40年間コーヒー代を投資すれば沖縄移住の生活資金が貯まる!?

ついついスタバに行ってスターバックスラテを頼んでしまう癖があるのですが、毎日のコーヒー代を節約&投資していたらどうなるか気になり計算してみましたので共有させて頂きます!

コーヒー代の節約&投資は、既にアメリカでは広まっている概念でして、この記事を見てまたかよ!?と思う方は多いかもしれませんが(何度もすみません。)、今回は、コーヒー代、投資リターン%、投資年数のパターンを複数掛け合わせて計算しているのでご自身の状況によりフィットしたスタイルを選べるのと、沖縄生活で必要な資金が貯まるかという観点からも見てみます!

タイトルで期待させ過ぎてしまったかもしれないので先に申し上げておくと、25歳から40年間毎日 600円のコーヒー代を7%リターンで投資すれば、25年間分の沖縄生活資金を築ける計算になりました!(それより長生きしちゃったらごめんなさい!)。40年の投資はちょっとハードルが高いですかね。。。

 

いくら貯まるか:節約だけで投資しないケース

縦軸はコーヒー代で横軸が投資年数です。コーヒー代は、コンビニで買える100円くらいのコーヒーから、スタバにある600円くらいするデラックスなコーヒーまでバリエーションを持たせました。

さすがに一日数百円のレベルなので、ある程度続けないと貯まりません。。そのため、節約期間も5年から40年のレンジにしております。

上の表の読み方を説明すると、100円のコンビニコーヒーの場合は、5年で18万円、40年で144万円になります。リタイアするのに必要な資金には到底届かないですね。。。

一方で、600円のスタバフラペチーノの場合は、純粋に6倍の貯金になります。5年で108万円、40年で864万円!ここまでくると、だいぶ老後資金として頼れますが、この先40年後って生きているかどうか。。正直私自身はあまりイメージがわかないです(笑)。

私自身は35歳で、45歳でのアーリーリタイアを目指しているので、10年の期間となると、600円のスタバフラペチーノで216万円の貯金です。次は、3%のリターンで投資運用したらどうなるか見てみます!

 

いくら貯まるか:節約&投資リターン@3%

600円を10年間投資すると、252万円ですね! 3%リターンの方が、先述の節約するだけのケースよりも252-216=36万円多く貯まりましたね!

3%って現実的なの?と言われてしまうと、株式市場は乱高下するので、何とも言えませんが、アメリカS&P500インデックスに10年以上の期間投資していた場合のワーストケースでも3%弱のリターンがありました!

過去のS&P500インデックスのリターンについてはこちら

今度は5%で運用したケースを見てみましょう!

 

いくら貯まるか:節約&投資リターン@5%

600円を10年間投資すると、280万円ですね! 5%リターンの方が、先述の貯金するだけのケースよりも280-216=64万円多く貯まりました!

5%は大体米国株式投資のリターンの目安として使われることが多いです。有名投資家のWarren Buffetさんが2013年に6%のリターンを期待できると言っていたので、それよりかは保守的な数字です。

最後に7%で運用したケースを見てみましょう!

 

いくら貯まるか:節約&投資リターン@7%

600円を10年間投資すると、312万円ですね! 7%リターンの方が、先述の貯金するだけのケースよりも312-216=96万円多く貯まりました!ちなみに600円を40年間投資し続けると4,725万円にもなりますね!これこそ老後生活資金です!

7%は少し強気の見積もりかもしれませんが、実現できない数字ではありません! もしアメリカS&P500インデックスに10年以上の期間投資していた場合のベストケースだと16%弱のリターンでした(記事はこちら)。ワーストケースが3%だったので、ベストケースの16%との間を取っても約10%あります。過去事例を見る限り可能な数字ですね!

次にどれだけの老後生活資金が必要か、年齢別、月当たりの支出別にみてみましょう!

生活資金毎月いくら使えるか:投資しないで取り崩すケース

必要な生活資金を、縦軸の月当たりの支出別(10万円から40万円)、横軸のリタイア時の年齢別(40歳から65歳)で計算しております。リタイア後には、投資をせず、生活資金を毎月90歳まで取り崩す想定のケースです。

私の場合、10年後の45歳でリタイアしたいので、45歳の列を見てみるとの支出が10万円でさえ、老後資金5,400万円が必要になります。。コーヒー代を10年投資したところで全く足しにならないですね(笑)

実際には、月の支出が20万円くらいかかりそうなので、その場合は1億800万円必要です。。。だいぶハードルが高いです(笑) 

調べたところ、沖縄での生活も2人以上の世帯で月20万円かかるようです。

このままでは全く到達できないので、リタイア後も投資を続けるケースを計算してみました!

