Zillow(ジロー)株は買うべきか!?

2004年に創業され、僅か7年後の2011年にIPOを果たしたZillow(ジロー)。今米国で最も注目を浴びているナズダックテック株の一つです。直近一年間で株価が3倍以上上昇しており気になったのでZillowの2018-2020年の業績、強み、将来性について調べてみました!Airbnb(エアビーアンドビー)、Uber(ウーバー)、DoorDash(ドアダッシュ), Tesla(テスラ)と比較してバリュエーションが割高/割安かも調べました!

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Zillow株価の推移

以下のチャートをご覧になればお分かりになるように、ここ1年で急激に上昇基調になっています。2020年頭までは$50以下で推移していたのが、コロナ後から急上昇し、2021年2月28日現在は$170になっています。

 Source:Google

Zillowとは

Zillowは 不動産を買う、売る、借りる、貸すことと、ローンを組むことができる正に不動産のOne Stop Serviceです。ZillowIR資料によると、Zillowには11,000万件もの不動産物件情報が登録されており、23,000万人ものユニークビジターが毎月サイトを訪れているそうです。主にアメリカとカナダでサービスを展開しています。

私自身もハワイ不動産情報をチェックするときは必ずZillowのアプリを使わせてもらっています。自分が興味あるエリアで新物件出たり、お気に入りマークをつけている物件の価格が下がったりすると通知が来るので、都度チェックしています。

各物件の売却価格履歴、同じエリアの相場価格、ZestimateというZillow独自のアルゴリズムをつかった物件の適正価格があるので、そのエリアの不動産相場を理解していなくても安心して物件の購入検討できます。また、この先1年間の価格予測もあります。使い勝手も良くとても便利です!

Zillowサイトは使いやすく、左側に選択したエリアのマップ上に売出中の物件が赤い点で表示され、クリックすると詳細が見れるようになっています。

(Source:Zillow)

気になる物件をクリックすると物件の詳細が出てきます。最近はコロナもあって自宅にいたまま物件の隅々までいろいろな角度で見れるように3Dツアーができる物件が多くなりました。

(Source:Zillow)

 Zillowアプリの使い方を詳しく利したい方はこちらをご覧ください!

Zillowのビジネスモデル

Zillowはビジネスを3つのセグメントに分けています。

    • Home: Zillowによる物件の売買。
    • Internet Media and Technology (IMT): 主にZillowサイトで物件を売り買い/貸し借りしているエージェントやオーナーからの広告掲載料と顧客紹介料。
    • Mortgage:主にローン提供会社からの広告掲載料とZillowが提供しているローンの売買。

    Zillowの2018-2020年の業績

    以下は2018年から2020年におけるZillowのセグメント別売上の推移’棒グラフ)と、Zillow全体の売上成長率(折れ線)の推移です。売上成長率は、常に20%を超えていますね!その売上成長をけん引しているのが、Homeセグメントの急成長であることがわかりますね。

     

    次にセグメント別の利益率(Net Profit Margin%)を見てみます。どのセグメントにおいても改善傾向なのがわかります。IMTとMortgagesにおいてはすでに黒字化に成功していますね! 残すはHomeのみ。

     売上は高成長を維持し、利益は順調に黒字化に向かっているようなので、総合的にみても魅力的です!

