コロナショックのハワイ不動産価格への影響

コロナの影響で経済活動が制限され、世界的に経済成長が鈍化しています。IMFは、コロナ感染拡大前の2020年1月に2020年の世界GDPを+3.3%成長と予測していましたが、2020年4月の予測では-3%減少に大きく下方修正しています。アメリカは-5.9%の減少、日本も-5.2%の減少と、日米はどちらもリーマンショック並みの減速になってしまうようです。

 コロナで顕著に悪影響を受けているのは、世界的な外出自粛により旅行客が大幅に減った観光産業です。特にハワイは、GDPの21%を観光産業が占めているので(source:Wikipedia)、その打撃は何倍も大きいはずです。

今回は、コロナがハワイの不動産に与える影響と、ハワイの不動産価格の見通しについて考えてみました。私はハワイ(主にホノルル)に家を持つことが昔からの夢で、それに向けて仕事&投資に精力を注いできました。特に、私が狙っている平均的な収入のローカル世帯が住める価格ゾーンの家にご興味がある方には参考になるかと思い共有させて頂きます!

 

 ハワイ不動産価格推移 1980-2019

 

まずはハワイ不動産価格がどのように推移してきたかを調べてみました。以下のグラフは1980年からの2019年のハワイ物件の年間平均価格(Transactionベース)を表しています。1980年1-3月期を100%としていて、2019年には 659.5%なので、直近40年間で6.6倍にまで上昇したのですね!

(Data Source: Federal Reserve Bank of St Louis)

価格トレンドは概ね右肩上がりで伸びてきていますが、全く下がらないわけではなさそうです。例えば、2007年に539.4%だったのが、2012年には443.4%まで下げており、約-18%の下落になります。これは、明らかにリーマンショックの影響ですね。よく不動産エージェントの方々から伺うのは、ハワイは世界中から需要がある一方で、不動産供給が限られているため、価格の下落は限定的とのことです。確かに他の地域と比較するとそうかもしれませんが、買う側からしてみれば、-18%でも安く買えるのであればそうしたいですよね。

-18%の下落率とは、元々5000万円のコンドミニアムなら4100万円まで下がることになります。この900万円の差は大きいですよね!

何がハワイの不動産価格に大きく影響を与えているのか気になりますよね。リサーチしたところ、どうやら失業率が不動産価格と密接に関係しているその二つを見てみましょう!

ハワイ失業率と不動産価格の関係性

 

以下のグラフは、オレンジがハワイの失業率%の推移(左軸の2%から8%の範囲)、ブルーが不動産価格の対昨年比の変化率%になっています(右軸の-20%から25%の範囲)。失業率と不動産価格変化率が綺麗に反比例していることが一目瞭然ですね!失業率が上がると、不動産価格が下がる!

(Data Source: Federal Reserve Bank of St Louis)

 普通に考えても、失業者が増えると不動産購入を検討していた人は買い控え、需要が減りますし、同時に、不動産保有者はローンが払えなくなり売りに出だす人が増え、供給が増えます。需要が減る中、供給が増えるので、価格は必然的に下がりますよね。

 ハワイの高級不動産に関しては、失業率が上がろうが保有者は大富豪の方が多く、資金面で余裕があるため、投げ売りをする必要がなく、不動産価格への影響は限定的だそうです(よくエージェントからそう聞きます)。

一方で、一般の方が住めるよりリーズナブルな価格の不動産に関しては、保有者、購入者共にローカルが多くなり、その中には観光業に従事されている方も多数いるので、コロナ影響で観光業が冷え込めば失業してしまいます。2019年に購入されたハワイ不動産物件に占める外国人割合はたったの3%程度ですので、やはりローカルの方々の経済状況が大いに反映されます。

資金を潤沢に持っている賃貸収入目的の投資家としても、失業者が増えて賃料が下がるかもしれない、あるいは払ってもらえないかもしれない状況下で投資はしないですよね。

では、実際に観光業が落ち込んで失業率が高かったリーマンショック時代に、不動産価格はどう推移したかズームインしてみましょう!

