまいます。もし近くに物量の多い大経済圏があれば、そこから食料や物を運んでもらえます。

    私は沖縄の地理的条件はハワイとグアムよりも圧倒的に有利だと考えます。これからも成長が期待できる経済大国の中国と、成長は鈍化しているが既に経済水準が高い日本、韓国、香港、台湾といったアジアを代表する大経済圏からフライト時間で3-4時間の場所にあります(沖縄の地理的優位性についてはこちら)。

    今現在は、コロナで観光業が壊滅的な被害を受けておりますが、それまでは中国から大勢の観光客が押し寄せてきて、大量に消費をしてくれていました。また、アジア各国からの観光客の対応をするために外国人の移住が加速していました。

     

    食料自給率は高いか

    食料自給率が高ければ、世界的に不作になっても、あるいは島の外との国交が完全に断たれても、島の住人を養う十分な食料を生産することができ、最低限の生活を維持することができます。

    東京のスーパーのようにすべてが揃わなくてもよいですが、生きていくために必要な穀物、肉、魚、野菜といった各カテゴリーで複数品種が確保できるかは調べておきたいですね。なかなか情報をみつけるのは難しいですが、Wikipediaに大体のっています。

    ハワイは特に意識して地産地消を促すために多くのイニシアティブを立ち上げています。こういった努力が将来的には差をつけるかもしれませんね!

     

     最後に

    ハワイ、沖縄、グアムといった認知度の高い島が移住先として検討されがちですが、もしかしたら今はあまり知られていないがもっとポテンシャルが高い島があるかもしれませんね!是非とも上記の5つの指標を使っていろんな島を比較してみてください!私はまだフライトもない小笠原なんかポテンシャルが高いのではないかなと思っております!

    コロナ中にS&P500が最高値!理由を解明

    4月9日に書いたコラムでは、Warren Buffet氏を引用してS&P500の上昇を年間5%と想定し、アーリーリタイアを目指すには、S&P500への長期投資が理想と書かせて頂きました (S&P500株式に投資すれば何%のリターンが期待できるか?)

     その矢先に、、、思いもよらぬことにS&P500はその時の$2,790から、8月28日現在$3,508ドルをつけており、25.8%も上昇してしまいました!ざっくり計算で5年間分の上昇幅をこの4か月間で実現しまったことになります。S&P500の推移は以下の通り。

    過去最高値をつけたS&P500の推移

    (Data Source:Macrotrends S&P500 10yr daily chart)

    上記グラフの各ポイントの説明

    1. リーマンショック前の高値 (2007 Oct 9: 1,565)
    2. リーマンショック時の底値 (2009 Mar 9: 677)
    3. コロナ前の最高値(2020 Feb19: 3,394)
    4. コロナショックでの底値(2020 Mar23: 2,192)
    5. 現在の水準 (2020 Aug 28: 3,508)

    現在の水準は、2月19日につけたコロナ前の最高値である$3,394をも上回り、過去最高値になっております!

    リーマンショック時につけた底値の$677から比較すると11年間で5.2倍、リーマンショック前の最高値の$1,565から13年で2.2倍伸びています。 年間リターンはそれぞれ16.1%6.4%で、どちらも5%を超えておりますね。

    既に投資をされた方はラッキーですが、これから投資をご検討されている方は、さすがにここまで上昇してしてしまうと、手が出しずらくなると思いますので、今回は、コロナ鍋でS&P500が急上昇している要因を紐解いていきたいと思います。

     世界的にコロナによる経済不況に陥っていることを踏まえると、なぜコロナ前よりも株価が高くなるのかが不可解ですよね。私なりにリサーチしてみたので、今後の投資判断のご参考になればと思います(投資は自己責任でお願いいたします)!

     

    コロナ禍でS&P500が上昇した理由①:より一層勝ち組が強くなった

    S&P500は時価総額が一番大きい500企業のインデックスです。このインデックスで一番大きな企業は、Apple, Microsoft, Amazon, Google, Facebook, Johnson & Johnson,  JP Morgan, Walmartといった、各セクターのNo1企業ばかりです。これらの企業は、資金力もあり、優秀な社員も揃っているため、競争上圧倒的に有利になります。

    ちなみにApple, Microsoft, Amazon, Google, Facebookの5社だけでS&P500全体の25%を占めています(2020年8月29日時点)。以下S&P500のウエイトTop企業

    (Data Source: SlickCharts)

    これらの企業の大半はコロナによってそのセクターにおけるシェアを更に伸ばしております。例えば、わかりやすい例でいうとAmazonとWalmartです。

    コロナでオンラインでの買い物が一気に増える中、この2社は大きく売上を伸ばしております。中小企業がこのような急激なトレンドの変化に迅速に対応できませんが、Amazonは、需要増に応えるために10万人の人材を採用したり、Walmartもより早くお客さん宅へ物を届けるため、配送できる店舗を増やしたり、ドライブスルーにおけるピックアップ拠点を増やしたり、大掛かりななことを短期間で進めています。

    AmazonやWalmartには、潤沢なキャッシュも、優秀な人材も揃っており、より機動力を持ってトレンドの変化に対応できます。

    もともと資金繰りが厳しい中小企業は、このようなショックに見舞われると、資金が底をついて倒産してしまうケースも少なくありません。そうなると更に勝ち組にシェアが集中してしまいます。

     

    コロナ禍でS&P500上昇した理由②:テクノロジー系、ヘルスケア系の割合が高い

    1つ目の理由と似ているのですが、そもそも伸びているテクノロジー系や、ヘルスケア系の企業が占めるシェアが高くなっている点が挙げられます。以下セクター別のウエイトになります。

    (Data Source: Mike Patton, Forbes)

    この5年間でApple, Microsoft, Googleといった企業が入っているInformation Technologyのウエイトがどんどん高くなっていますね。

     

    コロナ禍でS&P500が上昇した理由③:米国経済リカバリーへの期待

    当たり前のことですが、ワクチンの開発が順調に進んでいるというニュースが出ると、株価は上がる傾向にあります。世界各国の優秀な大企業が猛スピードで取り組んでいるため、安心感を持っている方は多いのではないでしょうか。

    ワクチンが開発され元の世界に戻れば、また経済活動が活発になります。ワクチンの開発が進めば進むほど、その期待は膨れ上がります。 

    コロナのワクチンの前倒しの普及、またはワクチンが想定よりも効果的な治療を実現できたとなれば、展望は今よりも明るくなりますので、株価の上昇要因になります。 

    とはいえ、ビフォーコロナの世界の株価よりも上がるというのは、やはり感覚的におかしいですよね。。。なんでこんなことが起きるのでしょうか。

    もう少し深堀をしたところ、米国政府の支援策により米国市民の可処分所得と貯蓄率が急上昇しており、米国市民の懐にある貯蓄が消化されれば、経済V字回復に寄与するという期待感もあるようです。

    可処分所得(2019年1月から2020年7月)

    (データソース:Federal Reserve Bank)

     

    貯蓄率(2019年1月から2020年7月)

    (データソース:Federal Reserve Bank)

    上記の通り、コロナが始まった3月から可処分所得と貯蓄率は上昇していますね。米国政府が打った財政支援が大きくけん引しているようです。もらえる失業保険の方がもらっていた給料よりも高い人も多いとか。

    この3月-7月の間で蓄えた貯蓄額が消化されれば、なんと米国GDPを12%程押し上げる効果があるそうです。従って、これからワクチンが開発され、普通に外出ができ、従来通りにお金を使える世界が戻った時には、一気に経済が潤う可能性を秘めているということですね。

    コロナ禍でS&P500が上昇した理由④:ロビンフッドによる株投資参加者の増加

    ロビンフッドは、売買手数料無料と必要口座残高がないことで、ミレニアム層から絶大な支持を得ています。もともと株投資に積極的でなかった多くのミレニアム層が、コロナを機にロビンフッドを通して株投資を始めたことで、より多くの資金が株式市場に流れることになりました。

