ハワイと比較してわかった沖縄の観光ポテンシャル

最近、観光客数が急激に増加している沖縄。2018年に初めてハワイの観光客数に追いつき話題になりました。沖縄は、ハワイと比較してアジア主要国からのアクセスが断然良いため、観光客を誘致しやすいです。

沖縄へ多くの観光客が押し寄せている中国(2018年観光客数: 69万人)、香港(23万人)、台湾(92万人)、韓国(55万人)から沖縄への距離は、東京から沖縄への距離よりも近い。人口減少と経済低迷で国内からの観光客数が伸び悩んだとしても、アジア大国からの集客に成功すれば成長し続けられます。中国、香港、台湾、韓国の総人口をあわせると約15億人の巨大なマーケットになり、日本の人口の10倍以上。

一方で、ハワイが狙う主要マーケットは、距離ベースだと、アメリカ本土、カナダ、メキシコが一番近いです。これらのマーケットの総人口は5億人弱。沖縄がターゲットにするアジアマーケットの1/3の規模でしかありません。

ハワイにおいては、日本から多くの観光客を誘致できていますが(127万人)、直行便で約8時間かかり、その分フライト費用も高いですよね。また、オーストラリアからも多くの観光客が訪れていますが(32万人)、こちらも直行便で10時間近くかかり、費用もかさみます。そのため、中国から沖縄へ行く手軽さではないです。

沖縄ハワイの観光客の内訳比較

 

以下の積み立て棒グラフが示している通り、ハワイと沖縄の観光客数はここ20年弱で順調に増えています。ただ、その内訳をみると、ハワイは国内、海外の観光客ともに徐々に伸ばしている中、沖縄は、海外からの観光客の数を大幅に伸ばしています。

ハワイと沖縄の観光客数の推移 2001-2018(データソース:沖縄県、ハワイ州)。オレンジ:ハワイ国内、黄色:ハワイ海外、青:沖縄国内、水色:沖縄海外

2001年から2018年の海外からの観光客数の変化は、ハワイが200万人から300万人に増えたのに対して、沖縄は20万人から一気に290万人と猛追しています。

 

主要マーケットの人口、一人当たりのGDP、直行便の有無

 

今後の沖縄、ハワイの観光ポテンシャルを測るため、それぞれがターゲットとするマーケットの人口と一人当たりのGDP、距離、直行便の有無で比較してみました。沖縄本島、ハワイの3島以外にも、今後の大きな飛躍が期待できる宮古島、石垣島、奄美大島、小笠原諸島、夏休みの海外旅行の定番だったサイパン、グアムもついでに比較してみました。

 

主要マーケットの人口

 

沖縄のターゲットマーケットとして、現在観光客を多く輩出している中国、香港、韓国、台湾と日本を選んでいます。これらの国の人口をあわせると16億人を超します。

その中でも、中国の人口が14億人で圧倒的多いです。この構造は、これから10年、20年で揺るぐことはないはずです。印象としては、香港、台湾は人口が少ないわりには、数多くの観光客が訪れています。

他にもアジアには、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピンのように人口が多い国がありますが、これらの国は、沖縄よりも近い距離にプーケット、バリ、ボラカイといったリゾートがあるのと、給料水準がまだ低いので除外しています。実際に、現時点では沖縄への観光客数も少ないですし。

ハワイのターゲットマーケットは、観光客の85%を占めているアメリカ本土、カナダ、日本、オーストラリアがメインになります。まだ観光客は少ないですが、距離的に近いメキシコも入れると、ターゲットマーケットの総人口は6.5億人になり、沖縄のターゲットマーケットと比較すると規模で半分以下になります。

 

 

主要マーケットのGDP/Capita

 

沖縄のターゲットマーケットの中で、中国が9,700ドルと最低水準。しかし、その伸びは著しいです。PWCのリサーチによると、2030年に26,900ドル、2040年に34,000ドル、2050年には47,400ドルまで上昇すると予測されています。従って、現在の水準から5倍の規模になります。