    Zillowの強み

      • ブランド力23,000万人の月間ユニークビジター数は圧倒的です。アメリカの人口が33,000万人なので人口の約7割が使っている計算になります(実際には、私のような国外のユーザーもいるので正確ではありません)。アメリカでは”Zillow”Googleキーワードサーチ数の方が、“Real Estate”のキーワードサーチよりも多いそうです!不動産といえばZillowという認知を確立できているということなので、明白な競争優位性を築けていることになりますね!
      • データベース&アルゴリズムZillowには11,000万件にも及ぶ物件情報があります。ただ単に物件売値だけが記載されているだけではなく、過去何十年にも渡る売買履歴が記載されています。また、物件があるエリアの相場やその価格推移、及びに今後の価格予測まで見ることができます。売出中か否かに関係なく全物件にZestimateというZillow独自のアルゴリズムを使用して算出した物件のフェアバリューが記載されています。このZestimateの精度は年々高まってきており、2019年実績では、Zestimateと実際の売値との差が1.9%だったそうです(ソース:Zillow IR資料)! 多くのアメリカ人の方がZestimateを参考に不動産の値付けをしていて、私の友人は自分の家の価値を知るために定期的にZestimateを参考にしているようでした。
      • One Stop Service:前述の通り、Zillowでは、不動産を買う、売る、借りる、貸すのと、ローンを組むことができるためとても便利です。不動産を売る方の大半が新しく物件購入を考えているため、Zillowはそのようなカスタマーにとってみると一石二鳥のソリューションになりますね!

    Zillowの将来性

    Zillowの売上は高成長していますが、Zillowが狙っている米国不動産の市場規模と比較するとまだ0.1%のシェアも取れていません(ソース:Zillow IR資料)。現にZillowは不動産の直接売買事業に2018年に参入したばかりで、まだカバーできているエリアは非常に限定的です。そのためまだまだ伸びしろがあります!

    直接不動産を仕入れて転売する事業には大きなリスクも伴います。Zillowはカスタマーメリットを重視して、転売のマージンを抑えて薄利多売を狙っているように見えるため、不稼働在庫が増えるとすぐにビジネス全体が赤字になってしまいます。。このリスクは注意する必要があります。しかし、Zillowは膨大なデータベースと米国最大のトラフィックを有しているため、他社よりも機敏に不動産景気の変化に気づくことができるのでは?と思います。

    もう一つZillowの今後の成長を支えるドライバーになりうるのが、人口7,200万人を誇り米国最大の人口グループであるMillennial(1981-1996年の間に生まれた人たち)が、家を買い始めていることです。彼らは便利なサイト/アプリを使って不動産を探すことに慣れているため、Zillowとの親和性はばっちりです!

    そのMillennialの不動産所有率が43%と未だ低いので、彼らが年を取るにつれて所有率が上昇することが期待できます。また、米国では特に不動産を買い換えることが盛んです。一度不動産を買ったら終わりではなく、家族構成や住みたい場所が変わるにつれて買い換えたり、不動産価格が高騰した際に売却してキャピタルゲインを得たりするので、Zillowのリピーターとなってくれることが期待できます。

    まだ先の話ですが、Gen Z1997-2012年に生まれた人たち)に関しても将来Zillowのカスタマーになってくれる可能性があります。以下は人口(単位:百万人)と不動産所有率(%)です。

     

    Zillow株のバリュエーション

    Zillowは成長株なので、株価収益率よりも時価総額/売上(Market Cap/Revenue)を見てみます。同時に利益率(Net Profit Margin)も見てみました。時価総額/売上の値が高いほど、株は割高になります。

    異なるビジネスセグメントになってしまいますが、Zillow同様に高成長している人気のテック株であるAirbnb(エアビーアンドビー)、Uber(ウーバー)、Tesla(テスラ)DoorDash(ドアダッシュ)と比較してみました。データは2021/2/28時点のものです。

    Zillowの時価総額/売上は12.2とこのグループの中では相対的に低い数値になっています。不動産市場規模の0.1%未満のシェアしか取れていないことを考え、今後Zillowのシェアが仮に1%に上がるとしても、10倍以上の売上の伸びになりますよね!。以前書かせて頂いたAirbnbは既に1.1%のシェアがあるので、それよりも遥かに成長余地があることになります!

    Airbnbに関してはこちら

    また、利益率もこのグループの中では相対的にみると高い数字になっています。成長株が黒字転換したときはテスラのように大きく株価が上がることも期待できるので、今買って黒字転換するまで保有するのは一つの手かもしれませんね!

    今現在はNasdaq全体が大幅に上昇してしまっているので容易に買えませんが、少なくともこのグループの中ではバリュエーションが割安なので、私自身、今後下がる局面があればZillow株を買おうと思います!