    ミレニアムの中で人気の株は、Amazon, Apple, Microsoftといった彼らが身近に使っているテック系の株が多くのウエイトを占めているようです。

    最後に

    この直近のS&P500の上昇は急激で、一見経済の実態と乖離が起きているように見えましたが、中身を見ると強い企業がさらに強くなって、これらの企業の株価上昇が全体を押し上げている構造がわかりました。

    また、ワクチン開発に対する期待と、元の世界に戻った時に起こるであろう消費増も楽観的になれる理由なのかもしれません。それに加えて、ロビンフッドによりミレニアムが株投資を開始して、より多くの資金が流れるようになりました。

    とはいえ、いくらS&P500に名を連ねる大企業がシェアを伸ばしているからと言って、経済全体が拡大しなければどこかで成長はストップしてしまいます。

    それに、コロナ前に時価総額が既に1兆ドル前後あったAmazon, Apple, Microsoftがコロナ後に2兆ドル近くに成長するのって過熱しすぎの気がします。実際に売上はこの期間で2倍になっていませんし。。投資家の期待の膨らみに、実績がだいぶ後れを取っている状態と解釈しています。

    しかし、ミレニアムが参入した今はこれがNew Normalと解釈することもできます。。。難しいですね。。

    私自身は当分キャッシュで持っておこうかなと考えております。大規模な株価の調整が入るまでは買い増さないでおきます!

     

     

    40年間コーヒー代を投資すれば沖縄移住の生活資金が貯まる!?

    ついついスタバに行ってスターバックスラテを頼んでしまう癖があるのですが、毎日のコーヒー代を節約&投資していたらどうなるか気になり計算してみましたので共有させて頂きます!

    コーヒー代の節約&投資は、既にアメリカでは広まっている概念でして、この記事を見てまたかよ!?と思う方は多いかもしれませんが(何度もすみません。)、今回は、コーヒー代、投資リターン%、投資年数のパターンを複数掛け合わせて計算しているのでご自身の状況によりフィットしたスタイルを選べるのと、沖縄生活で必要な資金が貯まるかという観点からも見てみます!

    タイトルで期待させ過ぎてしまったかもしれないので先に申し上げておくと、25歳から40年間毎日 600円のコーヒー代を7%リターンで投資すれば、25年間分の沖縄生活資金を築ける計算になりました!(それより長生きしちゃったらごめんなさい!)。40年の投資はちょっとハードルが高いですかね。。。

     

    いくら貯まるか:節約だけで投資しないケース

    縦軸はコーヒー代で横軸が投資年数です。コーヒー代は、コンビニで買える100円くらいのコーヒーから、スタバにある600円くらいするデラックスなコーヒーまでバリエーションを持たせました。

    さすがに一日数百円のレベルなので、ある程度続けないと貯まりません。。そのため、節約期間も5年から40年のレンジにしております。

    上の表の読み方を説明すると、100円のコンビニコーヒーの場合は、5年で18万円、40年で144万円になります。リタイアするのに必要な資金には到底届かないですね。。。

    一方で、600円のスタバフラペチーノの場合は、純粋に6倍の貯金になります。5年で108万円、40年で864万円!ここまでくると、だいぶ老後資金として頼れますが、この先40年後って生きているかどうか。。正直私自身はあまりイメージがわかないです(笑)。

    私自身は35歳で、45歳でのアーリーリタイアを目指しているので、10年の期間となると、600円のスタバフラペチーノで216万円の貯金です。次は、3%のリターンで投資運用したらどうなるか見てみます!

     

    いくら貯まるか:節約&投資リターン@3%

    600円を10年間投資すると、252万円ですね! 3%リターンの方が、先述の節約するだけのケースよりも252-216=36万円多く貯まりましたね!

    3%って現実的なの?と言われてしまうと、株式市場は乱高下するので、何とも言えませんが、アメリカS&P500インデックスに10年以上の期間投資していた場合のワーストケースでも3%弱のリターンがありました!

    過去のS&P500インデックスのリターンについてはこちら

    今度は5%で運用したケースを見てみましょう!

     

    いくら貯まるか:節約&投資リターン@5%

    600円を10年間投資すると、280万円ですね! 5%リターンの方が、先述の貯金するだけのケースよりも280-216=64万円多く貯まりました!

    5%は大体米国株式投資のリターンの目安として使われることが多いです。有名投資家のWarren Buffetさんが2013年に6%のリターンを期待できると言っていたので、それよりかは保守的な数字です。

    最後に7%で運用したケースを見てみましょう!

     

    いくら貯まるか:節約&投資リターン@7%

    600円を10年間投資すると、312万円ですね! 7%リターンの方が、先述の貯金するだけのケースよりも312-216=96万円多く貯まりました!ちなみに600円を40年間投資し続けると4,725万円にもなりますね!これこそ老後生活資金です!

    7%は少し強気の見積もりかもしれませんが、実現できない数字ではありません! もしアメリカS&P500インデックスに10年以上の期間投資していた場合のベストケースだと16%弱のリターンでした(記事はこちら)。ワーストケースが3%だったので、ベストケースの16%との間を取っても約10%あります。過去事例を見る限り可能な数字ですね!

    次にどれだけの老後生活資金が必要か、年齢別、月当たりの支出別にみてみましょう!

    生活資金毎月いくら使えるか:投資しないで取り崩すケース

    必要な生活資金を、縦軸の月当たりの支出別(10万円から40万円)、横軸のリタイア時の年齢別(40歳から65歳)で計算しております。リタイア後には、投資をせず、生活資金を毎月90歳まで取り崩す想定のケースです。

    私の場合、10年後の45歳でリタイアしたいので、45歳の列を見てみるとの支出が10万円でさえ、老後資金5,400万円が必要になります。。コーヒー代を10年投資したところで全く足しにならないですね(笑)

    実際には、月の支出が20万円くらいかかりそうなので、その場合は1億800万円必要です。。。だいぶハードルが高いです(笑) 

    調べたところ、沖縄での生活も2人以上の世帯で月20万円かかるようです。

    このままでは全く到達できないので、リタイア後も投資を続けるケースを計算してみました!

     

    生活資金毎月いくら使えるか:投資しながら取り崩すケース@2%

    生活資金を2%で運用しながら取り崩した場合、10年後の45歳でリタイア&毎月10万の支出だと、生活資金は3,565万円に圧縮されます。投資せずに取り崩したケースの5,400万円から、約2,000万円も下がりましたね!

    同時に、毎月20万の支出を可能にするために必要な資金は、1億800万円から7,129万円に約3,500万円も圧縮されました!

    資金を毎月一定額取り崩しながらの投資なのですが、45歳から90歳までの45年間という長期間に渡って投資することで、複利の恩恵を得られるのですね! 2%の運用とはいえ、効果は抜群です!

     

    沖縄でのリタイア生活に必要なコーヒー代投資とは!?

    沖縄での生活費は2人以上の世帯で平均20万円です。生活資金を2%リターンで投資しながら取り崩すケースだと、65歳でリタイアするには4,726万円が必要な生活資金になります。

    その4,726万円を貯めるために必要なコーヒー代投資とは一体!?

    節約&投資@7%リターンの表を使うと、600円のコーヒー代を40年間 毎日7%リターンで投資することで4,725万円貯まることがわかりました。沖縄生活に必要な老後資金とドンピシャ! 

    90歳で死ぬときには1万円借金して死ぬ計算です(笑)。綺麗に使い切って気持ち良いですね!