 

生活資金毎月いくら使えるか:投資しながら取り崩すケース@2%

生活資金を2%で運用しながら取り崩した場合、10年後の45歳でリタイア&毎月10万の支出だと、生活資金は3,565万円に圧縮されます。投資せずに取り崩したケースの5,400万円から、約2,000万円も下がりましたね!

同時に、毎月20万の支出を可能にするために必要な資金は、1億800万円から7,129万円に約3,500万円も圧縮されました!

資金を毎月一定額取り崩しながらの投資なのですが、45歳から90歳までの45年間という長期間に渡って投資することで、複利の恩恵を得られるのですね! 2%の運用とはいえ、効果は抜群です!

 

沖縄でのリタイア生活に必要なコーヒー代投資とは!?

沖縄での生活費は2人以上の世帯で平均20万円です。生活資金を2%リターンで投資しながら取り崩すケースだと、65歳でリタイアするには4,726万円が必要な生活資金になります。

その4,726万円を貯めるために必要なコーヒー代投資とは一体!?

節約&投資@7%リターンの表を使うと、600円のコーヒー代を40年間 毎日7%リターンで投資することで4,725万円貯まることがわかりました。沖縄生活に必要な老後資金とドンピシャ! 

90歳で死ぬときには1万円借金して死ぬ計算です(笑)。綺麗に使い切って気持ち良いですね!

 

最後に

コーヒー代を毎日節約&投資した場合だと、40年という超長期にわたって継続しないと、リタイアに必要な資金を捻出することは難しいことがわかりました。しかも7%という高リターンでないといけません。

20代の方で今後40年間にわたり根気よく投資を続けられる方は、是非ともトライして頂きたいですが、リタイアまでそんなに時間がない方はコーヒー代だけに限らず、もっと投資しましょう笑! 

 

 

 

 

 

 

アーリーリタイアするために必要な投資額とは?

前回の記事では、米国株式S&P500に投資して老後資金3,000万円を得るには、各年齢ごとにいくら一括投資しなければならないかシミュレーションしました(前の記事はこちら)。

今回は、一定金額を毎月継続して投資した場合、何年後にいくらになるかをシミュレーションしてみました。目指すアーリーリタイアの年齢までに十分な資金を貯められるかのご判断に使って頂ければと思います!今回も前回と同じ5%の株式投資リターンを使っています。

 

定額投資でいくら貯まるか:投資運用@5%

 

以下のグラフは毎月の投資金額(縦軸)と、投資期間年数(横軸)ごとにいくらの資金を築けるかをシミュレーションしております。@5%リターンです。

ケース①:もし毎月3万円を今後40年間にかけて投資するのであれば、4,578万円になります。塵も積もれば山となると思いきや、投資原資は1,440万円だけです(3万円*12か月*40年=1,440万円)。その差額の3,138万円は純粋に投資効果によるものです。恐るべし投資効果。。

ケース②:もし投資期間を半分の20年にして、同じ4,000万以上の老後資金を築き上げるには、毎月いくら投資しなければならないのでしょうか。ぴったり同じではありませんが、毎月10万円の投資を20年間した場合、4,110万円になりますね。

この場合、投資原資は2,400万円になるため(10万円*12か月*20年=2,400万円)、差額の1,710万円が投資効果になります。ケース①と比較すると劣りますが、それでもありがたいですねー。

ケース①は1,440万円の原資で4,578万円。原資の3.18倍になっています。ケース②は、2,400万円の原資で4,110万円。原資の1.71倍です。ケース①はケース②よりも1,000万円近く少ない原資の捻出で、約450万円多い老後資産を築き上げられております。

このように、より少ない原資でもより長い期間投資することで、より多くの老後資金を築き上げることができるのですね!

ちなみに、私は30歳で貯金ゼロから米国株式投資を始めました。。もし20歳から始めていたらいくらになっていたのだろうといつもシミュレーションをしては悔しがっています(笑)。過去に戻れないことは知っているのですが、ついついくせで辞められません。。。

このような不毛な幻想にふけずにすむよう、早めに投資を始めることをお勧めいたします!

 

何歳でリタイアできるか:老後資金取り崩し&投資なし

 

では、この4,000万円以上の老後資金があれば、一体何歳でリタイアして、リタイア後に毎月いくら使えるのでしょうか!?

