3月10日に時価総額約4兆円で上場したRobloxは、Metaverse(インターネット上に構築される仮想の三次元空間)実現に一番近い会社の1社と言われており、多くの投資家の注目を集めております。そのRobloxについて調べましたので共有させて頂きます!
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Roblox(ロブロックス)とは
ゲーム版YouTubeと言われており、誰もがユーザーとしてプラットフォーム上にある無数のゲームを遊べ、そしクリエーターとして無数のジャンルのゲームを作れるオンラインゲームプラットフォームです。スマートフォン、パソコン、IPadで利用が可能です。2020年11月時点で1億7000万人のMonthly Active User数がこのプラットフォームを利用しており、2020年10月で1億3000万人のMonthly Active userを誇ったMinecraftを既に抜いています!(Source:PCMAG)。
(Source: Roblox SEC Filing)
ユーザーは無料で登録ができ、Robloxプラットフォーム内の大半のゲームが無料で遊べます。ユーザーは友達と一緒にゲームを楽しめ、ゲーム上でメッセージのやり取りが可能になっています。
プラットフォーム上ではRobuxという通貨が使用されています。Robuxは米ドルとの交換比率が決められており、いつでも購入可能です。 ゲーム上の自分であるアバターは、複数のパーツを組み合わせてカスタマイズできるようになっており、Robuxでアバターの衣装や特殊能力を買うことができます。また、Robuxで一部の有料ゲームを購入したりできます。
ゲームのクリエーターは自作のゲームを有料にしたり、ゲーム内課金ができたりするので収入が稼げ、Robloxはクリエーターから手数料を取って収益を得ています。
Robloxのビジネスモデル
Robloxはユーザーとクリエーターの両方を収入源にしています。
- ユーザー:ユーザーが入れる$4.99/月、$9.99/月、$19.99/月の3つのサブスクタイプがあり、サブスクタイプに準じたRobux通貨が毎月もらえます。よりグレードの高いサブスクの方がRobux換算率がよく、お得になります。このサブスク料金がRoblox社の売上になります。
- クリエーター:Robloxプラットフォーム上でクリエーターの収入源は大きく分けて3つあります。1)自作ゲーム内での特殊能力/アイテム購入に対するユーザー課金、2)ゲーム自体を有料にしてユーザーから収入を得る、3)Premium PayoutといってRoblox社からのプレミアムユーザーのゲーム利用時間に応じてクリエーターに支払われるボーナスの3つです。1)と2)のクリエーターがユーザーから手にする収入の約半分がRoblox社の手に入ります。
以下がクリエーターの収入に対してかかる各費用の内訳です。
(Source: Roblox SEC Filing)
競合マインクラフトとの違い
マインクラフトはマイクロソフトが2014年に買収したゲームで、自由自在にゲーム上でブロックを配置し建築を楽しむことができるオンラインゲームサバイバルゲームです。世界最大級のユーザーベースを持っており、その規模の大きさと絶対的な認知からよくRobloxと比較されます。以下の通り、売上ベースでみるとRobloxはこの3年の急上昇でMinecraftを抜いています。
(Source:businessofapps)
Robloxとマインクラフトの違いは以下です:
- Robloxはサブスクリプションモデル vs マインクラフトはOne Time Pay(一回払い)
- Roblox上でクリエーターが課金収入を得ることができるが、マインクラフト上ではできない。
- Roblox上ではクリエーターが様々なジャンルのゲームをゼロベースで作ることができるが、マインクラフト上ではマスターゲームを改造することしかできない。
- Robloxはバージョンが1つしかないが、マインクラフトは複数のバージョンがあり、友達と一緒にプレイするには同じバージョンを購入しないといけない。
Roblox社の強みと弱み
Robloxの強み:
- 800万人ゲームクリエーターと3,710万人のDaily Active Userがいる世界最大のゲームエコシステム。
- クリエーターがRobloxプラットフォーム上でゲーム開発をしてお金を稼げるため、優秀なディベロッパーが集まり優良ゲームが開発される。そして、より多くのユーザーが集まるオーガニックな好循環が出来きている。
- ユーザーが友達と一緒にゲームを楽しみたくなる仕掛けがあり、友達をゲームに誘う傾向があるため、オーガニックにユーザー数が増えていく。
- 誰でもプログラミングに関するチュートリアルを無料で受けられ、ゲームを一から作る基礎を教えてくれるため親が子供に勧めやすい。欧米では実際に教育現場で活用されているらしいです。日本の小学校でもプログラミング教育が始まるので、日本でも火がつくかもしれません! 以下がクリエーター向けの画面です。
Robloxの弱み/リスク:
- 支払い能力の低い13歳未満がメインユーザー。支払い能力の高い大人をどう集客するか、現在の13歳未満のユーザーが大人るなるにつれてどうキープできるかが今後の課題。
- Roblox自らはゲームを開発をせず、クリエーター任せのため、数多くの低クオリティゲームが存在してしまうビジネスモデル。
- FacebookやAppleのように最先端のVR/ARの技術開発をRoblox社は実施できていないため、将来VR/AR技術を開発した企業に肝心なユーザー体験を依存する形になる。
- メインユーザーが子供のため、政府による規制が入る可能性がある。
- 創業者かつCEOのDavidBaszucki氏が58歳と高齢。彼が辞めた後も会社が競争優位性を維持できるかが懸念。
RobloxのFinancial Performance
以下の通り未だ黒字化に至っておらず利益率(Net Loss)は-27.9%の赤字になってしますが、BookingとRevenueの両方で高い成長率を実現しています。
BookingとRevenueの違いは、Bookingはサービス/アイテム売上が上がった年にすべて計上するのに対して、Revenueはそのサービス/アイテムを使用期間で割った金額だそうです。肝心なのは、より直近のビジネスの状況を反映しているのはBookingで、そのBookingが2020年により伸びているという点だと思います。
また、以下の通りOperation Metricsを見ても好調ぶりがわかりますね!