     

    最後に

    コーヒー代を毎日節約&投資した場合だと、40年という超長期にわたって継続しないと、リタイアに必要な資金を捻出することは難しいことがわかりました。しかも7%という高リターンでないといけません。

    20代の方で今後40年間にわたり根気よく投資を続けられる方は、是非ともトライして頂きたいですが、リタイアまでそんなに時間がない方はコーヒー代だけに限らず、もっと投資しましょう笑! 

     

     

     

     

     

     

    投資するならどっち?東京ワンルーム vsハワイコンドミニアム

    将来ハワイに家を持ちたい!と思っている人は多いのではないでしょうか。私にとっても長年の夢です! ハワイとはいえ海外不動産投資になるので、国内不動産投資よりもハードルぐっと上がります。

    最大の障壁が、海外不動産は現金での購入がほぼほぼ必須になる点です(厳密にいうと、融資してくれる銀行はあるものの、金利が高く採算があわないのと、借り入れられる金額が限定的という欠点があり、お勧めできないないので省きます)。

    一方で、東京都のワンルーム投資は頭金ゼロで買えるという宣伝広告を目にしたことがありませんか。堅実にサラリーマンを続けていて、ある程度の収入をコンスタントに稼ぎだされている方は、この信用ステータスをフルに活用して条件の良い融資が引き出せます。

    この融資の差を乗り越えてでも、どうしてもハワイ物件投資諦めたくない方のために、東京ワンルームとハワイコンドミニアムのキャッシュフローを比較してみました! 

     *物件のキャッシュフローシミュレーションは、それぞれ不動産エージェントの方から情報提供頂いて作成しております。物件によって条件は変わりますし、納めている税金で節税メリットも変わりますので、あくまでも目安としてお使い頂けますと幸いです(このシミュレーションの節税メリットは、年収1,000万円ベースで算出しております)。

    物件基本条件の比較

    東京の物件は、人気急上昇中の文京区のワンルームを選びました。三田線の駅から徒歩4分とアクセスが良く、高い稼働率が想定できますね。それに加え、2014年築の築浅です! 価格もワンルームでありがちなぎりぎりで2,000万円台に抑えられており、賃料もぎりぎり10万円を超える程度です。

     ハワイの物件は、皆が憧れるワイキキビーチから徒歩圏内のコンドミニアムを選びました! 1 BED/1BATHですが、58㎡あるのでゆったりした空間です。ワイキキビーチは見えませんが、目の前はAla Way Riverで、その後ろには山が見える長閑な眺望です。物件価格の差がそこまでない中、賃料が2倍以上の2,200ドル(24万円)ももらえるのは嬉しいですね!

    1980年築で日本の感覚だと築40年でとても古いですが、ワイキキでは普通です。アメリカでは、建物が丈夫に作られているらしく、しかも地震がないため、100年くらいは持つといわれています。

     では、この2件の収益性を比較してみましょう!

     

    物件実質利回りの比較

    賃料ではホノルル物件が2倍上でしたが、実質利回りでは文京区物件の方が良くなります。これには驚きました。。。ハワイに物件を買いたかったので残念でもあります(笑)。

    収支が逆転してしまうり要因は、ホノルル物件は賃料が高い分、それ以上に全費用が高くなっています。特に管理費であるHOA(Home Owner’s Associationの略)が月に82,000円かかってしまいます。HOAはテナントがいる/いないにか関わらず毎月発生します。空室が続いて賃貸収入が入らなくなった時のキャッシュるが怖いですね。

    現金購入が必要で、かつ実質利回りも悪いハワイのコンドミニアム。金銭的なメリットは一切ないのでしょうか?! 実は、物件価格と賃料のインフレを考慮すると投資価値が一気に上がります!

     

    ホノルルコンドミニアムの価格推移2011-2020年

    (Source:Zillow)

    上記は、ホノルルコンドミニアムの新築と中古をあわせた平均価格になります。2011年に約30万ドルくらいだったのが、2020年には45万ドルくらいまで上がっていますね! 10年で1.5倍になっているので、その期間の年間平均上昇率は4.1%あります。これならキャピタルゲインが期待できますね!

     エージェントから聞いた話ですが、ハワイ不動産価格は上がり続けていて、なかなか下がらないそうです。リーマンショック時も下落が限定的だったとのこと。ハワイ不動産の特徴として、売り出されている供給物件が非常に少ないのに対して、世界中から需要が集まるため常に需要過多。リーマンショック時は、この供給が更に絞られたため、価格が下がらずに持ちこたえられたようです。それなら安心して投資できますね! もちろん、お金があればですが。。

     また、米国の不動産は中古になっても価格が下がらないというメリットがあります。日本の不動産は、新築が高く、中古になった途端に価格が下がってしまう傾向にありますよね。一般的に築年数を重ねるにつれて物件価格が下がっていきます。一方で、米国では築年数は特に重視されていません。そのため中古物件でも値上がりするケースが多いです。建物が頑丈のためそこまで気にならないのでしょうね。

    ホノルルに限っていうと、そもそも不動産用に開発できる土地がとても限られているので、どんどん新築が建って中古が見劣りしてしまうということがありません。なので買った後も十分に価格が上がることが期待できるのです!

     賃料も同じ動きをします。物件が少ない分、ホノルルに住みたい人が増えると賃料が上昇します。それに加えて、日米のインフレーションを比較すると、日本が0%前後なのに対して、米国が2%前後ですので、米国の方がより自然に賃料が上昇します。日本では、物件が年数を重ねるにつれて賃料が微減していく傾向にあるようなので、むしろデフレです。今後、両国がどのようなインフレ水準で推移するかは予測できませんが、両国のマクロ経済の予測についてはここをクリックしてください。

    それでは、この物件価格と賃料のトレンド違いを織り込むべく、それぞれの物件を購入してから35年間賃貸運用してから売却した場合、キャッシュフローがどうなるか比較してみましょう!

     

    キャッシュフロー内訳比較- 東京フルローン購入vs ハワイ現金購入 

    日本と米国での物件価格/賃料と築年数の関係性の違いを加味すべく、文京区物件は毎年物件価格と賃料が-1%下落、ホノルル物件はどちらも毎年+2%上昇すると仮定しています。

    物件売買キャッシュフロー: 売却額  - (ローン返済/購入額)です。文京区物件は購入時の出費とローン返済を合わせて4,000万円かかっているのに対して、売却時には1,700万円とその半分にもなりません。一方で、ホノルル物件は3,800万円の現金が最初に必要ですが、35年後には5,800万円で売却できます!結果、文京区物件は2,300万円の赤字に対して、ホノルルの物件は1,900万円の黒字になりました

    東京の-1%の下落とホノルルの+2%の上昇のインフレトレンドの差が顕著に表われました。

     賃貸運用キャッシュフロー:文京区物件が2,500万円の黒字に対して、ホノルル物件は3,100万円の黒字です。もちろんインフレは賃料のみならず全費用で加味しています。また、費用が高い分、多少ホノルル物件の方が節税効果が大きくなりますね(物件の購入をされる前に、税理士の方に相談されることをお勧めします。上記は不動産エージェント情報に基づいて作っているだけです)

    実質利回りでは文京区物件が上回っていましたが、35年間運用するとこちらもインフレ効果でキャッシュフローが逆転します。実質利回りの欠点はその時の賃料、費用、物件価格で計算されているスナップショットなので、今後の予測ではない点です。

    合計キャッシュフロー:文京区物件で300万円、ホノルル物件ではなんと5,000万円にもなります! しかし、これは純粋な毎年のキャッシュフローの合算値です。実際にはインフレーションがあるので、お金の価値が変わってきます。現在価値に変換するには、インフレ分を割り引かないといけないです。ここでは、毎年1%の割引率(インフレ率)でNPV(正味現在価値)を計算しました。そうすると、それぞれ13万円と2,850万円と大幅に減ってしまいます。

