Airbnb (エアビーアンドビー) 株はいくらだったら買うべきか?

今アメリカで一番注目を浴びているIPO案件がAirbnbです。12月中にIPOが予定されており、遂に誰でもAirbnb株が手に入るようになります! 今回は、Hilton, Marriott, Booking.com, Expedia, VISA, MastercardのバリュエーションをベースにAirbnbの株価がどうなるかを考えてみました。

Airbnbビジネスの概要と業績

簡単に言うと、民泊予約ができるオンラインプラットホームです。日本では馴染みがないかもしれませんが、登録物件数は世界で700万件以上に及び、どのホテルチェーンも優に凌ぐ規模です。

(Source:Airbnb)

その上に、通常ホテルよりも安く、LOCALと同じ体験ができることが最大の武器です。最近では、民泊だけではなく、LOCALによる現地ツアーをつけられるオプションもあります。

Airbnbのビジネスモデルは、基本ウーバーと同じです。ウーバーがタクシーに乗りたい人と、タクシー運転手をつなぎ、代金の数%の手数料を徴収するのと同様にArbnbも宿泊客(GUEST)と物件オーナー(HOST)をつないで手数料を取ります。HOSTとGUESTが多ければ多いほど、NETWORK EFFECTでPLATFORMの魅力が増します。

Airbnbは、モノ消費からコト消費への時代の変化にうまく乗って成長しています。売上は以下の通り順調に伸びており、2015年から2019年までの5年間で約5倍の規模になっています。

そのうえ、IPO資料を読むと、AirbnbのTOTAL ADDRESSABLE MARKET(獲得できる可能性がある市場規模)は3兆4000億ドルとあり、Airbnbの2019年のGROSS BOOKING VALUE(流通総額)が380億ドルなので、まだ市場の1.1%のシェアしかとれていないことになり、まだまだ成長できます。

また、Airbnbは他のスタートアップとは異なり、極めて黒字化が近いビジネスです。AmazonやTeslaのように安定して黒字が出せるようになったことで、株価が何倍にも跳ね上がるケースあるので、この点は非常に魅力的ですね

コロナのAirbnb業績への影響

2020年に入って、コロナの影響で売上は不調です。1-9月の売上は25億ドルで対昨年度比で29%下落しています。しかし、2020年7-9月四半期ベースでは、2.19億ドルの利益を出したというGOOD NEWSもあります。コロナによる不振で社員の25%をリストラするなど、事業のスリム化を図ったことが功を奏したのかもしれません。

Airbnbのバリュエーションの過去推移

2017年3月に310億ドルあったバリュエーション(時価総額)が、コロナの影響で2020年4月には170億ドルまで下げました。2020年4月時点では、コロナのワクチンの開発がまだで、事態の終息が視野に入っていなかったため、弱気のバリュエーションになったのでしょう。

次にAirbnbの株価の参考となる類似企業のバリュエーションを見てみましょう。

1) 最大ホテルチェーンであるHiltonとMarriott、2) 旅行予約サイトであるBooking.comとExpedia、3)クレジットカード会社のVISAとMastercardを選びました。これら6企業のMarket Cap/Sales(時価総額/売上)をみていきます。

Market Cap/Salesを選んだ理由として、成長段階のスタートアップ企業に関しては、長期的には競合他社と同様レベルの利益率水準になることを投資家は株価に織り込みますので、企業の利益率よりも、売上規模と成長スピードを時価総額と比較して、割高/割安を見極めようとします。従って、売上に対して何倍の時価総額がつけられているか=Market Cap/Salesが最重要指標になってきます。

コロナ前の2019年の数字を拾ってきました。

(Source: Yahoo Finance& Airbnb Prospectus)

Airbnbバリュエーション比較 vs ホテルチェーン

ホテルチェーンを選んだ理由は、Airbnb同様に宿泊体験を販売する企業だからです。しかし、Airbnbは以下の二点からホテルチェーンよりもビジネスモデルが優れていると思います。

    • Airbnbはスピーディーに取り扱い物件を増やせる: Airbnbは物件を所有せずに、GUESTとHOSTをつなぐプラットフォーマーなので、ホテルのように多額の建設費用や長い月日をかけずに物件が増やせます。
    • Airbnbの固定費は限定的: コロナのような不景気になった際に、ホテルと違って、賃料や人件費を払い続けなくてもよいので倒産リスクが小さいです。