一方で、25,000ドルから48,000ドルのレンジにある香港、台湾、韓国、日本は比較的成熟しており、今後は大きな伸びが期待できないです。これらの国においては、人口の多くが既に行きたいところへ観光できていると推測います。

ここでのハイライトは、14億人の人口を有する中国が、5万ドル近いGDP/Capitaを持つことで観光へ多大な影響力を及ぼすことです。

それに対して、ハワイのターゲットマーケットは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、日本のメジャー4か国が、39,000ドル-63,000ドルと高い水準を誇っています。

一番人口が多いマーケットのアメリカは、現在の62,794ドルから2050年には87,700ドルになると予測されています。中国よりも高い水準を維持することになりますが、現在の水準から40%しか伸びない計算なので、中国ほど多くの新規観光客を排出できないはずです。

一方で、メキシコが中国同様の成長が期待されており、現在の9,673ドルから、2050年には41,300まで上昇する予測になっています。その時には、ハワイもメキシコからの観光客に期待できるでしょう。しかし、人口が中国の10分の1のため、インパクトに欠けます。

 

主要マーケットから沖縄ハワイへの直行便

直行便がある観光地&マーケットのペアは、黄色のセルで〇、ないところは白のセルで×をつけています。

オアフ島へは、アメリカ、カナダに加え、遠く離れた中国、台湾、韓国、日本、オーストラリアからも直行便が既に存在しているため、だいぶマーケットの開拓が進んでいることがわかります。ハワイは観光促進のため、かなり昔から積極的にマーケットの誘致に取り組んできているためです。

沖縄本島へは、アジア各国からの直行便は既に開拓済みです。一方で、アメリカ、カナダ、オーストラリアからの直行便がありません。この要因は、沖縄がハワイほど観光誘致に今まで積極的ではなかったことに加え、北米人にとって、ハワイの方が距離的に近くにあるため、わざわざハワイを超えてまで沖縄に来る魅力は感じないからではないでしょうか。従って、これらのマーケットから沖縄への観光客は、今後もあまり期待しないほうがよさそうです。

マウイ島、ハワイ島、宮古島、石垣島といったサブアイランドは未だ直行便が少なく、もし就航した場合、観光客は大きく伸びるのではないでしょうか。

 

主要マーケットから沖縄ハワイへのフライト時間

 

下記に、各マーケットから観光地への距離をベースに想定フライト時間を算出してみました(Google Map使用)。縦軸が観光地、横軸がマーケットです。想定フライト時間が長いほど緑色、短いほど黄色にしています。

アジア各国から沖縄本島、宮古島、石垣島へは、1-2時間のフライト時間で行けることがわかります。小笠原諸島や奄美大島もそれに匹敵するほど近いです。一方で、サイパンやグアムといった人気リゾート地へのフライト時間は3-4時間になっており、沖縄の方がよりアクセスしやすいことがわかります。

アメリカ、カナダの西海岸からハワイへのフライト時間は、約5時間となっています。アジア各国からのハワイへのフライト時間にいたっては、7-10時間程度かかります。これは、空港までの移動、チェックインを考えると往復で丸一日潰れてしまうことを意味します。長期休暇を取らない限り割に合わないため、なかなか有休消化ができないアジア人からすると、敷居が高いです。

 

今後路線開拓が期待できるルート

 

次に想定フライト時間が3時間以内の観光地 – マーケットのルートだけ残して、それ以外はグレーで塗りつぶしました。既に直行便のが存在しているルートは〇、そうでないルートは☓にしています。

中国からは、3時間以内のフライト時間で行ける観光地でかつ直行便があるのは、沖縄本島だけです。宮古島、石垣島、小笠原、奄美大島へは、3時間で行ける距離ですが、未だ直行便がない状態です。

韓国からも同様です。韓国は、最近グアムへの観光客数が日本からの観光客数を上回るほど、グアム人気が強くなっています。韓国からグアムへのフライト時間は約4時間ですが、年間に75万人もの人が訪れています。75万人の1割でも集客できれば、観光客数が少ない宮古島、石垣島といったサブアイランドへは大きな影響があります。