    以下わかりやすいように累積キャッシュフローのNPVを購入時から売却時までの35年間分棒グラブにしてみました。

     

    年別累積キャッシュフロー比較① – 東京フルローン購入vs ハワイ現金購入

    文京区物件は、購入時の出費が抑えられている分最初の赤字幅は小さいですが、賃料だけではローンの支払いをカバーできないため、毎年持ち出しが発生してしまい、その赤字が徐々に累積して大きくなります。35年後の売却時にNPVがプラスに転じますが、13万円と金額が小さいためグラフ上では確認が取れないレベルです。

     一方で、ホノルル物件は購入時に現金が必要で大幅な赤字スタートしますが、賃貸運用で毎年キャッシュフローがプラスになるので、徐々に累積赤字が少なくり、売却時に一気に2,900万円の黒字転換してますね。

    参考までに、35年間現金保有した場合のケースも入れました。金額はホノルル物件の購入時に必要な3,800万円です。1%のインフレの中、何もせずに放っておくことで、35年後にNPVで1,100万円も損をすることになります。

    それと比べると、文京区物件もホノルル物件もNPVはプラスなのでより魅力的です。仮に3,800万円を1%のリターンで投資運用していたら、インフレと同じ1%なので、NPVは0になっており、損しなかったことになります。

    文京区物件はフルローン購入、ホノルル物件は現金購入となると、同一条件でのNPV比較ではありません。次は両物件現金購入で買った場合のNPVを試算してみました。

     

    年別累積キャッシュフロー比較② – 東京現金購入 vs ハワイ現金購入

    文京区物件のNPVは、フルローンでの購入ケースではプラス13万円でしたが、ここではプラス286万円に上がりましたね!ローンを活用しないことで、毎月の金利分を払わなくてよくなるので、その分NPVが良くなりました。しかし、ホノルル物件の2,900万円と比較すると見劣りします。

    賃貸収入で頭金ゼロのフルローン支払いをほぼほぼカバーするスキームは、賃料が物件価格に対して高く、かつ超低金利で融資ができる日本ぐらいでしか実現きないスキームです。これは日本のサラリーマンの方の特権だと思います。

    しかし、せっかく超低金利のフルローンで物件購入をしても、手元の現金の使い道が他にないのであれば、現金を使って物件購入して、NPVを少しでも上げたほうが良いですね。

    では、最後に文京区物件をフルローンで購入して、残った手元の現金を5%リターンの株式投資に回した場合はどうなるでしょうか(米国株投資で期待できるリターン%についてはこちら)。両ケースともにホノルル物件価格同等の3,800万円を現金で持っており、文京区物件は毎月の赤字を補填する費用を差し引いた残りを5%リターンの株式投資したケースです。

     

    年別累積キャッシュフロー比較③ -東京フルローン購入+株投資 vs ハワイ現金購入

    文京区物件のNPVは、手元資金で株投資をすることでなんと12,300万円まで上がります! ずっと高く見えていたホノルル物件のNPV 2,900万円が小さく見えますね! これがフルローン融資を受ける最大のメリットです。ホノルル物件は現金が最初に必要なことで大きな機会損失をしてしまっていると言えます。

     

    まとめ

    一見、東京都のワンルームに投資する方が、1)頭金なしの超低金利フルローンで、2)かつ実質利回りも高いため、より金銭的なメリットがあるように見えましたが、ハワイのコンドミニアムは、物件価格と賃料のインフレ効果で、長期保有して売却すればより大きな収益をあげられることが今回のシミュレーションでわかりました。

    しかし、東京ワンルームはフルローン融資を活用し、手元の現金を株式に投資することでより大きな収益をあげることが可能です。そのため、どちらの物件を購入するかは、単純に両物件のキャッシュフロー予測だけではなく、手元に余った資金のその他の使いみをしっかりと理解して進めたいですね!

    もし物件を変えてシミュレーションをしたい場合、あるいは各条件(ローン金利、為替レート、割引率(インフレ率)等)を変えてシミュレーションしたい方はこちらからご連絡ください!各条件をカスタマイズできるエクセルを差し上げます!

     

    投資するならどっち? 日本不動産 vs アメリカ不動産 -マクロ経済比較

    サラリーマンの多くの方が目指す不労所得。その一番人気といっても過言ではないのが不動産投資ではないでしょうか。最近は、東京都ワンルームマンション投資に加えて、海外不動産投資も活発になってきましたね。私もよく海外不動産セミナーに参加するのですが、毎回大勢の方が参加されております!

    海外不動産の中でもアメリカは、世界一の先進国で、安心して投資できるメリットがあり、特に注目度が高いです。

    今回は、日本不動産投資とアメリカ不動産投資の展望をそれぞれ理解すべく、不動産収益に関わるマクロ経済指標を日本とアメリカで比較してみたいと思います。特に、将来の不動産価格、物件稼働率、賃料を大きく左右する人口成長と経済成長に焦点をあててみました。その上で、アメリカ不動産の直近の価格と賃料を推移を見てみました。

     

    日米人口比較: 2015-2060年

     

    日本の人口は、2015年の127百万人から、2060年の87百万人へと32%減少。一方で、米国の人口は、321百万人から417百万人へと30%増加。日本の人口の2.5倍だった米国の人口が、5倍近くに跳ね上がることになるんですね。

    (ソース:厚生労働省)

    人口が減少する日本では、不動産物件の購入需要と賃貸需要が減ることで、不動産価格が下落、賃料も減ってしまうと推測できます。逆に、人口が増加する米国では、その逆が予想できますね。

    日米GDP比較 2018-2060年

     

    日本のGDPは、2018年の4.7兆ドルから2060年の4.6兆ドルへと2%縮小。一方で、米国のGDPは、19.2 兆ドルから34.2兆ドルへと78.1%拡大。これにより、日本のGDPの約4倍だった米国のGDPが、7.5倍近くになります。

    (ソース:日本経済研究センター)

    GDPが成長しない日本では、不動産を購入、賃料を払うために必要な経済力が伸びないが、GDPが成長する米国では、経済力が伸びるということですね。(単位:兆ドル、2014年換算)

    上記の通り、日本vsアメリカの国レベルの比較では、米国不動産市場展望の方が格段明るく見えるますが、実際のところ米国不動産はどのような価格と賃料で推移しているのか調べてみました!

    アメリカ不動産価格推移(2010-2020)

     

    (Source:Zillow)

    上記の通り右肩上がりで上がっているようですね。2010年の$170K付近から2020年には$240K付近まで価格が上昇しております。直近11年間で40%の上昇です。キャピタルゲインが期待できますね!

    $240Kと聞くと安い!と思われる方が多いと思いますが、人気のニューヨーク、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、ホノルルといった都市部では、その2倍も3倍もする価格に跳ね上がります。

     

    アメリカ不動産賃料推移(2010-2020)

     

    (Source:Zillow)

    賃料も同じ傾向にありますね。2011年の$1.22K付近から,2020年には$1.58K付近まで上昇しております。こちらは30%の上昇になります!

    日本でも、リーマンショック以後、都市でマンション価格が上昇傾向にありましたが、賃料はそれに追いついて上昇しておりませんでした。それに比べると、アメリカ不動産の賃料インフレはインカムゲインの上昇が期待できますね。

    上記の不動産価格と賃料は、あくまでも国レベルでの平均値であって、場所によってトレンドは大きく異なります。次は、特に人気の高い東京のワンルーム投資とハワイコンドミニアム投資の収支比較をしてみました!興味があればご一読ください:投資するならどっち?東京ワンルーム vsハワイコンドミニアムの収益比較

    アーリーリタイアするために必要な投資額とは?