Daily Active User(DAU)数、Hours Engaged(ゲーム利用時間)、Average Booking per DAU(ユーザー一人当たりのBooking)のすべてが上昇しています。より多くの人が使ってくれるようになると、ユーザー一人あたりのBookingは減ることが多いのですが、両方のMetricsが上がっているところに強いポテンシャルを感じます!
Robloxのバリュエーション
2020年2月のファンディングでは約40億ドル(4,320億円)のバリュエーションだったRobloxは、上場3日目の3月13日現在で384億ドル(4兆1,400億円)と約10倍まで膨れ上がりました!
コロナでユーザー数が劇的に増えたことで、上記の通り2020年はBooking、DAU、Hours Engaged, Average Booking per DAUがすべて大幅に伸びましたが、Roblox社はコロナが終息に向かうにつれてユーザーの伸びは落ち着くとの見解を示しており、バリュエーションが10倍になった要因としては不十分にみえてしまいます。
それより、創業者兼CEOのBaszucki氏がRobloxを人々がゲームを楽しむだけではなく、コンサート、授業、会議や社交の場として機能するメタバース(Metaverse)の世界に仕立てると言及したことがバリュエーションを押し上げたのだと言われています。仮にそうなると、子供だけでなく大人も取り込むことができますし、人々がRoblox上で多くの時間を過ごすことになるので、課金の可能性がぐんと広がりますよね!とはいえ、10倍もバリュエーションが跳ね上がって、4兆円になりましたが、本当にそんな価値あるのかNetflixとFacebookと比較してみましたー。
Robloxのバリュエーションvs Netflix&Facebook
なかなか上場している競合がいないRobloxですが、同じコンテンツを楽しむサブスクという意味でNetflix、友達とつながるソーシャルゲームという意味でFacebookのバリュエーションと比較してみることにしました!
(Source: CNBC. 注1: RobloxはRevenueではなくBookingを使っています。注2: NetflixはDAUではなくサブスク登録数を使っています。)
RobloxのNet Profit Margin%は-27.9%で、黒字転換するのは長い道のりのように見えますが、時間の問題でいずれはNetflixやFacebookのように黒字転換すると仮定してここは無視します。
Market Cap/Revenue(株時価総額/年間売上)をみると、Robloxは20.4倍になっており、NetflixとFacebookの8.9-9.2倍の2倍以上の割高になっています。これをどう見るかだと思います。2020 Revenue Growth(2020年の対昨比成長率) は171.2%と群を抜いて伸びており、FacebookやNetflixの20%台前半に落ち着くのはまだ先のように見えますよね!もしそう受け止めるのであれば、相対的にみてそこまで割高のバリュエーションではないのかなと思えます。仮に2021年に売り上げが2020年の2倍になった場合、RobloxのMarket Cap/Revenueが現行の半分の約10倍になり、一気にFacebook Netflixと同じくらいの水準になります。
Robloxの今後の展望として、人気アーティストがライブをやったり、ブランドがプラットフォーム内で広告を始めたり、社内会議をプラットフォーム内でやったり、大人がもっと楽しめるようなゲームを追加したりできれば、ユーザーが入りびたりになり、無限の可能性を秘めているように思えます!
また、仮にFacebookやMicrosoftといった競合する企業に買収されるとなると株価が上がると予想されるので、そのアップサイドも秘めていますね!
Robloxのペネトレーションが全世界で上がったらどうなるか
Robloxのペネトレーションが高いアメリカ、カナダと同じペネトレーションを全世界で実現できたらどうなるかを試算してみました。アメリカとカナダのDAUは11.5百万人で、年齢別にみると13歳未満が54%, 13歳以上が46%です(Source:SEC Filing)。これらを前提にすると、13歳未満で9.2%, 13歳以上で2.2%のペネトレーションをとれていることになります。この9.2%と2.2%をほかの地域でも実現できたらどうなるかが以下の表のDAU’です。非常にざっくりの計算ですが、現状より256百万人増えて293百万人になります! 8.1倍です。もし現状のAverage Revenue/Userの$32を維持できたとしたら、売上が8.1倍になることを意味しています。やはり大きな可能性を秘めていますねー。
(Source: backlinko & World Bank)
私はIPO後にもう少し下がってから買おうかと思っております。投資はくれぐれも自己責任でお願いいたします!