リーマンショック中のハワイ失業率と不動産価格の変化

 

リーマンショック時の失業率は、2007年の2.8%から2009年に7.2%まで上がり(黒の点線の矢印)、2010年-2011年も高止まりで推移していました。不動産価格は、2005年の+24.4%という急上昇を遂げた後、2008年には-4.9%の下落に陥り(赤の点線の矢印)、2009年に-8.6%, 2010年に-3.9%、2011年に-1.5%の下落と、低迷が続きました。

(Data Source: Federal Reserve Bank of St Louis)

 元々リーマンショック前に価格が急上昇していたこともあり、ある程度の調整が入ったとも解釈できますが、リーマンショック以外の期間を見ても、失業率と不動産価格は綺麗に反比例しているように見えるので、世界有数のリゾート地であるハワイでも失業率が不動産価格に与える悪影響は避けられないということですね。では、リーマンショックで7.2%まで上がった失業率は、コロナショックで何%まで上がったのでしょうか。

コロナショックを受けたハワイの失業率

 

HawaiiNewsNowによるとハワイの失業率は4月になんと35%に達したそうです。過去前例のない高い水準です。リーマンショック時でさえ7.2%だったので、その5倍にも及びます。

それもそのはず、観光客数はロックダウン前の3月ですら対昨年度比-53%という大幅下落。ロックダウン中の4月の観光客数はほぼゼロになるでしょう。この観光業の大不況を受けて、日本と違って解雇が容易なハワイでは、大幅な人員削減が行われてしまったのですね。ハワイで出会ったレストランのウェイター、ホテルの受付、ハウスキーパーの方々は、皆さんとてもフレンドリーで親切だったので心苦しいです。。。一刻も早くコロナが収束し、観光業が再開することを祈っております。

話を戻して35%の失業率が不動産価格に与える影響ですが、失業者の方の経済的ダメージを軽減すべく政府が救済策に乗り出しております。これも不動産価格に影響してくるので調べてみました。

 

コロナショックに対する政府救済施策

 

コロナショックにより職を失った、あるいは収入が大幅に減った方を対象にアメリカ政府は以下の救済施策を打ちました:

  • 不動産オーナー向けの対策:最大360日間ローンの支払いが免除され、その分の支払いはペナルティーなしで延期できる(Federally Back Mortgageをいうハワイ全体のローンの6割を占めるローンが対象)。
  • テナント向けの対策:4月は家賃が払えなくてもオーナーは立ち退き依頼の手続きができない。また、ある一定の条件を満たす場合は、2020年7月25日まで、またはロックダウン終了後最大120日間は立ち退き依頼の手続きができない。

 このような救済施策のおかげで、今すぐに不動産を売却せねばならないケースは抑えら、直近で不動産が急落するということはないかもしれません。とはいえ、いつまでも高い失業率が続くことになると、政府支援の期限が切れて破綻するケースも増えますし、不動産を購入する収入もないとなると需要も下がるので、不動産価格は下がります。では、コロナショックで前例のない失業率を招いてしまったハワイ観光業の展望はどうなのでしょうか。

 

今後のハワイ観光業の展望

 

ハワイ観光業の展望は、どの程度コロナ影響が続くかに一番大きく依存します。残念ながら、コロナがいつ収束するかは現時点では誰もわかりません。先日、トランプ大統領がワクチンは2020年内に開発できると宣言しました。専門家によると今から1年以上かかるとの見解だそうですが、仮に年内に開発できたとしても、コロナ前の世界にはすぐには戻らないと思います。

 なぜかというと、ワクチンが開発できたとしても、1) 果たしてワクチンは万人に効くのか、2) どこまでコロナ感染症状が完治するのか、3) 副作用はないのかの3つの課題が残ると思います。もし1) – 3)を完璧にクリアしたワクチンが完成しれたとしても、人々のマインドが変わるのに時間がかかります。というのも、コロナを普通の風邪のように気軽にひけて、普通の風邪のように気軽に薬を飲んで直せるという確信を持てない限り、人々は極力コロナ感染の機会を避けると思います。

ワクチン開発が1年後の2021年4月になり、そこから人々のマインドを変えるとなると、2021年にハワイ観光客数がコロナ感染前の2019年の水準に一気に戻ると考えるのは非現実的です。

