コロナ緊急事態解除で島観光は活況を取り戻せるか

コロナにより世界的な自粛によりフライト乗客数が全世界で大幅に減っています。アメリカの2020年4月のフライト乗客数は対昨年度比で1/10まで下がり、コロナ感染がほぼ収束している中国でさえ、2020年4月は去年の1/3の水準にしか達していません。

アメリカでは、乗客の安全を守るため、マスク着用を必須化、両隣の席を空席にして50%の搭乗率でフライト運航することを議論しているようです(そもそも隣を空席にしたところでエコノミーの座席幅は42cmから45cmなので、ソーシャルディスタンスに必要な2メートルには届きません。。。)。

また、エアラインによっては体温チェックを実施し、体温が基準値を超えている乗客の搭乗拒否を検討しているところもあります。どちらにせよコロナに有効なワクチンが開発されて普及するまでは、行き先を問わず、乗客数及びに観光客は元通りにならないでしょう。

 緊急事態宣言解除後フライト搭乗率は戻るのか

 

 緊急事態宣言が完全に解除されたとしても、コロナが完全に収束していない中、飛行機を利用しないといけない島への足数は元通りにはならないと思います。

もし客足が長期間戻らないとなると、飛行機のリース代、人件費、整備コストといった多大な固定費抱えているエアラインは、そのコストを運賃に転嫁せざるをえなくなります。そうなると、一部の方には島観光が手の届かないものなってしまいます。

そこに追い打ちをかけるように、もし間の席を空けた50%搭乗率での運航が義務づけられると、尚更フライト当たりの収益を確保するため、運賃が高くなってしまいます。

 

 コロナが長引いた場合一番影響を受けない観光客層はどこか

 

一般的に若い方ほど低所得ですので、その層の島観光客数が減ります。一方で、お金に余裕がある中年~高齢の方々の多くも、コロナ感染してしまうと重症化するリスクがより高いことを理由に観光を控えます。若い方は金銭的な理由で来なくなり、中年~高齢の方は感染リスクを抑えるために来なくなると、総じて島への観光客数は減ってしまいますね。

そんな中、金銭的に余裕がある若者は一番影響を受けにくいそうだと思います。お金もあるし、健康面のリスクも限定的。従って、島の観光業に従事されている方々は、この層に対して高付加価値のサービスを展開するのが良いかもしれません。

LCCが多く乗り入れている島は観光客減のリスク大

 

 特にLCCが多くの観光客を運んでいる島は、コロナの収束が長引けば観光客が戻らないリスクがより高いと思います。なぜかというと、LCCの方がより迅速にフライト需要に合わせてフライト数を調整するからです。そして減ったフライトはすぐには戻りません。

 LCCは、座席の幅を狭めてギューギュー詰めにすることで、採算をとっています。一般的に、JALやANAのような大手エアラインは搭乗率60%が採算ラインですが、LCCになると搭乗率70%が採算ラインになります。既にどのエアラインも今現在運航便数を減らしていますが、採算ラインがよりシビアなLCCに関しては、より迅速にフライト数の調整、路線撤退の判断が必要になります。

もし路線撤退してしまうとフライトはゼロになります。また、その場合すぐに路線を復活させないケースが多いです。そのため、その分観光客数が長期に渡って減ってしまいます。

 

 コロナショックの島経済への影響

 

観光業が総生産(GDP)の多くを占めている島ほど、コロナの影響が大きいはずです。沖縄県は、17% (ソース:沖縄県)、ハワイは21% (ソース:ウィキペディア)、宮古島に至っては26%(宮古毎日新聞)も観光業が島GDPに対して占めています。小さな島になればなるほど、観光以外の産業を営む労働力、設備投資、ノウハウがないので、観光業に対する依存度が高くなる傾向にあります。

その観光業が不振に陥ると、島の雇用が減り、失業率が上がります。島で働く若者の中には、都市から出稼ぎに出ている人も多いため、仕事がなくなると島を離れてしまいます。そうなると、その分島の人口が減ってしまいます。同時に、観光業のビジネスを経営している現地の人は、資金繰りに困り、倒産してしまうところも出てきます。

特に、空港、ホテル、マンション、クルーズ船ターミナルの建設ラッシュが続いていた宮古島は、壊滅的なダメージを受けるのではないでしょうか。より多くの観光客を受け入れる体制を大規模に進めていたら、想定外にコロナで観光客が大幅減少。コロナが完全に収束すれば、きっと観光客が元通りに戻ってくるとは思いますが、それまでの期間、果たして激減した売上で資金繰りはできるのでしょうか。現状はとても厳しいと思います。宮古島についての過去の記事はこちら

