コロナショックで米国株は買いか①ー下落幅と今後の展望から推測

コロナウイルス感染拡大で世界的な株暴落が起きた。米国株は底値を付けたと表明したアナリストも複数出てきているが、1)米国のコロナウイルス感染収束の見通しが立っていない、2)実体経済への影響も顕著に出始めており、まだ安心できないと考える。これらは既に株価に織り込まれているはずだが、その程度がわからない。このような状況下、どう株投資を進めるか私なりの解釈を共有したい(投資は自己責任でお願い致します)。

米国株はコロナショックまでは順調に推移していたこともあり、コロナショックの影響を受ける前の水準と比較すると、20-30%程下落している株が多い。以下のグラフは、過去一年間の最高値(52wk High)を100%とした場合、最安値(52wk Low)が何%で、現株価(Current)が何%かを表している。言い換えると、最安値から(グラフ上ブルー)、現時点で(4月3日)どの程度回復しており(グラフ上オレンジ)、最高値に戻るまでどの程度伸びしろが残っているのか(グラフ上グレイ)が見てわかる。勝手ながら、Amazon, Alibaba, Apple, Microsoft, Google, Facebook, Disney, Starbucksを対象にした。これらの企業はキャッシュを潤沢に持っており、当分倒産のリスクはないことから、安心して長期投資ができると判断したからだ。

もしコロナショックによる経済影響は一過性で、コロナ感染収束後に元の世界に戻るはずと仮定すると、下落幅分回復することになるため、今現在投資することで15%-64%の上昇が見込める(コロナショック前の株価が100%としたら、そこから13-39%下がっており、現在61%-87%で推移しているため、87%–>100%, 61%–>100%に戻すには、現在の水準から15%から64%の上昇幅になる)。

投資する銘柄選択のキーになってくるのが、1)現状コロナショック中の業績と、2)コロナ克服後の業績の見通しの2点になる。

上記の2つの観点から、8銘柄を4つのグループに分けて、それぞれ評価してみた。パフォーマンスが良い順に、緑◎->黄緑〇->黄色△->赤×になる。

Amazon and Alibaba:

米国と中国を代表するEコマースプラットフォーム。どちらの国も外出が制限されている環境下、必然的にオンラインでの注文が増える。アマゾンは伸びる需要に対応するため物流センターで10万人に採用すると先日アナウンスした。今までEコマースを積極的に活用していなかったユーザーの需要もこれを機に取り込めるのではないか。また、コロナショックで営業を自粛している中小企業のデパートやストアが、資金繰り難で倒産すれば、益々売り上げがEコマースに流れるはず。並行して、両社が手掛けるクラウドサービスもコロナウイルスによるクラウド需要の急増に伴い、成長が加速すると思われる。

最高値から現水準までの下落幅は13-19%にとどまっており、4つのグループの中で一番コロナショックの影響が限定的。下落率が限定的だが、それ以上にコロナ中もまたコロナ後も業績予測が良好なため、現株価は割安と考える。

Apple and Microsoft:

アップルはPCとスマートフォン、マイクロソフトはPCの販売が販売店の自粛で落ちるはず。しかし、今後においては、両社ともにPC事業は好調になるのではないか。というのは、コロナショックを受けて在宅勤務が普及したことで、家で過ごす時間が長くなり、より高品質のPCが欲しくなるのではないか。それに加え、アップルは5G対応のSmart Phone発売が予定されているのと、マイクロソフトは手掛けているクラウドビジネスが引き続き好調で、両社ともに売上アップが見込まれる。

最高値から現水準までの下落幅は19-26%。アマゾンやアリババほどコロナを追い風にできていないが、コロナ後の世界での見通しは良いため、割安と考える。

Google and Facebook:

両社ともにメインがオンライン広告事業。広告業界の大きな流れとしては、オフラインからオンラインへの企業広告予算のシフトが進んでおり、その恩恵を受けてきた。シフトの要因はよりきめ細かい広告のターゲティング設定が可能なことと、圧倒的な費用対効果の良さが挙げられる。しかし、景気悪化に伴う企業広告予算削減を鑑みると、オフライン広告のみならずオンライン広告予算にも悪影響が広がる。そのためコロナ中は業績は悪いのではないか。コロナ後は、広告業界の地殻変動は今後も続くと想定される中、景気が戻れば再び成長軌道に戻るのではないだろうか。また、コロナショックを機に、両社は中小企業に対して無料で広告枠を提供し今後の新規ユーザー獲得に注力している。それに加え、両社とも潤沢な資金を活用し新事業への投資に積極的で、Googleはクラウドサービス、Facebookはインスタグラムを通したEコマースを展開している。

最高値から現水準までの下落幅は29-31%と比較的大きく落としている。しかし、コロナ後にはオンラインの広告予算は過去同様に成長軌道に戻ると考えれば、割安ではないか。

Disney and Starbucks:

この2社は、他のグループと比較すると実店舗への客足で売り上げがより大きく左右される。また、どちらも生活必需品を売っているわけではないため、コロナショック中は自粛により売上を大きく落としているはずである。コロナ克服後も、濃厚接触となりやすいテーマパーク、映画館、コーヒーショップにすぐに客足が戻るかどうかが不透明なので、展望は他3グループと比較するとより危ぶまれるのではないだろうか。ディズニーはテーマパーク事業以外に、TV放送や、ストリーミングサービスを保有しているため、スターバックスよりかは、悪影響が抑えられると考える。

最高値から現水準までの下落幅は37-39%と一番大きく落としている。コロナショックによる展望の不透明感で敬遠されやすくなっている。この2社のブランド力は圧倒的のため、もし人々の行動パターンが元に戻るのであれば、客足は戻るだろう。

株を買うタイミング:

もし1)長期投資ができて、2)既に割安になっていると確信できるのなら、今から投資を始めるべきだが、今すぐ投資可能な全キャッシュを投入すべきなのか。その判断は容易ではない。なぜなら、いつ株価が戻るかはわからないからだ。これから更に下がって、より割安に買える可能性も十分ある。

そんな中、ドルコスト平均法で、毎月定額購入をすることをお勧めする。そうすることで、今が底値と思い全額を投資してしまった後で、更に株価が下がり後悔するのは防げる(同時に、仮に現在が底値だった場合は、定額購入で分散することで、より高い平均価格で購入することになる)。

これから1-2か月にわたって世界的に感染者が増えた後でピークアウトして収束に向かうと予測されているので、その間は大きく株価が変動すると思われる。この期間においては、株が急落した時にもう少しまとまった資金を集中して投資するのが良いかもしれない。原則、株価は近未来で起こりうるイベントを織り込み済みのはずだが、大きなニュースが重なる期間は人間心理への影響が大きく過剰反応を引き起こしやすい。

次回はこれら銘柄を株価収益率、過去5年間の売上と利益率を用いて、割安か否かを判断してみたい。 次の記事:コロナショックで米国株は買いか②ー株価収益率、売上成長率、利益率を用いて検証

 

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