失業率が改善しないとなると、過去事例を見る限りは、不動産価格は下落傾向になります。2021年ホノルル不動産価格はどうなるのかアメリカNo1不動産アプリのZillowの予測を参考にしてみました。

Zillowの2021年ホノルル不動産価格予測

 

Zillowは、2021年3月のホノルル不動産価格は$705,049になり、2020年3月の水準よりも-3.7%下がると予測しています。どこまでZillowがコロナの状況を織り込んでいるのかはわかりませんが、下がることが予測されているのは明確です。

(Data Source:Zillow)

 

まとめ

 

これから最低1年くらいは、1)コロナの収束、2)ワクチンの開発、3)人々のマインドが元に戻るのに時間を要するため、ハワイ観光業及びにハワイ経済がコロナ前の2019年の水準に戻るとは考えにくいです。

その様な環境下、失業率が大幅に改善し、不動産価格が上昇する可能性は低いと思います。Zillowも2021年のホノルル不動産価格は-3.7%下がると予測しています。ハワイ不動産購入検討をされている方は、急がずに一旦1年間は様子を見るのが良いかもしれません。もちろん、個別に良い物件がない場合においてですが。

私は、今後1~2年しっかりとハワイ不動産の動向を勉強してから、検討しようと考えています。そもそも資金面の準備もありますし。。。もし皆さまのお役に立つ情報があれば共有させて頂きますね!

投資するならどっち?東京ワンルーム vsハワイコンドミニアム

将来ハワイに家を持ちたい!と思っている人は多いのではないでしょうか。私にとっても長年の夢です! ハワイとはいえ海外不動産投資になるので、国内不動産投資よりもハードルぐっと上がります。

最大の障壁が、海外不動産は現金での購入がほぼほぼ必須になる点です(厳密にいうと、融資してくれる銀行はあるものの、金利が高く採算があわないのと、借り入れられる金額が限定的という欠点があり、お勧めできないないので省きます)。

一方で、東京都のワンルーム投資は頭金ゼロで買えるという宣伝広告を目にしたことがありませんか。堅実にサラリーマンを続けていて、ある程度の収入をコンスタントに稼ぎだされている方は、この信用ステータスをフルに活用して条件の良い融資が引き出せます。

この融資の差を乗り越えてでも、どうしてもハワイ物件投資諦めたくない方のために、東京ワンルームとハワイコンドミニアムのキャッシュフローを比較してみました! 

 *物件のキャッシュフローシミュレーションは、それぞれ不動産エージェントの方から情報提供頂いて作成しております。物件によって条件は変わりますし、納めている税金で節税メリットも変わりますので、あくまでも目安としてお使い頂けますと幸いです(このシミュレーションの節税メリットは、年収1,000万円ベースで算出しております)。

物件基本条件の比較

東京の物件は、人気急上昇中の文京区のワンルームを選びました。三田線の駅から徒歩4分とアクセスが良く、高い稼働率が想定できますね。それに加え、2014年築の築浅です! 価格もワンルームでありがちなぎりぎりで2,000万円台に抑えられており、賃料もぎりぎり10万円を超える程度です。

 ハワイの物件は、皆が憧れるワイキキビーチから徒歩圏内のコンドミニアムを選びました! 1 BED/1BATHですが、58㎡あるのでゆったりした空間です。ワイキキビーチは見えませんが、目の前はAla Way Riverで、その後ろには山が見える長閑な眺望です。物件価格の差がそこまでない中、賃料が2倍以上の2,200ドル(24万円)ももらえるのは嬉しいですね!

1980年築で日本の感覚だと築40年でとても古いですが、ワイキキでは普通です。アメリカでは、建物が丈夫に作られているらしく、しかも地震がないため、100年くらいは持つといわれています。

 では、この2件の収益性を比較してみましょう!