上記の理由から、例え同じ売上でも、Airbnbのバリュエーションがホテルチェーンよりも高くなるのは自然と考えます。HiltonとMarriottのMarket Cap/Salesは平均3.05倍ですので、Airbnbはそれよりも高くなると予想します。また、成長率(Revenue Growth)をとっても、Airbnbが圧倒しています。従って、2019年のAirbnbの売上の48億ドル*3.05倍=146億ドルは超えると思います。

Airbnbバリュエーション比較 vs 旅行予約サイト

次に、旅行予約サイトであるBooking.comとExpediaを選びました。これらはAirbnbの競合にあたり、同様にプラットフォーマーとしてGUESTとHOSTをつないでいます。Airbnbとの違いは、1) これら2社は航空券とカーレンタルもやっている点と、2)これら2社はホテルから部屋在庫を買い取ることもやっている点です。従って、安く買い高く売ることができれば高い利益率を稼げる半面、売れ残った場合は損をします。

一方で、取り扱う宿泊物件に関しては、Airbnb同様に、個人宅にも幅を広げており、Airbnbも負けずとホテルを取り扱い始めたりと、どこも似たり寄ったりになり始めております。

私は長期的にみると、Airbnbが競争に勝つと思っています。3つ理由があります。

    • AirbnbはOrganic Trafficの割合が多い:Airbnbはブランド力が強く、リピーターが多いため、集客への投資コストを抑えた状態でも成長しています。実際にSimilarwebで調べたところ、2020年8-10月の期間で約91%がOrganic Trafficになっており、BookingとExpediaの59%、79%よりも高いです。その分コスト削減ができるので、競争上、有利になります。以下Similarwebより。
    • Airbnbには、他にはないユニークな物件が多く集まる仕組みがある。個人宅の短期レンタルという形でビジネスをスタートしたこともあり、元々、個人宅物件が多いです。個人宅のHOSTは副業としてAirbnbの運用していることが多く、複数のプラットフォームにて物件を掲載して運用する時間がありません。そのためAirbnb一本の人が多いようです。また、AirbnbはHOSTに加え、GUESTに対するレビューが存在します。大切な個人宅を貸す人たちは、GUEST選びに慎重で、GUESTに対するレビューがあることで、質の悪いGUESTのBOOKING依頼を断ることができます。ExpediaやBookingにはGUESTのレビューがありません。
    • AirbnbがExpedia、Booking.comの掲載物件を登録するのは容易。ExpediaとBooking.comにはホテルと不動産運用業者の物件が大半を占めています。これらビジネスは売上最大化を最優先するため、AIRBNBに物件を掲載することで売上が増えるのであれば、そうすると思います。エアラインやカーレンタル会社も同様です。

上記の理由に加え、成長率においても、Airbnbは2019年に対前年比32%で成長していたのに対して、この2社の成長率は4%-8%です。そのため、Airbnbの方がMarket Cap/Salesが高くなってもおかしくありません。Booking.comのMarket Cap/Salesの6.13倍を使うと、Airbnbのバリュエーションは294億ドルになります。

Airbnbバリュエーション比較 vs クレジットカード会社

最後に、クレジットカード企業を選んだ理由は、Airbnbと同じく以下の3つの特徴があるからです。

    • ブランド力が強い(TOP企業が占めるシェアが高い)
    • 在庫リスクがない手数料ビジネス
    • 売上原価率が低い

VISAとMastercardはクレジットカード会社の中でTOP2 PLAYERです。長年にわたりTOPとして君臨しているので、とても安定感があります。Airbnbは設立してから10年程で、同じ安定感はないですが、将来そうなる/それを超えるポテンシャルは秘めていると思います。

従って、クレジットカード会社と似たバリュエーションになってもおかしくないと考えます。これら2社のMarket Cap/Salesは平均18.72倍です。Airbnbが同じMarket Cap/Salesになるとすると、898億ドルになります。

Airbnbの株価はいくらになる?

Reuterによると、株価が$50で約300億ドルのバリュエーションに値するとのことなので:

    • ホテル並みの148億ドルであれば=株価:25ドル、
    • 旅行予約サイト並みの298億ドルであれば=株価:50ドル
    • クレジットカード会社並みの898億ドルであれば=株価:150ドル

になります。そもそもIPO後にどの水準で株取引が始まるのかがわからないです。私は50-150ドルで推移すると考えております。

投資はくれぐれも自己責任でお願いいたします!