コロナ中にS&P500が最高値!理由を解明

4月9日に書いたコラムでは、Warren Buffet氏を引用してS&P500の上昇を年間5%と想定し、アーリーリタイアを目指すには、S&P500への長期投資が理想と書かせて頂きました (S&P500株式に投資すれば何%のリターンが期待できるか?)

 その矢先に、、、思いもよらぬことにS&P500はその時の$2,790から、8月28日現在$3,508ドルをつけており、25.8%も上昇してしまいました!ざっくり計算で5年間分の上昇幅をこの4か月間で実現しまったことになります。S&P500の推移は以下の通り。

過去最高値をつけたS&P500の推移

(Data Source:Macrotrends S&P500 10yr daily chart)

上記グラフの各ポイントの説明

  1. リーマンショック前の高値 (2007 Oct 9: 1,565)
  2. リーマンショック時の底値 (2009 Mar 9: 677)
  3. コロナ前の最高値(2020 Feb19: 3,394)
  4. コロナショックでの底値(2020 Mar23: 2,192)
  5. 現在の水準 (2020 Aug 28: 3,508)

現在の水準は、2月19日につけたコロナ前の最高値である$3,394をも上回り、過去最高値になっております!

リーマンショック時につけた底値の$677から比較すると11年間で5.2倍、リーマンショック前の最高値の$1,565から13年で2.2倍伸びています。 年間リターンはそれぞれ16.1%6.4%で、どちらも5%を超えておりますね。

既に投資をされた方はラッキーですが、これから投資をご検討されている方は、さすがにここまで上昇してしてしまうと、手が出しずらくなると思いますので、今回は、コロナ鍋でS&P500が急上昇している要因を紐解いていきたいと思います。

 世界的にコロナによる経済不況に陥っていることを踏まえると、なぜコロナ前よりも株価が高くなるのかが不可解ですよね。私なりにリサーチしてみたので、今後の投資判断のご参考になればと思います(投資は自己責任でお願いいたします)!

 

コロナ禍でS&P500が上昇した理由①:より一層勝ち組が強くなった

S&P500は時価総額が一番大きい500企業のインデックスです。このインデックスで一番大きな企業は、Apple, Microsoft, Amazon, Google, Facebook, Johnson & Johnson,  JP Morgan, Walmartといった、各セクターのNo1企業ばかりです。これらの企業は、資金力もあり、優秀な社員も揃っているため、競争上圧倒的に有利になります。

ちなみにApple, Microsoft, Amazon, Google, Facebookの5社だけでS&P500全体の25%を占めています(2020年8月29日時点)。以下S&P500のウエイトTop企業

(Data Source: SlickCharts)

これらの企業の大半はコロナによってそのセクターにおけるシェアを更に伸ばしております。例えば、わかりやすい例でいうとAmazonとWalmartです。

コロナでオンラインでの買い物が一気に増える中、この2社は大きく売上を伸ばしております。中小企業がこのような急激なトレンドの変化に迅速に対応できませんが、Amazonは、需要増に応えるために10万人の人材を採用したり、Walmartもより早くお客さん宅へ物を届けるため、配送できる店舗を増やしたり、ドライブスルーにおけるピックアップ拠点を増やしたり、大掛かりななことを短期間で進めています。

AmazonやWalmartには、潤沢なキャッシュも、優秀な人材も揃っており、より機動力を持ってトレンドの変化に対応できます。

もともと資金繰りが厳しい中小企業は、このようなショックに見舞われると、資金が底をついて倒産してしまうケースも少なくありません。そうなると更に勝ち組にシェアが集中してしまいます。

 

コロナ禍でS&P500上昇した理由②:テクノロジー系、ヘルスケア系の割合が高い

1つ目の理由と似ているのですが、そもそも伸びているテクノロジー系や、ヘルスケア系の企業が占めるシェアが高くなっている点が挙げられます。以下セクター別のウエイトになります。

(Data Source: Mike Patton, Forbes)

この5年間でApple, Microsoft, Googleといった企業が入っているInformation Technologyのウエイトがどんどん高くなっていますね。

 

コロナ禍でS&P500が上昇した理由③:米国経済リカバリーへの期待

当たり前のことですが、ワクチンの開発が順調に進んでいるというニュースが出ると、株価は上がる傾向にあります。世界各国の優秀な大企業が猛スピードで取り組んでいるため、安心感を持っている方は多いのではないでしょうか。

ワクチンが開発され元の世界に戻れば、また経済活動が活発になります。ワクチンの開発が進めば進むほど、その期待は膨れ上がります。 

コロナのワクチンの前倒しの普及、またはワクチンが想定よりも効果的な治療を実現できたとなれば、展望は今よりも明るくなりますので、株価の上昇要因になります。 

とはいえ、ビフォーコロナの世界の株価よりも上がるというのは、やはり感覚的におかしいですよね。。。なんでこんなことが起きるのでしょうか。

もう少し深堀をしたところ、米国政府の支援策により米国市民の可処分所得と貯蓄率が急上昇しており、米国市民の懐にある貯蓄が消化されれば、経済V字回復に寄与するという期待感もあるようです。

可処分所得(2019年1月から2020年7月)

(データソース:Federal Reserve Bank)

 

貯蓄率(2019年1月から2020年7月)

(データソース:Federal Reserve Bank)

上記の通り、コロナが始まった3月から可処分所得と貯蓄率は上昇していますね。米国政府が打った財政支援が大きくけん引しているようです。もらえる失業保険の方がもらっていた給料よりも高い人も多いとか。

この3月-7月の間で蓄えた貯蓄額が消化されれば、なんと米国GDPを12%程押し上げる効果があるそうです。従って、これからワクチンが開発され、普通に外出ができ、従来通りにお金を使える世界が戻った時には、一気に経済が潤う可能性を秘めているということですね。

コロナ禍でS&P500が上昇した理由④:ロビンフッドによる株投資参加者の増加

ロビンフッドは、売買手数料無料と必要口座残高がないことで、ミレニアム層から絶大な支持を得ています。もともと株投資に積極的でなかった多くのミレニアム層が、コロナを機にロビンフッドを通して株投資を始めたことで、より多くの資金が株式市場に流れることになりました。

ミレニアムの中で人気の株は、Amazon, Apple, Microsoftといった彼らが身近に使っているテック系の株が多くのウエイトを占めているようです。

最後に

この直近のS&P500の上昇は急激で、一見経済の実態と乖離が起きているように見えましたが、中身を見ると強い企業がさらに強くなって、これらの企業の株価上昇が全体を押し上げている構造がわかりました。

また、ワクチン開発に対する期待と、元の世界に戻った時に起こるであろう消費増も楽観的になれる理由なのかもしれません。それに加えて、ロビンフッドによりミレニアムが株投資を開始して、より多くの資金が流れるようになりました。

とはいえ、いくらS&P500に名を連ねる大企業がシェアを伸ばしているからと言って、経済全体が拡大しなければどこかで成長はストップしてしまいます。

それに、コロナ前に時価総額が既に1兆ドル前後あったAmazon, Apple, Microsoftがコロナ後に2兆ドル近くに成長するのって過熱しすぎの気がします。実際に売上はこの期間で2倍になっていませんし。。投資家の期待の膨らみに、実績がだいぶ後れを取っている状態と解釈しています。

しかし、ミレニアムが参入した今はこれがNew Normalと解釈することもできます。。。難しいですね。。

私自身は当分キャッシュで持っておこうかなと考えております。大規模な株価の調整が入るまでは買い増さないでおきます!