 

コロナ収束後に島観光は元に戻るのか

 

コロナが完全に収束すれば若者に限らず、中高年の方も安心して飛行機に乗れるようになります。そのためレジャー客は戻ると予想します。一方で、ビジネス客は減少すると予想します。

その背景には、在宅勤務普及による出張の必要性の見直しがあります。一例にしかなりませんが、私が勤めている企業でも緊急事態宣言中は在宅勤務で、全ての会議をテレビ電話で済ませました。取引先との商談も含めてです。通勤をしなくてよかった分、拘束時間が減り、生産性は上昇しました。

 出張は、社員のモチベーションアップ、士気を上げに効果的ですが、テレビ会議で社内外の商談を済ませられるのなら、出張費を払う側の企業にしてみれば削減したいコストですよね。そういう意味で、コロナは企業が出張が必要ないと証明する良い機会になりました。 出張者が多くを占めている東京、大阪、名古屋といった大都市を結ぶ路線ではより顕著に搭乗者数が落ち込むでしょう。島へのビジネス客数は少ないので、その分影響は限定的かと思います。

 

 まとめ

 

    • コロナが収束するまでは島観光客の落ち込みは続く。感染すると重症化のリスクの高い中高年の方は特に観光を自粛すると思います。
    • コロナが長期化すれば、フライト運賃が高くなることで観光客がさらに減少する負のスパイラル。金銭的に余裕がある若者くらいしか旅行しなくなります。
    • 小さな島ほど観光収入に依存しているので打撃が大きい。そういった島では人口が減るリスクもあります。
    • コロナ後は、レジャー客は戻ると予想するが、ビジネス客は戻らないと予想します。

那覇空港から1時間半の離島。最高のシュノーケリングが楽しめる座間味島

アクセス:①那覇空港からフェリー乗り場の泊ふ頭北岸船客待合所 (ゆいレール/リムジンバスで240~300円、20-30分。タクシーだと1000-1500円、10分)、②ふ頭北岸船客待合所からクイーン座間味で座間味(3200円、50分)。クイーン座間味のスケジュールと料金表:

https://www.vill.zamami.okinawa.jp/ship/

アクティビティーシュノーケリング、ダイビング、ウェールウォッチング(1月―3月)サップ、カイヤック等。

持参するもの島に大きなスーパーはないので、日焼け止め、水だとか必需品は持参をするのをお勧めします。

島の概要

約7平方キロメートルの面積に、600人が住んでいます。昔はカツオ業で栄えた島ですが、現在は観光業が産業の柱となっています。 国立公園にしてされてから観光客は増えたようで、阿嘉島と慶留間とあわせて年間10万人が訪れるそうです。

世界有数の透明度を誇る慶良間ブルーが体験できる座間味では、一年を通して温暖なため、いつ行っても楽しめます。

渡嘉敷島阿波連からフェリーに乗って35分で着きました。

ザトウクジラのウェールウォッチングで有名な場所です。渡嘉敷島の記事にも書きましたが、フェリーの途中で実際にウェールウォッチングができました!

 

古座間味ビーチ

座間味といえば、何といってもミシュラングリーンガイドジャポンで二つ星を獲得した古座間味ビーチです。海に入ってすぐに深くなり、いきなり巨大なサンゴ礁の塊がありました! サンゴの周りには数多くの種類の熱帯魚がたくさん集まっていて、まさにシュノーケリング向けのビーチでした!

 港から歩いて20-30分で行けます!バス(300円)でもいけます!

3月頭に行ってきましたが、水温は最初に入るとき冷たいくらいで、あとは問題なかったです。ちなみに海開きは4月中旬から11月中旬までらしいそうです!

透明度は抜群で、かなり深いところまで見えました!写真のクオリティーが悪いので魚は映っていませんが(すみません)、、普通に目で見えました!

真っ青な慶良間ブルーです。空と比較してもそのブルーさがわかりますね!

チョウチョウウオ、クマノミ、デバスズメダイ、ミツボシクロスズメダイといった人気の熱帯魚がたくさん見れました!