 

物件実質利回りの比較

賃料ではホノルル物件が2倍上でしたが、実質利回りでは文京区物件の方が良くなります。これには驚きました。。。ハワイに物件を買いたかったので残念でもあります(笑)。

収支が逆転してしまうり要因は、ホノルル物件は賃料が高い分、それ以上に全費用が高くなっています。特に管理費であるHOA(Home Owner’s Associationの略)が月に82,000円かかってしまいます。HOAはテナントがいる/いないにか関わらず毎月発生します。空室が続いて賃貸収入が入らなくなった時のキャッシュるが怖いですね。

現金購入が必要で、かつ実質利回りも悪いハワイのコンドミニアム。金銭的なメリットは一切ないのでしょうか?! 実は、物件価格と賃料のインフレを考慮すると投資価値が一気に上がります!

 

ホノルルコンドミニアムの価格推移2011-2020年

(Source:Zillow)

上記は、ホノルルコンドミニアムの新築と中古をあわせた平均価格になります。2011年に約30万ドルくらいだったのが、2020年には45万ドルくらいまで上がっていますね! 10年で1.5倍になっているので、その期間の年間平均上昇率は4.1%あります。これならキャピタルゲインが期待できますね!

 エージェントから聞いた話ですが、ハワイ不動産価格は上がり続けていて、なかなか下がらないそうです。リーマンショック時も下落が限定的だったとのこと。ハワイ不動産の特徴として、売り出されている供給物件が非常に少ないのに対して、世界中から需要が集まるため常に需要過多。リーマンショック時は、この供給が更に絞られたため、価格が下がらずに持ちこたえられたようです。それなら安心して投資できますね! もちろん、お金があればですが。。

 また、米国の不動産は中古になっても価格が下がらないというメリットがあります。日本の不動産は、新築が高く、中古になった途端に価格が下がってしまう傾向にありますよね。一般的に築年数を重ねるにつれて物件価格が下がっていきます。一方で、米国では築年数は特に重視されていません。そのため中古物件でも値上がりするケースが多いです。建物が頑丈のためそこまで気にならないのでしょうね。

ホノルルに限っていうと、そもそも不動産用に開発できる土地がとても限られているので、どんどん新築が建って中古が見劣りしてしまうということがありません。なので買った後も十分に価格が上がることが期待できるのです!

 賃料も同じ動きをします。物件が少ない分、ホノルルに住みたい人が増えると賃料が上昇します。それに加えて、日米のインフレーションを比較すると、日本が0%前後なのに対して、米国が2%前後ですので、米国の方がより自然に賃料が上昇します。日本では、物件が年数を重ねるにつれて賃料が微減していく傾向にあるようなので、むしろデフレです。今後、両国がどのようなインフレ水準で推移するかは予測できませんが、両国のマクロ経済の予測についてはここをクリックしてください。

それでは、この物件価格と賃料のトレンド違いを織り込むべく、それぞれの物件を購入してから35年間賃貸運用してから売却した場合、キャッシュフローがどうなるか比較してみましょう!

 

キャッシュフロー内訳比較- 東京フルローン購入vs ハワイ現金購入 

日本と米国での物件価格/賃料と築年数の関係性の違いを加味すべく、文京区物件は毎年物件価格と賃料が-1%下落、ホノルル物件はどちらも毎年+2%上昇すると仮定しています。

物件売買キャッシュフロー: 売却額  - (ローン返済/購入額)です。文京区物件は購入時の出費とローン返済を合わせて4,000万円かかっているのに対して、売却時には1,700万円とその半分にもなりません。一方で、ホノルル物件は3,800万円の現金が最初に必要ですが、35年後には5,800万円で売却できます!結果、文京区物件は2,300万円の赤字に対して、ホノルルの物件は1,900万円の黒字になりました

東京の-1%の下落とホノルルの+2%の上昇のインフレトレンドの差が顕著に表われました。

 賃貸運用キャッシュフロー:文京区物件が2,500万円の黒字に対して、ホノルル物件は3,100万円の黒字です。もちろんインフレは賃料のみならず全費用で加味しています。また、費用が高い分、多少ホノルル物件の方が節税効果が大きくなりますね(物件の購入をされる前に、税理士の方に相談されることをお勧めします。上記は不動産エージェント情報に基づいて作っているだけです)