    前回の記事では、米国株式S&P500に投資して老後資金3,000万円を得るには、各年齢ごとにいくら一括投資しなければならないかシミュレーションしました(前の記事はこちら)。

    今回は、一定金額を毎月継続して投資した場合、何年後にいくらになるかをシミュレーションしてみました。目指すアーリーリタイアの年齢までに十分な資金を貯められるかのご判断に使って頂ければと思います!今回も前回と同じ5%の株式投資リターンを使っています。

     

    定額投資でいくら貯まるか:投資運用@5%

     

    以下のグラフは毎月の投資金額(縦軸)と、投資期間年数(横軸)ごとにいくらの資金を築けるかをシミュレーションしております。@5%リターンです。

    ケース①:もし毎月3万円を今後40年間にかけて投資するのであれば、4,578万円になります。塵も積もれば山となると思いきや、投資原資は1,440万円だけです(3万円*12か月*40年=1,440万円)。その差額の3,138万円は純粋に投資効果によるものです。恐るべし投資効果。。

    ケース②:もし投資期間を半分の20年にして、同じ4,000万以上の老後資金を築き上げるには、毎月いくら投資しなければならないのでしょうか。ぴったり同じではありませんが、毎月10万円の投資を20年間した場合、4,110万円になりますね。

    この場合、投資原資は2,400万円になるため(10万円*12か月*20年=2,400万円)、差額の1,710万円が投資効果になります。ケース①と比較すると劣りますが、それでもありがたいですねー。

    ケース①は1,440万円の原資で4,578万円。原資の3.18倍になっています。ケース②は、2,400万円の原資で4,110万円。原資の1.71倍です。ケース①はケース②よりも1,000万円近く少ない原資の捻出で、約450万円多い老後資産を築き上げられております。

    このように、より少ない原資でもより長い期間投資することで、より多くの老後資金を築き上げることができるのですね!

    ちなみに、私は30歳で貯金ゼロから米国株式投資を始めました。。もし20歳から始めていたらいくらになっていたのだろうといつもシミュレーションをしては悔しがっています(笑)。過去に戻れないことは知っているのですが、ついついくせで辞められません。。。

    このような不毛な幻想にふけずにすむよう、早めに投資を始めることをお勧めいたします!

     

    何歳でリタイアできるか:老後資金取り崩し&投資なし

     

    では、この4,000万円以上の老後資金があれば、一体何歳でリタイアして、リタイア後に毎月いくら使えるのでしょうか!?

    以下がリタイア年齢(横軸)とリタイア後(縦軸)にかかる毎月の支出をベースに必要な資金をまとめた表です。リタイア後は90歳まで生きるとし、リタイア時に株式投資はやめて老後資金を取り崩す前提です。

    もし55歳でリタイア予定で、リタイア後は90歳で死ぬまで毎月10万円の生活費が想定されるのであれば、4,200万円の資金が必要になります。1) 家のローンが完済しており、2)年金ももらえるのなら十分な金額なのかもしれませんが、1)+2)の前提がなければ、都会で暮らすのは難しい水準ですね。

     

    何歳でリタイアできるか:老後資金取り崩し&投資運用@2%

     

    では、リタイア後も毎月一定額を取り崩しながら、残りの老後資金を投資運用することで減少ペースを抑えたらどうなるのでしょうか。投資スタイルはアグレッシブなリターン狙いの投資(5%)から、資産を守る保守的なスタイルに切り替え、2%リターンで計算しております。

    先ほどのケースと同じ55歳のリタイアで月の出費が10万円の場合、必要な老後資金は3,024万円になり、4,200万円から大幅に減りました!

    たったの2%のリターンと思いきや、長期に渡るとかなりのインパクトですね。リタイア後も資産取り崩しながら保守的な投資を続けることが大切ですね!

    むしろ、4,000万円以上の資金があれば、同じ55歳のリタイアで出費を15万円まで増やすことができますね。一か月プラス5万円の差はありがたいですね!

    次に、FIREという十分な老後資金を貯め、その投資収益だけで生計を立てる方法を紹介します!

     

    投資収益だけで生計を立てるFIRE方式

     

    最近欧米で特に若い人の間で注目されているFIREというライフスタイルがあります。FIREはFinancial Independence and Retire Earlyの略で、できる限り早くリタイアして、仕事に拘束されない自由な人生を実現するというコンセプトです。

    FIREでは、1年間の生活費の25倍の資金を最速で貯めて、その資金を投資運用することで取り崩しなしの生活を実現することを推奨しています。要するに1/25=4%の投資リターンでリタイア後も投資運用をするということですね。そうすることで、毎年必要な生活費と同等の投資収益をあげられるので持続可能ということです。

    もし一年間の生活費が300万円かかっている方なら、貯めなければならない資金は300万円×25=7,500万円になります。以下に5%投資リターンのグラフを再掲載しました。7,500万円を貯めるには、毎月5万円の投資の場合、40年間続けないと到達しないですね。。ちょっと先が長い。。。

     

    まとめ

     

    • 毎月3万円を5%リターンで運用することで、40年後には4,578万円になる。一方で、毎月10万円を5%リターンで20年運用しても、4,110万円にしかならない。
    • 上記の例のように、より少ない原資でもより長い期間投資することで、より多くの資産を築き上げることができる。
    • 55歳にリタイアし、リタイア後に毎月10万円使う場合、4,200万円の老後資金が必要になるが、もしリタイア後に2%リターンで資金運用をしたら、ほぼ同じ老後資金で毎月15万円使えるようになる。
    • たった2%のリターンでも、リタイア後も資産運用続けることで、可処分所得が大幅に増える。
    • 年間生活費の25倍の資金を貯めることができれば、資金の取り崩しなしで、投資収益のみでリタイア後の生活が送れるとFIREは推奨している。

    もし条件を変えてシミュレーションをしたい場合はこちらからご連絡ください!各条件をカスタマイズできるエクセルを差し上げます!

     

    S&P500株式に投資すれば何%のリターンが期待できるか?

    上がるのを傍観するばかりで、なかなか手を出せていない米国株式投資。特に買うタイミングを見計らうのは難しい判断ですよね。

    今回は、米国S&P500 (時価総額の大きい米国企業の株価指数)の過去実績を用いて、1) 底値で買ったケースと2) 高値で買ったケースで投資リターンを算出してみました。その上で、老後資金3,000万を貯めるのに必要な投資額を各年齢別にシミュレーションしました(あくまでも過去実績に基づいたシミュレーションです。投資は自己責任でお願いいたします)

     

    S&P500にいつ投資すべきか

      皆さんが一番恐れるのは、株投資を始めてすぐにリーマンショックやコロナショック級の株価暴落に見舞われることですよね。

      結論は、10年以上投資する前提だと、いつ株を買い始めても儲かっていたということです。株は下がる局面もありましたが、長期的には上昇してきました。

      下のグラフはS&P500の価格を各5つのポイントで拾ってきております。Worst CaseとBest Caseのリターンがどうだったかを見ていきましょう。

        1. リーマンショック前の高値 (2007 Oct 9: 1,565)
        2. リーマンショック時の底値 (2009 Mar9: 677)
        3. 直近の高値(2020 Feb19: 3,394)
        4. コロナショックでの底値(2020 Mar23: 2,192)
        5. 現在の水準 (2020 Apr 9: 2,790)

      (Data Source:Macrotrends S&P500 10yr daily chart)

      Worst Case: ①のリーマンショック前の高値の1,565で買ってしまい、④のコロナショックの底値(2020/4/12時点の底値)の2,192で売ったしまった場合。1,565で買って早々に②のリーマンショックの底値の677まで下がり、再び1,565に戻ったのが6年後の2013年。しかし、そこから順調に伸びてプラスに転じております!