人口が約600人程しかいないのに対して、年間島を訪れる観光客数はその160倍の10万人もいるそうです。島居住者のうち大半の方が観光業に従事されているそうです。

 

真っ白な砂浜でした。裸足で歩くのにも全く問題ない程度の砂利レベル。

 

集落

人もまったくいなかったので、ほぼプライベートビーチ状態!こんな素敵な離島で長閑な暮らしをしてみたいなーとつくづく思いました。不動産まで調べちゃいました笑

町並みは、離島ならではの細道が続いていました。こういう長閑なシーンがとても好きです!

 

愛する犬のために島から島を泳いで渡った犬の銅像だそうです。

実話らしく、映画化もされており、マリリンにあいたいというタイトルのようです。

 

レストラン:まるみや

アイスコーヒー/アイスティーがついてくる沖縄そば定食は700円!

渡嘉敷島にメインで滞在したので、座間味では一食しかしませんでしたが、安くて、おいしくて、サービスが良くて、とても印象に残るランチでした!

 

阿真ビーチのキャンプ場

キャンプ場もあって、調理エリア、シャワー、トイレが完備されており、食料さえ調達できれば自給自足の生活ができますね。利用料金は一泊500円で、シャワーは一回300円。

キャンプに関する情報は以下:

https://www.vill.zamami.okinawa.jp/enjoy/stay/2.html

 

渡嘉敷島へのアクセス

となりの渡嘉敷(阿波連)まで直接行けるフェリーも出ており、35分、800円でご利用可能です。是非ともお勧めします!スケジュールは以下です:

https://www.vill.zamami.okinawa.jp/info/trans.html

 

まとめ

半日という短い滞在時間だったのですが、素晴らしい透明度の海でシュノーケリングが楽しめて大満足でした!古座間味ビーチは、何度行っても全く飽きる気がしないので、思い切ってワーケーションで長期滞在ってのもありだと思いました! 次回は必ず泊りがけで来ます!

 

 

那覇空港から1時間の離島。ウミガメに会える渡嘉敷島

アクセス①那覇空港からフェリー乗り場の泊ふ頭北岸船客待合所 (ゆいレール/リムジンバスで240~300円、20-30分。タクシーだと1000-1500円、10分)、②そこからマリンライナーで渡嘉敷(2530円、35分)。マリンライナーの連絡先/スケジュールは以下:

http://www.vill.tokashiki.okinawa.jp/ferry/time

アクティビティー:シュノーケリング、ダイビング、ウェールウォッチング(1月―3月)、グラスボート、カイヤック等。

持参するもの: 島に大きなスーパーはないので、日焼け止め、水だとか必需品は持参をするのをお勧めします。

島の概要

島の面積15平方キロメートルに、人口が約750人程しかいませんが、1年間に島を訪れる観光客数はその120倍の10万人もいるそうです。それだけ魅力があるってことですね~。観光業が産業の柱になっているそうです。

世界有数の透明度を誇る慶良間ブルーが体験できる渡嘉敷島では、一年を通して温暖なため、いつ行っても楽しめます。

私が行ったときはこの通り、プライベートビーチ状態でした!

 

阿波連ビーチ

シュノーケリングが良かったです。サンゴ礁の数はそこまで多くありませんでしたが、海水に入ってすぐに水深が5メートルくらいになり、大きなサンゴ礁があるスポットもありました! 

熱帯魚の種類はあまり多くなかったですが、コバンアジとチョウチョウウオはたくさんいました!

また、ここから見る夕陽も綺麗で絵になりました!

慶良間ブルー。美しいですね。

 

こんな岩の入り口もありました!

 

昼間はシュノーケリングを楽しみましたが、夜は、絵になるロマンチックなシーンに変貌!お酒を飲みながらまったりした時間を過ごしました。

 

苔で緑色になっている水面も綺麗で絵になりました!青と緑があっていいですね。

 

夕方になるとこうなります!

 

とかしくビーチ

ここは透明度がとても高いビーチでした。どうやらウミガメのえさ場になっているらしく、なんと1時間で4匹のウミガメを発見することができました!私の経験上、遭遇頻度かなり高いほうだと思います。

有名なビーチは阿波連ビーチととかしくビーチの二つでして、距離は歩いて30-40分程度でした。

3月頭に行ってきましたが、水温は最初に入るとき冷たいくらいで、あとは問題なかったです。ちなみに海開きは4月のようでした。

朝9時に行ったのですが、3-4人くらいしかいなかったです!