実質利回りでは文京区物件が上回っていましたが、35年間運用するとこちらもインフレ効果でキャッシュフローが逆転します。実質利回りの欠点はその時の賃料、費用、物件価格で計算されているスナップショットなので、今後の予測ではない点です。

合計キャッシュフロー:文京区物件で300万円、ホノルル物件ではなんと5,000万円にもなります! しかし、これは純粋な毎年のキャッシュフローの合算値です。実際にはインフレーションがあるので、お金の価値が変わってきます。現在価値に変換するには、インフレ分を割り引かないといけないです。ここでは、毎年1%の割引率(インフレ率)でNPV(正味現在価値)を計算しました。そうすると、それぞれ13万円と2,850万円と大幅に減ってしまいます。

以下わかりやすいように累積キャッシュフローのNPVを購入時から売却時までの35年間分棒グラブにしてみました。

 

年別累積キャッシュフロー比較① – 東京フルローン購入vs ハワイ現金購入

文京区物件は、購入時の出費が抑えられている分最初の赤字幅は小さいですが、賃料だけではローンの支払いをカバーできないため、毎年持ち出しが発生してしまい、その赤字が徐々に累積して大きくなります。35年後の売却時にNPVがプラスに転じますが、13万円と金額が小さいためグラフ上では確認が取れないレベルです。

 一方で、ホノルル物件は購入時に現金が必要で大幅な赤字スタートしますが、賃貸運用で毎年キャッシュフローがプラスになるので、徐々に累積赤字が少なくり、売却時に一気に2,900万円の黒字転換してますね。

参考までに、35年間現金保有した場合のケースも入れました。金額はホノルル物件の購入時に必要な3,800万円です。1%のインフレの中、何もせずに放っておくことで、35年後にNPVで1,100万円も損をすることになります。

それと比べると、文京区物件もホノルル物件もNPVはプラスなのでより魅力的です。仮に3,800万円を1%のリターンで投資運用していたら、インフレと同じ1%なので、NPVは0になっており、損しなかったことになります。

文京区物件はフルローン購入、ホノルル物件は現金購入となると、同一条件でのNPV比較ではありません。次は両物件現金購入で買った場合のNPVを試算してみました。

 

年別累積キャッシュフロー比較② – 東京現金購入 vs ハワイ現金購入

文京区物件のNPVは、フルローンでの購入ケースではプラス13万円でしたが、ここではプラス286万円に上がりましたね!ローンを活用しないことで、毎月の金利分を払わなくてよくなるので、その分NPVが良くなりました。しかし、ホノルル物件の2,900万円と比較すると見劣りします。

賃貸収入で頭金ゼロのフルローン支払いをほぼほぼカバーするスキームは、賃料が物件価格に対して高く、かつ超低金利で融資ができる日本ぐらいでしか実現きないスキームです。これは日本のサラリーマンの方の特権だと思います。

しかし、せっかく超低金利のフルローンで物件購入をしても、手元の現金の使い道が他にないのであれば、現金を使って物件購入して、NPVを少しでも上げたほうが良いですね。

では、最後に文京区物件をフルローンで購入して、残った手元の現金を5%リターンの株式投資に回した場合はどうなるでしょうか(米国株投資で期待できるリターン%についてはこちら)。両ケースともにホノルル物件価格同等の3,800万円を現金で持っており、文京区物件は毎月の赤字を補填する費用を差し引いた残りを5%リターンの株式投資したケースです。

 

年別累積キャッシュフロー比較③ -東京フルローン購入+株投資 vs ハワイ現金購入

文京区物件のNPVは、手元資金で株投資をすることでなんと12,300万円まで上がります! ずっと高く見えていたホノルル物件のNPV 2,900万円が小さく見えますね! これがフルローン融資を受ける最大のメリットです。ホノルル物件は現金が最初に必要なことで大きな機会損失をしてしまっていると言えます。

 

まとめ

一見、東京都のワンルームに投資する方が、1)頭金なしの超低金利フルローンで、2)かつ実質利回りも高いため、より金銭的なメリットがあるように見えましたが、ハワイのコンドミニアムは、物件価格と賃料のインフレ効果で、長期保有して売却すればより大きな収益をあげられることが今回のシミュレーションでわかりました。

しかし、東京ワンルームはフルローン融資を活用し、手元の現金を株式に投資することでより大きな収益をあげることが可能です。そのため、どちらの物件を購入するかは、単純に両物件のキャッシュフロー予測だけではなく、手元に余った資金のその他の使いみをしっかりと理解して進めたいですね!

