コロナ禍のハワイ不動産動向を解説。買うのはまだ早い!

 

以前コロナ禍でハワイの不動産価格がどうなるかの予測を、ハワイの失業率と不動産価格の相関関係に基づいてさせて解説させて頂きました(以前の記事はこちら

今回は、コロナ禍のハワイ不動産動向をデータを用いてアップデートしたいと思います。対象地域は、アーバンホノルル(ダニエルK空港からカハラまでの地域)で、物件タイプはコンドミニアムに絞っております。おそらくハワイ不動産を購入されている日本人の大半の方がこの地域で購入をご検討されているのかと思います。まずは、コロナの状況をアップデートします。

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ハワイのコロナの状況

ハワイのコロナ感染者は、日本と同様に直近で上昇しております。以下1日当たりのハワイの新規感染者数になります。7月31日で122人の新規感染者数になっております。これは8月1日に過去最高の472人を記録した東京よりかは低いですが、ハワイ人口が140万人、東京人口が約1,000万人ですので、新規感染者数の10万人当たりの感染者数は、ハワイが8.7人、東京が4.7人ですので、ハワイの方が2倍近く高いことになります。

また、ハワイを訪れるビジター数も言うまでもなく激減しています。ハワイは渡航14日待機制限を設けており、気軽に行く気にはなりませんよね。9月から渡航前の72時間以内にコロナ検査を受け、結果が陰性だったことを示せれば、待機制限は免除されるようですが、そう簡単に検査を受けられる環境が整っているわけではないので、これにより一気に観光客数が戻って、ハワイの観光業が盛り返すことは考えにくいです。

Urban Honolulu Condominium データ 2020年 6月

ホノルルのコンドミニアムの不動産市場を総括すると、住宅ローン金利が史上最低水準で借り入れ可能になっているのにもかかわらず、売主が売りたい価格で売りにくい状況になっており、物件を売るのにより時間を要しています。その結果、物件中間価格が下がっていると解釈できます。売出物件数は減っているので、その分価格下落を抑制できていると推測できます。以下、一つ一つの指標を見ていきます。データはRedfinからとってきています。

中間売却所要日数(Median Days on Market): 20206月の実績は87日となっており、1年前の72日よりも15日増加しています。従って、売却するのにより時間がかかっているということになります。

中間価格(Median Price): 20206月の実績は$420Kとなっており、1年前の435Kから15K(160万円)-3%下落しています。

最終売価vs売主希望売価 (Average Sales to List Percentage):100%であれば売主が売りたい価格で売れたことを指す指標です。20206月の実績は97.8%となっており、1年前の98.3%よりも0.6%下落しました。売主希望価格で売れにくくなっていることを示しています。

住宅ローン金利%(Mortgage Rates): 20206月の実績は3.0%となっており、1年前の3.8%よりも0.7%下落しました。3.0%という水準は過去最低水準になっており、不動産を最小限のローンコストで買えるということです。

新規売出物件数(New Listings): 20206月の実績は473件となっており、1年前の649件よりも-27%下落しました。

売出物件数(Number of Homes for Sale): 20206月の実績は2085件となっており、1年前の2034件よりも-10%下落しました。基本的に物件が少ない分、買い手が競い合って価格が上がるのですが、そうなっていないようです。

販売成立件数 (Homes Sold):20206月の実績は310件となっており、1年前の459件よりも-32.5%下落しました。

次に、ハワイ市民の懐事情をみてみましょう。家計が厳しくなると家を売らなければなりませんし、同時に物件を買うのも難しくなります。ハワイ物件売却数に占める外国人バイヤーの割合が3-4%と思ったより少ないので、やはり現地経済状況の影響はもろに受けます。

コロナ禍のハワイ失業率推移

2020年4月に過去最高の23.8%をつけてから回復しており、 5月は23.5%、6月には13.9%にまで下がりました。観光客数がほぼ0の状況が続いている中、一時的にクローズしていた店やレストランを地元市民向けに再開したことが失業率の低下に寄与しているようです。とはいえ、リーマンショック時の2009年でも7.2%だったので、その約2倍の水準で、類を見ない経済打撃を受けていることは事実です。