 

阿波連のキャンプ場

キャンプ場もあって、調理エリア、シャワー、トイレが完備されており、食料さえ調達できれば自給自足の生活ができますね。利用料金は一泊500円で、シャワーは一回300円。

島では、ご飯も一食あたり1000円もしないので、一日2食で済ませれば生活費は一日3000円以下に抑えられますね! もし学生だったら夏休みの節約旅行に1か月くらいキャンプしに来たかったですね。。

キャンプ情報は以下:http://www.vill.tokashiki.okinawa.jp/archives/755

食事は以下の2つのレストランでお世話になりました!

レストラン:まーさーの店

ゴーヤピザ 900円

生地は薄く、かりっとした仕上がりでおいしかったです!

レストラン:バラック

鶏の唐揚げ定食 800円

ボリューム満点で、味もとってもおいしかったです!食欲旺盛で普段2人前くらい食べるのですが、この唐揚げ定食はこれだけでおなかいっぱいになりました!

 

座間味島へのアクセス

となりの座間味島まで直接行けるフェリーも出ており、35分、800円でご利用可能です。是非ともお勧めします!

私もこのボートを利用して座間味島を訪れたのですが、途中でザトウクジラの親子に遭遇したようで、運転手さんが親切にボートを止めてくれました!しかし、私はザトウクジラをスポットできずにおわりました。。。

眼鏡を忘れたことを悔やみました笑。座間味についての記事はこちら

ボートのスケジュールは以下です:https://www.vill.zamami.okinawa.jp/info/trans.html

 

まとめ

一泊二日の滞在だったのですが、都会の窮屈さ、ストレスを忘れて、とってもリラックスすることができました。離島ならではの魅力が盛りだくさんの島でしたー。ご飯もおいしいですし、長期滞在のわーケーションと科には最適だと思います! また戻ってきます!

 

宮古島バブルの背景と今後の展望

最近、週刊誌やニュースでバブルと騒がれている宮古島。場所によっては地価が500倍以上に急騰したところもあると報道されています。その背景と、今後の展望について現地に行って探ってみました!

宮古島バブルの背景

宮古島人気急騰の起点は、伊良部大橋の開通とされています。伊良部大橋は、2015年に開通した全長3,540メートルの橋であり、通行料金をとらない橋としては日本で最長です(ソース:Wikipedia)。

橋からの眺望はまさに絶景でした! 将来アーリーリタイアして南国の島に移住したい私にとっては絶好の候補地です! 住みたい島移住前にチェックしておくべき5つの指標についてはこちら

橋で撮った写真が瞬く間にSNSで拡散し、「行ってみたい」、「ドライブしてみたい」と好奇心に掻き立てられるのでしょう。インフラとして島と島を結ぶ目的で建設された橋が、大きな観光資源となっていました。

橋だけがすごいのではなくて、橋の開通をきっかけに、宮古ブルーと称される美しい海を全世界に発信できたことが観光客の集客につながったと思います。

宮古島には、川がなく土砂が海水に流れ込まなくなっており、海水の透明度が高いです。また、沖縄には全世界に800種類あるサンゴ礁のうち、200が生息しているそうです。島の周りを囲んでいるサンゴ礁の浄化作用で海水が綺麗になります。このような自然の偶然が重なって今の宮古島を作り出しているのです!

宮古島の順調な観光業

観光客数は、伊良部大橋が開通した2015年以降倍増しています。2015年に53万人だった観光客が、2018年には114万人まで伸び、2倍以上に増加しました。

(ソース:宮古島市)

2019年は4月―12月実績しかないため、その9か月分の対前年比%と同じ水準で2020年1月―3月も推移すると想定しています。

更に、2019年3月より下地空港が開設し、宮古島初の国際線も開通。2019年には10万人、2020年には30万人の観光客が下地島空港経由で訪れると予測されています(ソース:三菱地所)。

また、平良港では、より大型のクルーズが寄港できるように整備が進められています。2015年には13回しかクルーズ船の寄港がなかったのが、2018年には143回まで上昇し、更に2020年は既に300以上の予約があるらしいです(ソース:宮古毎日)。

このように観光客の大幅な増加に伴い、宮古島では観光客を受け入れる体制づくりに積極的なのですね!