      約13年間で1.4倍。年平均リターン +2.6%

      Best Case: ②のリーマンショックの底値の677で運良く買え、③の高値の3,394で売れた場合。正に夢のような投資。

      約11年間で5倍。年平均リターン +15.8%

      ということで、10年以上の投資スパンでみると、最悪で年間+2.6%、最高で年間+15.8%のリターンが期待できたのですね!明らかに何もせず放置しておくよりかはベターだと言えますね。

      もちろん理想は、底値で一気に投資できる資金をつぎ込むことですが。。しかし、これは容易ではないです。私もリーマンショックの時はビビッて買えず、コロナショック時には早まって買ってしまったという苦い経験があります(笑)。株価が下落している局面ではもっと下がる、上昇している局面ではもっと上がると思っちゃいがちで、いつも失敗の繰り返しです。しかし、10年以上の長期スパンで見ると、当時高く買ってしまうことよりも、買わなかったことの方が損になるのです。

      どんな腕利きの投資家でも、底値と高値をぴったり予測することは難しいのが現状です。実際に、あの著名投資家のWarren Buffetさんも、2020年2月末にDelta株を46ドルで50億円分買っておりますが、Delta株は4月10日時点で24ドルで推移しており、半分の価格になってしまっております。。

       

      S&P500にどの程度の金額を投資すべきか

      感の悪い私は、いつ買うかのタイミングを見極めることを諦め、毎月給料から一定額を投資に回すよう心掛けています。失業したときのため、1年間分の生活費は銀行口座に持っておりますが、残りはすべて株式投資に回しています。

      XX歳までにYY万円貯めてアーリーリタイアしたい!と具体的にゴールを持っている方も多いと思うので、投資対効果を以下の表にまとめました。年平均リターン (Return%) ごとに、5年ー40年後(Yrs) に投資が原資の何倍になるかを表しています。

      例えば、1%のリターンで5年投資した場合は、原資が1.05倍になります。一方で12%のリターンで40年投資した場合は、なんと93.05倍にも跳ね上がります!驚異的な数字ですね。

      今後どのリターン%で米国株が上昇するかを予測するのは不可能です。代わりに一つ良い目安になるのが、Warren Buffet氏のコメントです。彼は、米国経済の実質GDP成長率が3%、インフレが2%、それに加えて株配当の1%を合計した6%が恐らく米国株式のリターンとして期待できる数字ではないかと2013年に仰っております。

      2013年から比較すると、既にS&P500も急上昇していますし、また、その時よりアメリカの経済成長のスピードが減速しているので(コロナ有無に関わらず)、6%ではなく、4-5%で計算するのがよりコンサバで良いかもしれません。

      では、早速5%のリターンを使って試算してみましょう! 5%のリターンで1,000万円を投資したとすると、今から40年後には7.04倍の7,040万円になります。一回目の投資から10年後に、更に1,000万円を追加投資すると、その30年後(今から40年後)には5.52倍の5,520万円になります。つまり、合計2,000万円の原資が30-40年かけて12,560万円(7,040+5,520)にまで増えます。5%といえど、恐ろしい威力ですね!

       

      老後資金を得るにはいついくら投資すればよいか

      麻生太郎金融相が65歳でリタイアした夫婦が、30年間老後生活をおくるには、年金と退職金とは別に2,000-3,000万円の資金が必要と宣言して話題になったことがありましたね。

      では、その上限の3,000万円を65歳で貯めるためには、いついくらを投資すべきかを試算してみましょう!以下の表は、5%のリターンで投資運用を開始した各年齢 (Age) と、各年齢で3,000万円を貯めるのに必要な原資 (Principle) を表しています。

      25歳であれば、原資はなんと426万円ですむんですね!400万円以上の貯金をそのまま株に投資できるほど余裕がある25歳の方は少ないと思うので、35歳で老後に向けた貯えを準備したケースを見てみると、それでも694万円ですむようです。一方で、50歳で始めた場合は、3000万円の約半分に当たる1,443万円が必要になりますね。

      早く投資を始めれば始めるほど少ない原資ですむので、できるだけ早くから始めることをお勧めします!

      毎月いくら投資をすれば何歳でリタイアできるかはこちら

       

      S&P500のどの銘柄に投資すべきか

      上記のリターンについての例は、どちらも株式市場全体の過去トレンドであって、個別銘柄のトレンドではありません。株式市場はいくつも個別銘柄から構成されており、全体のトレンド以上に上がっている株も下がっている株も存在します。

      私は株価収益率や今後のビジネスの成長性を鑑みて、テック系の株を買っていますが(テック系株の分析はこちら)、個別銘柄がわからない人はS&P500に連動する投資成果が得られるインデックスファンドを買うこともできます。インデックスファンド投資のメリットは、大きくわけて、1) 広域な分散投資が可能、2)株の勉強に時間をかけなくてよいの2点になります。

       

      S&P500への投資戦略のまとめ

      簡単に上記の内容をまとめさせていただきますね。

      •  株投資は買う/売るベストタイミングを見計らうことは、困難。プロでも完ぺきなタイミングでは買えないことが多い。
      • S&P500の過去実績を見る限り、10年以上の長期投資であれば、買うタイミングと売るタイミングが悪くても、リターンはプラスに転じている。
      • 早く投資すればするほど、老後資金は貯めやすい。5%のリターン想定だと、3,000万円を貯めるために、25歳だと426万円の投資ですむ計算だが、50歳だと1,443万円必要になる。
      •  どの個別銘柄を買ってよいかわからなくても、S&P500のインデックスファンドに投資する選択肢がある。

       

       

       

       

       

      コロナショックで米国株は買いか②ー株価収益率、売上成長率、利益率を用いて検証

      前回の記事:コロナショックで米国株は買いか①ー下落幅と今後の展望から推測では、米国株優良8銘柄における1)過去一年間の最高値からのコロナショックによる下落率と、2)コロナ収束後の企業業績のざっくりとした見通しの2点をベースに、株価が割安か否かを私なりに判断してみた。しかし、そもそもコロナショック前につけた直近一年間の最高値が割高であった場合、コロナショックで適正値に戻っただけとも捉えられる。今回はその検証をすべく、株価収益率、売上成長率、利益率トレンドを用いて解説する(投資は自己責任でお願い致します)。

      米国株優良8銘柄の株価収益率比較:

      米国株8銘柄の株価収益率を比較してみたい(株価収益率の解説はここをクリック)。以下のデータは、2020年4月4日時点の時価総額を2019年の純利益で割ったものである。株価収益率が高いほど(割高)赤色、低いほど(割安)緑色になっている。 一番高いアマゾンが約82倍なのに対して、一番低いディズニーは約17倍と5倍の差が生じている。

      8銘柄は属する業界が異なるため、単純比較はできないが、過去5年間の売上成長率(Revenue YoY Growth %)と、純利益率(Net Profit Margin%)の2つを用いることで、現在の株価収益率の妥当性をより深く理解できる。

      売上成長率比較:

      まずは売上成長率から。2015年から2019年までの対前年比売上成長率を並べてみた。CAGRとは年平均成長率である。

      アリババが53%と一番高く、ディズニーが7.3%と一番低い。時代の流れをキャプチャーし成長段階にあるEコマース企業と、圧倒的なブランド力で長年にわたって人々を魅了し、シェアを伸ばし切った企業との違いだろうか。

      純利益率が一定とした場合、売り上げが伸びれば伸びるほど、純利益額が上昇し(例①)、株価収益率は下がる(例②)。

      例① 売上:100->120 & 純利益率:10%->10%の場合、純利益額:100*10%=10->120*10%=12。結果、純利益額は10から12に上昇する。

      例② 時価総額:100->100 & 純利益額:10->12の場合、株価収益率:100/10=10->100/12=8。 結果、株価収益率は10から8に下落する。