以下がリタイア年齢(横軸)とリタイア後(縦軸)にかかる毎月の支出をベースに必要な資金をまとめた表です。リタイア後は90歳まで生きるとし、リタイア時に株式投資はやめて老後資金を取り崩す前提です。

もし55歳でリタイア予定で、リタイア後は90歳で死ぬまで毎月10万円の生活費が想定されるのであれば、4,200万円の資金が必要になります。1) 家のローンが完済しており、2)年金ももらえるのなら十分な金額なのかもしれませんが、1)+2)の前提がなければ、都会で暮らすのは難しい水準ですね。

 

何歳でリタイアできるか:老後資金取り崩し&投資運用@2%

 

では、リタイア後も毎月一定額を取り崩しながら、残りの老後資金を投資運用することで減少ペースを抑えたらどうなるのでしょうか。投資スタイルはアグレッシブなリターン狙いの投資(5%)から、資産を守る保守的なスタイルに切り替え、2%リターンで計算しております。

先ほどのケースと同じ55歳のリタイアで月の出費が10万円の場合、必要な老後資金は3,024万円になり、4,200万円から大幅に減りました!

たったの2%のリターンと思いきや、長期に渡るとかなりのインパクトですね。リタイア後も資産取り崩しながら保守的な投資を続けることが大切ですね!

むしろ、4,000万円以上の資金があれば、同じ55歳のリタイアで出費を15万円まで増やすことができますね。一か月プラス5万円の差はありがたいですね!

次に、FIREという十分な老後資金を貯め、その投資収益だけで生計を立てる方法を紹介します!

 

投資収益だけで生計を立てるFIRE方式

 

最近欧米で特に若い人の間で注目されているFIREというライフスタイルがあります。FIREはFinancial Independence and Retire Earlyの略で、できる限り早くリタイアして、仕事に拘束されない自由な人生を実現するというコンセプトです。

FIREでは、1年間の生活費の25倍の資金を最速で貯めて、その資金を投資運用することで取り崩しなしの生活を実現することを推奨しています。要するに1/25=4%の投資リターンでリタイア後も投資運用をするということですね。そうすることで、毎年必要な生活費と同等の投資収益をあげられるので持続可能ということです。

もし一年間の生活費が300万円かかっている方なら、貯めなければならない資金は300万円×25=7,500万円になります。以下に5%投資リターンのグラフを再掲載しました。7,500万円を貯めるには、毎月5万円の投資の場合、40年間続けないと到達しないですね。。ちょっと先が長い。。。

 

まとめ

 

  • 毎月3万円を5%リターンで運用することで、40年後には4,578万円になる。一方で、毎月10万円を5%リターンで20年運用しても、4,110万円にしかならない。
  • 上記の例のように、より少ない原資でもより長い期間投資することで、より多くの資産を築き上げることができる。
  • 55歳にリタイアし、リタイア後に毎月10万円使う場合、4,200万円の老後資金が必要になるが、もしリタイア後に2%リターンで資金運用をしたら、ほぼ同じ老後資金で毎月15万円使えるようになる。
  • たった2%のリターンでも、リタイア後も資産運用続けることで、可処分所得が大幅に増える。
  • 年間生活費の25倍の資金を貯めることができれば、資金の取り崩しなしで、投資収益のみでリタイア後の生活が送れるとFIREは推奨している。

もし条件を変えてシミュレーションをしたい場合はこちらからご連絡ください!各条件をカスタマイズできるエクセルを差し上げます!

 

S&P500株式に投資すれば何%のリターンが期待できるか?

上がるのを傍観するばかりで、なかなか手を出せていない米国株式投資。特に買うタイミングを見計らうのは難しい判断ですよね。

今回は、米国S&P500 (時価総額の大きい米国企業の株価指数)の過去実績を用いて、1) 底値で買ったケースと2) 高値で買ったケースで投資リターンを算出してみました。その上で、老後資金3,000万を貯めるのに必要な投資額を各年齢別にシミュレーションしました(あくまでも過去実績に基づいたシミュレーションです。投資は自己責任でお願いいたします)

 