 

観光業の宮古島経済への影響

観光客が増えると、観光客が落としたお金で現地のビジネスが潤います。観光客が泊まるホテルの需要が増え、観光客が食事をする飲食店や、アクティビティーを提供するツアー会社、お土産ショップなどの需要も増えます。潤った現地のビジネスは、更なるビジネスの拡大へ向け、雇用拡大や、設備投資をする循環ができます。現在の宮古島の状況がまさにそうだと思います。宮古島の有効求人倍率は2倍近い水準です(ソース:ハローワーク宮古)。要するに、実際に仕事を探している人の数よりも、求人が2倍あります。

並行して、賃金も上がっているようです。正社員の賃金は2014年の17万円から、2018年には18.2万円へ上昇。パートの時給も同期間で820 円から950円へ上昇しています(ソース:宮古毎日新聞社)。

実際に島の人達に話を聞いたところ、仕事はすぐ見つかると仰っておりました。特に、ホテル、レンタカー、居酒屋は人手不足の様子。また、建築業でも慢性的な人手不足に陥っているらしく、島の外から建設作業員を集めていると聞きました。

これらの仕事目的で島に来る移住者の急増で、賃貸住宅の需給のバランスが崩壊しているようです。現地の人たちは、口をそろえて家賃が急激に上がっていると話しておりました。ワンルームマンションの家賃は、ほぼ東京都内と同水準の10万円近くまで上がっているとのこと。それでも供給が追いついておらず、何か月も入居待ちの物件が多数あるらしいです。

入居者増を受けて、宮古島市での賃貸住宅の着工件数が近年大幅に増えています。2014年に274件だったのが、2018年には、1,843件と約7倍も増えました(ソース:国土交通省住宅着工統計)。

 

宮古島ホテル建設ラッシュ

賃貸住宅の着工件数の増加の背景はホテルの建設ラッシュにあります。ドライブ中、所々でホテルの建設現場を見かけました。海沿いにある田んぼに、唐突に灰色のカバーを被った建物の骨組みが立っている光景を幾度と目にしました。

現地の人に話を聞くと、海沿いの土地の多くが既に大手のリゾート会社に買収されているようでした。宮古島で多くのリゾートホテルを経営するユニマットグループのユニマットプレシャスは、2019年に1,137室あるホテル客室数を2020年度末までに2,000室、24年度末までには、6,000室に増やす方針を発表しています(ソース:宮古毎日新聞)。

 

建設ラッシュ後のホテル稼働率はどうなるか

沖縄県が実施している宿泊施設実態調査結果によると、宮古島の客室数は2018年末時点で3,622室、一日当たりの収容人数で9,350人。2018年4月―2019年3月までの一年間で宮古島を訪れた観光客数は114万人。仮に一人当たり平均2泊したとすると、114万人*2泊=228万の宿泊者延べ人数がいたことになります。

収容人数を一年間分に置き換えると、9,350人*365日=341万泊分あったことになるので、延べ宿泊者数/収容人数=228万/341万=66.8%のホテル年間稼働率になります。単純計算ですが。。

ユニマットプレシャスの計画通りに2024年までに約5,000室増やすと、ホテル稼働率はどうなるのでしょう。宮古島の客室数は現在の3,622室から8,485室になり、一日あたりの収容人数は現在の9,350人から21,904人になります。年間にすると、約800万泊分の供給です。

もし観光客数が伸び悩んだ場合、どうなるのか。仮に2024年も2018年度と同じ観光客数で、平均宿泊数が2泊だったら、ホテルの年間稼働率は228万/800万=28.5%にまで低迷してしまいます。

客室単価の高い高級ホテルなら何とか凌げるかもしれませんが、安価な宿泊施設には、黒字維持をするのが難しい稼働率ではないでしょうか。

 

陰りを見せる宮古島観光客数とその影響

そんな中、観光客数の伸びが鈍化しています。上記に記載した通り2019年4月―12月の観光客数は、前年と同水準です。2018年度の114万人の2倍近い200万人を目標に掲げている宮古島。複数のホテルが開業し、下地空港も稼働し始めた宮古島にとって、前年と同水準だとコストに見合わないのではないでしょうか。

観光業はアップダウンが激しいです。もしも何か変化が起きて観光客が伸び悩んだらどうなるでしょうか。ホテルは想定通りに客数がこないので、コスト削減に走り、余分な残業時間を減らしたり、必要に応じて人員削減をせざるをえなくなります。

仕事目的で島に来た移住者は生計を立てられなくなり、島を離れます。賃貸物件の需要が下がり、それに伴い家賃も下がります。

一過性の労働力が多い分、島の人口は減り、賃貸需要の下落は激しくなります。一方で、建設してしまったマンションは、今後40-50年は稼働し続けなければなりません。賃料の高騰が急激だった分だけ、賃料の下落が急ピッチで進むと思います。

賃料が下がれば、物件から得られるキャッシュフローが下がるので、土地や建物の価値も下がります。また、同様にホテルの稼働率が下がれば、ホテルから得られるキャッシュフローが下がるため、今まで高騰していたリゾート開発用の土地の価値も下がります。

 

宮古島観光の今後の展望

少しネガティブな話をしましたが、超長期的なスパンでみると、宮古島の観光客は伸び続け、宮古島の経済発展をけん引すると考えています。その理由は、豊かな観光資源(宮古ブルー、ダイビングスポット、伊良部大橋)、観光客誘致に積極的な姿勢に加えて、アジアからのアクセスの良さです!