      もし各企業の売上が過去5年間の年平均成長率を維持して2025年まで成長するとどうなるだろう。2019年の売上を1とした場合、売上成長率が一番高いアリババで2025年に現在の12.8倍、売上成長率が一番低いディズニーで1.5倍になる。

      そもそも売上が大きくなるにつれて、企業は成長率を維持することが難しくなる。そのため、上記は非現実的な予測だが、高成長企業と低成長企業の間で年数を経ることで、どの程度売上に差がつくのかを理解するのに使ってほしい。同様に、この売上成長率の差がどう株価収益率に影響を与えるかを見てみると、以下のようになる。もし時価総額と純利益率が同じだった場合である。こちらも非現実的な数字だと心得ておいてほしい。

      アマゾン、アリババ、グーグル、フェースブックといった高成長企業は、株価収益率が1倍を下回る水準まで下がっている。すなわち、1年間分の純利益額よりも、会社の価値が低く評価されているということだ。一方で、アップル、マイクロソフト、ディズニー、スターバックスといった低成長企業は、下げ幅は限定的で、3-6倍の水準に下がっている。限定的とはいえ、現状の株価収益率の16-28倍よりも大幅に下がっている。

      仮に、各企業が売上成長率と利益率を維持できて、純利益額を上記の通り伸ばせたとしよう。その場合は、時価総額及びに株価も上がるはずだ。なぜなら、これらの優良企業が、0-6年間分の純利益額で買えるほどの割安の企業価値になるとは考えられないからだ。ブランドが確立して、ユーザーから支持を得ているブランドほど、倒産リスクは低い。売上も安泰だし、資金面でも信用を使って低コストでの借り入れができる。普通に考えて20-30年くらいは存続すると考えがちなので、株価収益率が20-30倍になる。

      純利益率比較:

      次に純利益率の見てみる。 2015年から2019年までの 過去5年間実績と、5年間の平均値(Average)を記載した。

      フェースブックが32.4%と一番高く、アマゾンが2.5%と一番低い。 20億人以上のユーザーデータベースを活用し、オンライン広告事業を手掛ける事業と、数多くの巨大な物流センターを有し、かつ薄利多売で、地球上のありとあらゆる商品を扱うEコマースとのビジネスモデルの違いだろうか。

      売上が一定とした場合、利益率が上がれば上がるほど、純利益額が上昇し(例①)、株価収益率は下がる(例②)。

      例① 売上:100->100 & 純利益率:10%->12%の場合、純利益額:100*10%=10->100*12%=12。結果、純利益額は10から12に上昇する。

      例② 時価総額:100->100 & 純利益額:10->12の場合、株価収益率:100/10=10->100/12=8。 結果、株価収益率は10から8に下落する。

      各社の純利益率の過去5年間の推移を見ていて、一番ポテンシャルを感じるのは、アマゾンだ。その他の企業は安定しているか、あるいはでこぼこしていて、コンスタントに伸ばしているようには見えない。

      アマゾンは、2015年の0.6%から2019年の4.1%までコンスタントに伸ばしている。しかも純利益率が低い分、1%純利益率を伸ばした時の倍率が高くなる(1%->2%の場合2%/1%=2倍だが、20%->21%の場合、21%/20%=1.05倍にしかならない)。このおかげで、仮に2025年までに現状の4.1%から6.2%に伸ばしただけで純利益が1.5倍になる。それに加えて売上が4倍になったとしたら、両方合わせて4*1.5=6倍も純利益が増えることになる。

      このように、目先で株価が上がっているか/下がっているかだけでなく、各企業の売上と利益率の推移をみることで、より深く株の適正価格を理解できる。

      もう少し現実的な株価予想:

      上記の知識と情報を活かして、もう少し現実的な予測を立てるとしたらどうなるだろうか。以下の条件でシミュレーションしてみる。

      • 2025の株価収益率は全銘柄20倍になる(米国株の平均的な水準)。
      • 2025までの売上年間平均成長率は過去5年間のそれの半分になる。
      • 純利益率は過去5年間の平均と同水準。しかし、アマゾンのみ1.5倍になる。

      果たして2025年の株価予測はどうなるのか。以下株価に影響する各要素の解説。

      • PE Adj:2025年の株価収益率を20倍にするために必要な調整。
      • X Revenue:1/2の売上年間平均成長率で、売上が2025年に何倍になるか。
      • X Net Profit Margin:純利益率が2025年に何倍になるか。
      • Stock Price FCST:株価が2025年に何倍になるか。(上記3つをかけた数字)

      結果は、アマゾンとマイクロソフトは、株価か0.8-0.9倍と現状よりも下落する予測になる。両社ともに現状の株価収益率が約82倍と28倍と高く、2025年までにそれを20倍に下げるためのマイナス調整が必要で、その調整をオフセットできる売上成長と利益率改善がなかった。

      一方で、アリババ、フェースブック、グーグルについては、株価が1.6倍から4倍まで伸びる予測になる。3社ともに、現状の株価収益率は2025年の20倍と既に近しい水準でほぼ調整が必要なかったことと、高い売上成長率が株価を押し上げるドライバーになった。

      アップル、ディズニー、スターバックスについては、株価が1.3倍から1.5倍に上がる予測になっている。3社ともに、現状の株価収益率は2025年の20倍と同水準か低い水準になっていたことで、プラス調整が入った。それに加えて、低成長ではあるものの、売り上げの伸びで更にプラスに転じた。

      上記の分析を受けて、私は予測上株価が一番伸びるアリババ、フェースブック、グーグル株を買った。

      株価収益率(Price Earning Ratio)とは:

      株価収益率は、時価総額/年間純利益で求められる。

      まずは、時価総額について説明する。時価総額=株価×発行済株式数。要するに投資家がつける企業価値と思っていただきたい。企業の業績予測が改善すると、株が買われ、それに伴い株価が上がり、時価総額も連動して上昇する。業績予測が悪化すると、その逆が起きる。

      次に、年間純利益について説明する。1年間分の売り上げから、全ての経費を引き、残った利益に対して税金を払った後に残る、一年間分の最終利益を指している。

      上記の2点を踏まえると、株価収益率=企業価値/1年間分の最終利益と表すことができる。言い換えると、株価収益率とは、投資家が何年間分の最終利益を企業価値と見なしているかになる。

      では、簡単な例を挙げてみたい。時価総額が1億円の会社が、年間2千万円の純利益を出していたら、株価収益率は、1億円/2千万円=5になる。即ち、投資家は5年間分の最終利益をその企業の価値として評価していることになる。

      注意しておきたいのが、結果として同じ最終利益額をあげている同業他社でも、時価総額が大きく異なることがある。例えば、企業A、B、Cの3社が以下の通りの利益額で推移していたとすると、あなたはどの企業に一番投資したいだろうか。

      恐らく、毎年利益額を伸ばしている企業Bではないだろうか。3社共に直近一年間は同じ利益額を稼いでいても、過去実績の傾向とそこから推測する今後の展望を加味して、株の需要が決まるため、株価と時価総額が異なってくる。

      企業Bの場合は、今後も同じペースでの利益額アップを織り込んだ投資家が株を買い、時価総額が1億円以上になる傾向にある。仮に時価総額が2億円になると、株価収益率は、2億円/2千万円=10倍になる。そのような背景を知らずに、企業Bの株価収益率(10倍)を企業Aのそれ(5倍)と比較してしまうと、割高に思えるかもしれない。

      一方で、毎年利益額が下落している企業C株の需要は落ちる。仮に、時価総額が5千万円になったとすると、株価収益率は2.5倍になる。以下にまとめた。

      さて、企業Aの10倍、企業Bの5倍、企業Cの2.5倍。どれが一番割安なのだろうか。どの株も過去実績とそこから推測する今後の展望が織り込まれている今、なかなか判断が難しいのではないだろうか。全企業で株価収益率が5倍だった時は、過去の実績から今後の利益額アップが一番見込める企業Bが一番割安に見えた。しかし、その結果として、企業B株に需要が集中して株価が上がり、企業Bの株価収益率が5倍から10倍に上がってしまった。株価収益率は、このような動きすると思っておいてほしい。