香港と台湾からは、沖縄本島に加えて、石垣島へも直行便が存在しますが、本数が限られています。また、香港に至っては、最近宮古島への直行便が開通したばかりです。これらから言えることは、上記の島は観光ポテンシャルが大きいことということです。

残念ながらハワイはどの国からも3時間以内で行けないことがわかります。それでも世界各国から年間1,000万人の観光客を集めているのはすごい。

 

主要マーケットの沖縄ハワイペネトレーション

 

直行便があるからといって、そのマーケットを完全に開拓しきったわけではないです。まだまだこれから伸びるケースもあります。沖縄、ハワイに残されたポテンシャルを測るため、各主要マーケットからの観光客数をそのマーケットの人口で割ってみました。この数字は、人口の何パーセントが1年間で観光地に行っているかを表す数字でして、ペネトレーションと解釈してください。データがないため、観光地は沖縄本島、ハワイ、グアムに絞っております。

中国は、特出して全ペネトレーションが低く、一番高い沖縄でも0.05%と、1万人に5人しか行ったことがない計算になります。GDP/Capitaで説明した通り、中国の人口の大半が海外旅行に行けるほど裕福ではないからでしょう。

一方で、香港と台湾の沖縄ペネトレーションは3%を超えています。グアムの韓国ペネトレーションの約1.5%、ハワイのアメリカペネトレーションの約2%よりも高い数字です。やはり香港、台湾からだと1-2時間で沖縄にアクセスできるのでその影響が大きいのでしょう。唯一負けるのが、沖縄の日本ペネトレーションである5.5%です。

現時点での中国のGDP/Capitaは、香港の1/5、台湾の1/3ほどしかないです。それが2050年には現時点の香港と同等水準、台湾の2倍の水準にまで成長します。もし中国から香港、台湾と同じ人口の3%が沖縄に観光に来たら、それだけで沖縄本島への観光客数は4,178万人になります。沖縄への全体の観光客数が984万人(2018年)、中国人人口の3%がどれほど強烈なインパクトがあるかがよくわかりますね。

ハワイはどうでしょうか。まずは距離の近いアメリカ、カナダを見てみましょう。日本の沖縄ペネトレーションの5.5%と比較すると、アメリカ、カナダからのハワイペネトレーションの1.95%、1.48%はまだ小さく見えますね。しかし、日本から沖縄の3時間と比較するとアメリカ/カナダからハワイの5時間はだいぶ不利に働くため、今の水準が相応なのかもしれません。

アメリカのGDP/Capitaが2050年までに40%伸びる予測なので、アメリカからハワイへの観光客数が40%伸びるとすると、現在の640万人から900万人に+260万人増加しますが、中国単体で4,000万人を超えてしまう沖縄と比較するとだいぶ物足りないですね。

日本のハワイペネトレーションも大幅に伸びるとは思えないです。ハワイブームは昔から続いており、ここ10年は年間100万人前後の水準を維持している状況です。最近になってANAがハワイ線でA380を3機投入しましたが、それで観光客数が2倍に増えることはないです。

 

 

観光ポテンシャルは沖縄の方がハワイより遥かに良い

 

上記の通り、沖縄は中国をはじめとするアジアの大経済圏から圧倒的なアクセスを誇っています。人口14億人の中国は、沖縄で3時間以内に行けるのにも関わらず、沖縄ペネトレーションが隣接する台湾、香港と比較すると非常に低いですい(中国:0.05% vs 香港:3.14%, 台湾:3.86%)。その原因は、中国のGDP/Capitaの低さにあるといえます。

もし今後40年間で中国人のGDP/Capitaが予想通り5倍になると、現在の台湾、香港のそれを抜くため、中国からは爆発的な数の観光客数が沖縄に押し寄せるようになるのではないでしょうか。

一方で、ハワイは地理的に沖縄よりも不利で、その制約から既に成熟している国(アメリカ、カナダ、日本等)の観光客をメインターゲットになってしまっており、爆発的な伸びは期待できないと思います。

 

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