ハワイと比較してわかった沖縄の観光ポテンシャルで触れましたが、中国、韓国、台湾、香港といった大きな経済圏から直行便のフライトタイムで3時間でアクセスできる距離にあります。それにもかかわらず、2019年3月の下地空港開港でようやく香港からの直行便ができた程度で、その他の国からは未だ直行便がないのです。

宮古島市が積極的にクルーズ寄港回数を増やすのに加え、アジアのメジャーマーケットからのフライト直行便の開拓が進めば、更に観光客が増えますよね! まだ未開拓な分、それだけポテンシャルが残っているということと解釈できます。

お金があれば今のうちに宮古島に土地でも買っておきたかったですね。。(笑)

ハワイと比較してわかった沖縄の観光ポテンシャル

最近、観光客数が急激に増加している沖縄。2018年に初めてハワイの観光客数に追いつき話題になりました。沖縄は、ハワイと比較してアジア主要国からのアクセスが断然良いため、観光客を誘致しやすいです。

沖縄へ多くの観光客が押し寄せている中国(2018年観光客数: 69万人)、香港(23万人)、台湾(92万人)、韓国(55万人)から沖縄への距離は、東京から沖縄への距離よりも近い。人口減少と経済低迷で国内からの観光客数が伸び悩んだとしても、アジア大国からの集客に成功すれば成長し続けられます。中国、香港、台湾、韓国の総人口をあわせると約15億人の巨大なマーケットになり、日本の人口の10倍以上。

一方で、ハワイが狙う主要マーケットは、距離ベースだと、アメリカ本土、カナダ、メキシコが一番近いです。これらのマーケットの総人口は5億人弱。沖縄がターゲットにするアジアマーケットの1/3の規模でしかありません。

ハワイにおいては、日本から多くの観光客を誘致できていますが(127万人)、直行便で約8時間かかり、その分フライト費用も高いですよね。また、オーストラリアからも多くの観光客が訪れていますが(32万人)、こちらも直行便で10時間近くかかり、費用もかさみます。そのため、中国から沖縄へ行く手軽さではないです。

沖縄ハワイの観光客の内訳比較

 

以下の積み立て棒グラフが示している通り、ハワイと沖縄の観光客数はここ20年弱で順調に増えています。ただ、その内訳をみると、ハワイは国内、海外の観光客ともに徐々に伸ばしている中、沖縄は、海外からの観光客の数を大幅に伸ばしています。

ハワイと沖縄の観光客数の推移 2001-2018(データソース:沖縄県、ハワイ州)。オレンジ:ハワイ国内、黄色:ハワイ海外、青:沖縄国内、水色:沖縄海外

2001年から2018年の海外からの観光客数の変化は、ハワイが200万人から300万人に増えたのに対して、沖縄は20万人から一気に290万人と猛追しています。

 

主要マーケットの人口、一人当たりのGDP、直行便の有無

 

今後の沖縄、ハワイの観光ポテンシャルを測るため、それぞれがターゲットとするマーケットの人口と一人当たりのGDP、距離、直行便の有無で比較してみました。沖縄本島、ハワイの3島以外にも、今後の大きな飛躍が期待できる宮古島、石垣島、奄美大島、小笠原諸島、夏休みの海外旅行の定番だったサイパン、グアムもついでに比較してみました。

主要マーケットの人口

 

沖縄のターゲットマーケットとして、現在観光客を多く輩出している中国、香港、韓国、台湾と日本を選んでいます。これらの国の人口をあわせると16億人を超します。

その中でも、中国の人口が14億人で圧倒的多いです。この構造は、これから10年、20年で揺るぐことはないはずです。印象としては、香港、台湾は人口が少ないわりには、数多くの観光客が訪れています。