失業者向けの経済支援

コロナで一時的に職を失ってしまった市民向けにアメリカ政府と州が大規模な経済支援策を打ち出しており、実際に仕事をしていた時よりも収入が増えた人もいるようです。しかし、その失業者向けの支給額のうち1週間当たり$600分が7月いっぱいで切れる予定で、政府が支援延長を検討しており、まだどうなるかの最終判断は下りておりません。もし支援が延長されなかった場合、失業者が得られる1週間当たりの支援額は、以下の通りハワイ州で約$1080から$480に減ってしまいます。

これまでは政府の経済施策によって持ちこたえていた家計が、これからは顕著に悪化する可能性があるということです。こうなるといよいよ不動産動向へも大きな影響があるのではないでしょうか。ただ、コロナによって本土からハワイへ移住してくる人が増えるかもしれません。そうなった場合、ハワイの不動産需要は高まりハワイ経済不況による不動産価格の押し下げ圧力を幾分か相殺してくれるかもしれません。ということで人の流れも見ておきましょう。

コロナで本土からハワイへの移住者が増えるか

米国ではWork From Home(在宅勤務)の浸透が、コロナによって拍車がかかっております。先日、Twitterが社員に対して永久的な在宅勤務推奨案を打ち出しました。また、フェースブックも今後大半の従業員が永久的に在宅勤務ができるように体制を整えていくと宣言しております。

Apple, Facebook, Google, Twitter, Amazon, Microsoftといった先進的なIT企業が多いアメリカでは、日本より早いペースで在宅勤務の定着が進みそうです。そうなると、このようなIT企業で働いている社員は、サンフランシスコやシアトルといった家賃が異常に高く、天候が芳しくない都市に住み続ける必要がなくなります。

このようなIT企業の社員は高給取りですので、ハワイで住むことも可能なはずです。また在宅勤務のトレンドからくるハワイ移住のみならず、既にリタイアされている本土の裕福な人々もハワイに移住することは可能です。一体、人の動きはどうなっているのでしょうか。また、Redfinのデータを参照してみてみましょう。

以下のランキングは、米国で人口の流出が多い都市TOP10です。New York, San Francisco, Los Angelesといった不動産価格が高い大都市の人口が顕著に減っているのがわかりますね。

以下のランキングは、米国で人口の流入が多い都市TOP10です。ここでは、Phoenix,Sacramento、Las VegasといったLos Angeles, San Francisco近郊で不動産価格が安い都市に人口が流れていることがわかりますね。8位のMiamiは、ハワイのようなビーチリゾートがあり、多くの観光客を集めています。不動産価格は$330Kとハワイより安いです。

上記の通り、米国全体のトレンドとしては、不動産価格が割高の大都市に住んでいた人口が、より不動産価格が安い郊外に流れているようですが、残念ながらハワイはそのTOP10に入っていません。その理由は恐らく、1)不動産物件が比較的高い、2)物件の数が限定的、3)本土と距離があり精神的な敷居が高い、の3つではないでしょうか。

また、上記は人口の動きを捉えており、別荘を買った場合はデータに含まれておりません。ハワイは特に別荘需要が高いので、コロナにより別荘需要が上がれば、その分不動産価格は上がります。上記のRedfinによる不動産販売成立数も対前年比で減っているので、別荘を含めてもハワイ不動産市場が落ち込んでいるマといえます。

今後ハワイ不動産価格はどうなるか

上記のどのデータを見ても、ハワイ不動産価格が上がるようには見えません。

コロナが集約するまでは観光業が復活しないため、ハワイ経済の展望は暗く、失業率は高止まりし、その上今までもらえていた失業手当が減額となると、現地の労働者階級が住むような平均的なコンドミニアム価格は下落するのではないでしょうか。私は、ホノルルの安価なコンドミニアムを買って、家賃収入を得ることを目指しているので、まだ物件購入は待ってもいいかなと思っております。

一方で、コロナによりハワイの別荘需要は上昇するかもしれません。ハワイは物件が少ないわりに、ハワイに別荘を持ちたい人は世界中にいます。今はまだデータには反映されていないようですが、もしコロナがきっかけで、ハワイのような最高のリゾート暮らしをしたいと思う人が増えれば、高級コンドミニアムの価格は一気に上昇するのではないでしょうか。