      上記に記載した業績トレンドの影響と合わせて理解いただきたいのが、株価収益率は、業界によって平均値が異なる傾向にある。そのため、各企業の株価収益率の妥当性を理解するには、同業の競合他社と比較するのが良い。全般的な株価収益率の平均値は、一般的な日本の上場企業で15倍、米国企業だと15-20倍、米国テクノロジー系を扱うナスダック総合指数だと30倍近くに跳ね上がる。記事に戻る場合はここをクリック

       

       

      コロナショックで米国株は買いか①ー下落幅と今後の展望から推測

      コロナウイルス感染拡大で世界的な株暴落が起きた。米国株は底値を付けたと表明したアナリストも複数出てきているが、1)米国のコロナウイルス感染収束の見通しが立っていない、2)実体経済への影響も顕著に出始めており、まだ安心できないと考える。これらは既に株価に織り込まれているはずだが、その程度がわからない。このような状況下、どう株投資を進めるか私なりの解釈を共有したい(投資は自己責任でお願い致します)。

      米国株はコロナショックまでは順調に推移していたこともあり、コロナショックの影響を受ける前の水準と比較すると、20-30%程下落している株が多い。以下のグラフは、過去一年間の最高値(52wk High)を100%とした場合、最安値(52wk Low)が何%で、現株価(Current)が何%かを表している。言い換えると、最安値から(グラフ上ブルー)、現時点で(4月3日)どの程度回復しており(グラフ上オレンジ)、最高値に戻るまでどの程度伸びしろが残っているのか(グラフ上グレイ)が見てわかる。勝手ながら、Amazon, Alibaba, Apple, Microsoft, Google, Facebook, Disney, Starbucksを対象にした。これらの企業はキャッシュを潤沢に持っており、当分倒産のリスクはないことから、安心して長期投資ができると判断したからだ。

      もしコロナショックによる経済影響は一過性で、コロナ感染収束後に元の世界に戻るはずと仮定すると、下落幅分回復することになるため、今現在投資することで15%-64%の上昇が見込める(コロナショック前の株価が100%としたら、そこから13-39%下がっており、現在61%-87%で推移しているため、87%–>100%, 61%–>100%に戻すには、現在の水準から15%から64%の上昇幅になる)。

      投資する銘柄選択のキーになってくるのが、1)現状コロナショック中の業績と、2)コロナ克服後の業績の見通しの2点になる。

      上記の2つの観点から、8銘柄を4つのグループに分けて、それぞれ評価してみた。パフォーマンスが良い順に、緑◎->黄緑〇->黄色△->赤×になる。

      Amazon and Alibaba:

      米国と中国を代表するEコマースプラットフォーム。どちらの国も外出が制限されている環境下、必然的にオンラインでの注文が増える。アマゾンは伸びる需要に対応するため物流センターで10万人に採用すると先日アナウンスした。今までEコマースを積極的に活用していなかったユーザーの需要もこれを機に取り込めるのではないか。また、コロナショックで営業を自粛している中小企業のデパートやストアが、資金繰り難で倒産すれば、益々売り上げがEコマースに流れるはず。並行して、両社が手掛けるクラウドサービスもコロナウイルスによるクラウド需要の急増に伴い、成長が加速すると思われる。

      最高値から現水準までの下落幅は13-19%にとどまっており、4つのグループの中で一番コロナショックの影響が限定的。下落率が限定的だが、それ以上にコロナ中もまたコロナ後も業績予測が良好なため、現株価は割安と考える。

      Apple and Microsoft:

      アップルはPCとスマートフォン、マイクロソフトはPCの販売が販売店の自粛で落ちるはず。しかし、今後においては、両社ともにPC事業は好調になるのではないか。というのは、コロナショックを受けて在宅勤務が普及したことで、家で過ごす時間が長くなり、より高品質のPCが欲しくなるのではないか。それに加え、アップルは5G対応のSmart Phone発売が予定されているのと、マイクロソフトは手掛けているクラウドビジネスが引き続き好調で、両社ともに売上アップが見込まれる。

      最高値から現水準までの下落幅は19-26%。アマゾンやアリババほどコロナを追い風にできていないが、コロナ後の世界での見通しは良いため、割安と考える。

      Google and Facebook:

      両社ともにメインがオンライン広告事業。広告業界の大きな流れとしては、オフラインからオンラインへの企業広告予算のシフトが進んでおり、その恩恵を受けてきた。シフトの要因はよりきめ細かい広告のターゲティング設定が可能なことと、圧倒的な費用対効果の良さが挙げられる。しかし、景気悪化に伴う企業広告予算削減を鑑みると、オフライン広告のみならずオンライン広告予算にも悪影響が広がる。そのためコロナ中は業績は悪いのではないか。コロナ後は、広告業界の地殻変動は今後も続くと想定される中、景気が戻れば再び成長軌道に戻るのではないだろうか。また、コロナショックを機に、両社は中小企業に対して無料で広告枠を提供し今後の新規ユーザー獲得に注力している。それに加え、両社とも潤沢な資金を活用し新事業への投資に積極的で、Googleはクラウドサービス、Facebookはインスタグラムを通したEコマースを展開している。

      最高値から現水準までの下落幅は29-31%と比較的大きく落としている。しかし、コロナ後にはオンラインの広告予算は過去同様に成長軌道に戻ると考えれば、割安ではないか。

      Disney and Starbucks:

      この2社は、他のグループと比較すると実店舗への客足で売り上げがより大きく左右される。また、どちらも生活必需品を売っているわけではないため、コロナショック中は自粛により売上を大きく落としているはずである。コロナ克服後も、濃厚接触となりやすいテーマパーク、映画館、コーヒーショップにすぐに客足が戻るかどうかが不透明なので、展望は他3グループと比較するとより危ぶまれるのではないだろうか。ディズニーはテーマパーク事業以外に、TV放送や、ストリーミングサービスを保有しているため、スターバックスよりかは、悪影響が抑えられると考える。

      最高値から現水準までの下落幅は37-39%と一番大きく落としている。コロナショックによる展望の不透明感で敬遠されやすくなっている。この2社のブランド力は圧倒的のため、もし人々の行動パターンが元に戻るのであれば、客足は戻るだろう。

      株を買うタイミング:

      もし1)長期投資ができて、2)既に割安になっていると確信できるのなら、今から投資を始めるべきだが、今すぐ投資可能な全キャッシュを投入すべきなのか。その判断は容易ではない。なぜなら、いつ株価が戻るかはわからないからだ。これから更に下がって、より割安に買える可能性も十分ある。

      そんな中、ドルコスト平均法で、毎月定額購入をすることをお勧めする。そうすることで、今が底値と思い全額を投資してしまった後で、更に株価が下がり後悔するのは防げる(同時に、仮に現在が底値だった場合は、定額購入で分散することで、より高い平均価格で購入することになる)。

      これから1-2か月にわたって世界的に感染者が増えた後でピークアウトして収束に向かうと予測されているので、その間は大きく株価が変動すると思われる。この期間においては、株が急落した時にもう少しまとまった資金を集中して投資するのが良いかもしれない。原則、株価は近未来で起こりうるイベントを織り込み済みのはずだが、大きなニュースが重なる期間は人間心理への影響が大きく過剰反応を引き起こしやすい。

      次回はこれら銘柄を株価収益率、過去5年間の売上と利益率を用いて、割安か否かを判断してみたい。 次の記事:コロナショックで米国株は買いか②ー株価収益率、売上成長率、利益率を用いて検証