他にもアジアには、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピンのように人口が多い国がありますが、これらの国は、沖縄よりも近い距離にプーケット、バリ、ボラカイといったリゾートがあるのと、給料水準がまだ低いので除外しています。実際に、現時点では沖縄への観光客数も少ないですし。

ハワイのターゲットマーケットは、観光客の85%を占めているアメリカ本土、カナダ、日本、オーストラリアがメインになります。まだ観光客は少ないですが、距離的に近いメキシコも入れると、ターゲットマーケットの総人口は6.5億人になり、沖縄のターゲットマーケットと比較すると規模で半分以下になります。

 

 

主要マーケットのGDP/Capita

 

沖縄のターゲットマーケットの中で、中国が9,700ドルと最低水準。しかし、その伸びは著しいです。PWCのリサーチによると、2030年に26,900ドル、2040年に34,000ドル、2050年には47,400ドルまで上昇すると予測されています。従って、現在の水準から5倍の規模になります。

一方で、25,000ドルから48,000ドルのレンジにある香港、台湾、韓国、日本は比較的成熟しており、今後は大きな伸びが期待できないです。これらの国においては、人口の多くが既に行きたいところへ観光できていると推測います。

ここでのハイライトは、14億人の人口を有する中国が、5万ドル近いGDP/Capitaを持つことで観光へ多大な影響力を及ぼすことです。

それに対して、ハワイのターゲットマーケットは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、日本のメジャー4か国が、39,000ドル-63,000ドルと高い水準を誇っています。

一番人口が多いマーケットのアメリカは、現在の62,794ドルから2050年には87,700ドルになると予測されています。中国よりも高い水準を維持することになりますが、現在の水準から40%しか伸びない計算なので、中国ほど多くの新規観光客を排出できないはずです。

一方で、メキシコが中国同様の成長が期待されており、現在の9,673ドルから、2050年には41,300まで上昇する予測になっています。その時には、ハワイもメキシコからの観光客に期待できるでしょう。しかし、人口が中国の10分の1のため、インパクトに欠けます。

 

主要マーケットから沖縄ハワイへの直行便

直行便がある観光地&マーケットのペアは、黄色のセルで〇、ないところは白のセルで×をつけています。

オアフ島へは、アメリカ、カナダに加え、遠く離れた中国、台湾、韓国、日本、オーストラリアからも直行便が既に存在しているため、だいぶマーケットの開拓が進んでいることがわかります。ハワイは観光促進のため、かなり昔から積極的にマーケットの誘致に取り組んできているためです。

沖縄本島へは、アジア各国からの直行便は既に開拓済みです。一方で、アメリカ、カナダ、オーストラリアからの直行便がありません。この要因は、沖縄がハワイほど観光誘致に今まで積極的ではなかったことに加え、北米人にとって、ハワイの方が距離的に近くにあるため、わざわざハワイを超えてまで沖縄に来る魅力は感じないからではないでしょうか。従って、これらのマーケットから沖縄への観光客は、今後もあまり期待しないほうがよさそうです。

マウイ島、ハワイ島、宮古島、石垣島といったサブアイランドは未だ直行便が少なく、もし就航した場合、観光客は大きく伸びるのではないでしょうか。

 

主要マーケットから沖縄ハワイへのフライト時間

 

下記に、各マーケットから観光地への距離をベースに想定フライト時間を算出してみました(Google Map使用)。縦軸が観光地、横軸がマーケットです。想定フライト時間が長いほど緑色、短いほど黄色にしています。

アジア各国から沖縄本島、宮古島、石垣島へは、1-2時間のフライト時間で行けることがわかります。小笠原諸島や奄美大島もそれに匹敵するほど近いです。一方で、サイパンやグアムといった人気リゾート地へのフライト時間は3-4時間になっており、沖縄の方がよりアクセスしやすいことがわかります。

アメリカ、カナダの西海岸からハワイへのフライト時間は、約5時間となっています。アジア各国からのハワイへのフライト時間にいたっては、7-10時間程度かかります。これは、空港までの移動、チェックインを考えると往復で丸一日潰れてしまうことを意味します。長期休暇を取らない限り割に合わないため、なかなか有休消化ができないアジア人からすると、敷居が高いです。

 

今後路線開拓が期待できるルート

 

次に想定フライト時間が3時間以内の観光地 – マーケットのルートだけ残して、それ以外はグレーで塗りつぶしました。既に直行便のが存在しているルートは〇、そうでないルートは☓にしています。

中国からは、3時間以内のフライト時間で行ける観光地でかつ直行便があるのは、沖縄本島だけです。宮古島、石垣島、小笠原、奄美大島へは、3時間で行ける距離ですが、未だ直行便がない状態です。