もし物件を変えてシミュレーションをしたい場合、あるいは各条件(ローン金利、為替レート、割引率(インフレ率)等)を変えてシミュレーションしたい方はこちらからご連絡ください!各条件をカスタマイズできるエクセルを差し上げます!

 

投資するならどっち? 日本不動産 vs アメリカ不動産 -マクロ経済比較

サラリーマンの多くの方が目指す不労所得。その一番人気といっても過言ではないのが不動産投資ではないでしょうか。最近は、東京都ワンルームマンション投資に加えて、海外不動産投資も活発になってきましたね。私もよく海外不動産セミナーに参加するのですが、毎回大勢の方が参加されております!

海外不動産の中でもアメリカは、世界一の先進国で、安心して投資できるメリットがあり、特に注目度が高いです。

今回は、日本不動産投資とアメリカ不動産投資の展望をそれぞれ理解すべく、不動産収益に関わるマクロ経済指標を日本とアメリカで比較してみたいと思います。特に、将来の不動産価格、物件稼働率、賃料を大きく左右する人口成長と経済成長に焦点をあててみました。その上で、アメリカ不動産の直近の価格と賃料を推移を見てみました。

 

日米人口比較: 2015-2060年

 

日本の人口は、2015年の127百万人から、2060年の87百万人へと32%減少。一方で、米国の人口は、321百万人から417百万人へと30%増加。日本の人口の2.5倍だった米国の人口が、5倍近くに跳ね上がることになるんですね。

(ソース:厚生労働省)

人口が減少する日本では、不動産物件の購入需要と賃貸需要が減ることで、不動産価格が下落、賃料も減ってしまうと推測できます。逆に、人口が増加する米国では、その逆が予想できますね。

日米GDP比較 2018-2060年

 

日本のGDPは、2018年の4.7兆ドルから2060年の4.6兆ドルへと2%縮小。一方で、米国のGDPは、19.2 兆ドルから34.2兆ドルへと78.1%拡大。これにより、日本のGDPの約4倍だった米国のGDPが、7.5倍近くになります。

(ソース:日本経済研究センター)

GDPが成長しない日本では、不動産を購入、賃料を払うために必要な経済力が伸びないが、GDPが成長する米国では、経済力が伸びるということですね。(単位:兆ドル、2014年換算)

上記の通り、日本vsアメリカの国レベルの比較では、米国不動産市場展望の方が格段明るく見えるますが、実際のところ米国不動産はどのような価格と賃料で推移しているのか調べてみました!

アメリカ不動産価格推移(2010-2020)

 

(Source:Zillow)

上記の通り右肩上がりで上がっているようですね。2010年の$170K付近から2020年には$240K付近まで価格が上昇しております。直近11年間で40%の上昇です。キャピタルゲインが期待できますね!

$240Kと聞くと安い!と思われる方が多いと思いますが、人気のニューヨーク、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、ホノルルといった都市部では、その2倍も3倍もする価格に跳ね上がります。

 

アメリカ不動産賃料推移(2010-2020)

 

(Source:Zillow)

賃料も同じ傾向にありますね。2011年の$1.22K付近から,2020年には$1.58K付近まで上昇しております。こちらは30%の上昇になります!

日本でも、リーマンショック以後、都市でマンション価格が上昇傾向にありましたが、賃料はそれに追いついて上昇しておりませんでした。それに比べると、アメリカ不動産の賃料インフレはインカムゲインの上昇が期待できますね。

上記の不動産価格と賃料は、あくまでも国レベルでの平均値であって、場所によってトレンドは大きく異なります。次は、特に人気の高い東京のワンルーム投資とハワイコンドミニアム投資の収支比較をしてみました!興味があればご一読ください:投資するならどっち?東京ワンルーム vsハワイコンドミニアムの収益比較