韓国からも同様です。韓国は、最近グアムへの観光客数が日本からの観光客数を上回るほど、グアム人気が強くなっています。韓国からグアムへのフライト時間は約4時間ですが、年間に75万人もの人が訪れています。75万人の1割でも集客できれば、観光客数が少ない宮古島、石垣島といったサブアイランドへは大きな影響があります。

香港と台湾からは、沖縄本島に加えて、石垣島へも直行便が存在しますが、本数が限られています。また、香港に至っては、最近宮古島への直行便が開通したばかりです。これらから言えることは、上記の島は観光ポテンシャルが大きいことということです。

残念ながらハワイはどの国からも3時間以内で行けないことがわかります。それでも世界各国から年間1,000万人の観光客を集めているのはすごい。

 

主要マーケットの沖縄ハワイペネトレーション

 

直行便があるからといって、そのマーケットを完全に開拓しきったわけではないです。まだまだこれから伸びるケースもあります。沖縄、ハワイに残されたポテンシャルを測るため、各主要マーケットからの観光客数をそのマーケットの人口で割ってみました。この数字は、人口の何パーセントが1年間で観光地に行っているかを表す数字でして、ペネトレーションと解釈してください。データがないため、観光地は沖縄本島、ハワイ、グアムに絞っております。

中国は、特出して全ペネトレーションが低く、一番高い沖縄でも0.05%と、1万人に5人しか行ったことがない計算になります。GDP/Capitaで説明した通り、中国の人口の大半が海外旅行に行けるほど裕福ではないからでしょう。

一方で、香港と台湾の沖縄ペネトレーションは3%を超えています。グアムの韓国ペネトレーションの約1.5%、ハワイのアメリカペネトレーションの約2%よりも高い数字です。やはり香港、台湾からだと1-2時間で沖縄にアクセスできるのでその影響が大きいのでしょう。唯一負けるのが、沖縄の日本ペネトレーションである5.5%です。

現時点での中国のGDP/Capitaは、香港の1/5、台湾の1/3ほどしかないです。それが2050年には現時点の香港と同等水準、台湾の2倍の水準にまで成長します。もし中国から香港、台湾と同じ人口の3%が沖縄に観光に来たら、それだけで沖縄本島への観光客数は4,178万人になります。沖縄への全体の観光客数が984万人(2018年)、中国人人口の3%がどれほど強烈なインパクトがあるかがよくわかりますね。

ハワイはどうでしょうか。まずは距離の近いアメリカ、カナダを見てみましょう。日本の沖縄ペネトレーションの5.5%と比較すると、アメリカ、カナダからのハワイペネトレーションの1.95%、1.48%はまだ小さく見えますね。しかし、日本から沖縄の3時間と比較するとアメリカ/カナダからハワイの5時間はだいぶ不利に働くため、今の水準が相応なのかもしれません。

アメリカのGDP/Capitaが2050年までに40%伸びる予測なので、アメリカからハワイへの観光客数が40%伸びるとすると、現在の640万人から900万人に+260万人増加しますが、中国単体で4,000万人を超えてしまう沖縄と比較するとだいぶ物足りないですね。

日本のハワイペネトレーションも大幅に伸びるとは思えないです。ハワイブームは昔から続いており、ここ10年は年間100万人前後の水準を維持している状況です。最近になってANAがハワイ線でA380を3機投入しましたが、それで観光客数が2倍に増えることはないです。

 

 

観光ポテンシャルは沖縄の方がハワイより遥かに良い

 

上記の通り、沖縄は中国をはじめとするアジアの大経済圏から圧倒的なアクセスを誇っています。人口14億人の中国は、沖縄で3時間以内に行けるのにも関わらず、沖縄ペネトレーションが隣接する台湾、香港と比較すると非常に低いですい(中国:0.05% vs 香港:3.14%, 台湾:3.86%)。その原因は、中国のGDP/Capitaの低さにあるといえます。

もし今後40年間で中国人のGDP/Capitaが予想通り5倍になると、現在の台湾、香港のそれを抜くため、中国からは爆発的な数の観光客数が沖縄に押し寄せるようになるのではないでしょうか。

一方で、ハワイは地理的に沖縄よりも不利で、その制約から既に成熟している国(アメリカ、カナダ、日本等)の観光客をメインターゲットになってしまっており、爆発的な伸びは期待できないと思います。