S&P500にいつ投資すべきか

    皆さんが一番恐れるのは、株投資を始めてすぐにリーマンショックやコロナショック級の株価暴落に見舞われることですよね。

    結論は、10年以上投資する前提だと、いつ株を買い始めても儲かっていたということです。株は下がる局面もありましたが、長期的には上昇してきました。

    下のグラフはS&P500の価格を各5つのポイントで拾ってきております。Worst CaseとBest Caseのリターンがどうだったかを見ていきましょう。

      1. リーマンショック前の高値 (2007 Oct 9: 1,565)
      2. リーマンショック時の底値 (2009 Mar9: 677)
      3. 直近の高値(2020 Feb19: 3,394)
      4. コロナショックでの底値(2020 Mar23: 2,192)
      5. 現在の水準 (2020 Apr 9: 2,790)

    (Data Source:Macrotrends S&P500 10yr daily chart)

    Worst Case: ①のリーマンショック前の高値の1,565で買ってしまい、④のコロナショックの底値(2020/4/12時点の底値)の2,192で売ったしまった場合。1,565で買って早々に②のリーマンショックの底値の677まで下がり、再び1,565に戻ったのが6年後の2013年。しかし、そこから順調に伸びてプラスに転じております!

    約13年間で1.4倍。年平均リターン +2.6%

    Best Case: ②のリーマンショックの底値の677で運良く買え、③の高値の3,394で売れた場合。正に夢のような投資。

    約11年間で5倍。年平均リターン +15.8%

    ということで、10年以上の投資スパンでみると、最悪で年間+2.6%、最高で年間+15.8%のリターンが期待できたのですね!明らかに何もせず放置しておくよりかはベターだと言えますね。

    もちろん理想は、底値で一気に投資できる資金をつぎ込むことですが。。しかし、これは容易ではないです。私もリーマンショックの時はビビッて買えず、コロナショック時には早まって買ってしまったという苦い経験があります(笑)。株価が下落している局面ではもっと下がる、上昇している局面ではもっと上がると思っちゃいがちで、いつも失敗の繰り返しです。しかし、10年以上の長期スパンで見ると、当時高く買ってしまうことよりも、買わなかったことの方が損になるのです。

    どんな腕利きの投資家でも、底値と高値をぴったり予測することは難しいのが現状です。実際に、あの著名投資家のWarren Buffetさんも、2020年2月末にDelta株を46ドルで50億円分買っておりますが、Delta株は4月10日時点で24ドルで推移しており、半分の価格になってしまっております。。

     

    S&P500にどの程度の金額を投資すべきか

    感の悪い私は、いつ買うかのタイミングを見極めることを諦め、毎月給料から一定額を投資に回すよう心掛けています。失業したときのため、1年間分の生活費は銀行口座に持っておりますが、残りはすべて株式投資に回しています。

    XX歳までにYY万円貯めてアーリーリタイアしたい!と具体的にゴールを持っている方も多いと思うので、投資対効果を以下の表にまとめました。年平均リターン (Return%) ごとに、5年ー40年後(Yrs) に投資が原資の何倍になるかを表しています。

    例えば、1%のリターンで5年投資した場合は、原資が1.05倍になります。一方で12%のリターンで40年投資した場合は、なんと93.05倍にも跳ね上がります!驚異的な数字ですね。

    今後どのリターン%で米国株が上昇するかを予測するのは不可能です。代わりに一つ良い目安になるのが、Warren Buffet氏のコメントです。彼は、米国経済の実質GDP成長率が3%、インフレが2%、それに加えて株配当の1%を合計した6%が恐らく米国株式のリターンとして期待できる数字ではないかと2013年に仰っております。

    2013年から比較すると、既にS&P500も急上昇していますし、また、その時よりアメリカの経済成長のスピードが減速しているので(コロナ有無に関わらず)、6%ではなく、4-5%で計算するのがよりコンサバで良いかもしれません。

    では、早速5%のリターンを使って試算してみましょう! 5%のリターンで1,000万円を投資したとすると、今から40年後には7.04倍の7,040万円になります。一回目の投資から10年後に、更に1,000万円を追加投資すると、その30年後(今から40年後)には5.52倍の5,520万円になります。つまり、合計2,000万円の原資が30-40年かけて12,560万円(7,040+5,520)にまで増えます。5%といえど、恐ろしい威力ですね!

     

    老後資金を得るにはいついくら投資すればよいか

    麻生太郎金融相が65歳でリタイアした夫婦が、30年間老後生活をおくるには、年金と退職金とは別に2,000-3,000万円の資金が必要と宣言して話題になったことがありましたね。

    では、その上限の3,000万円を65歳で貯めるためには、いついくらを投資すべきかを試算してみましょう!以下の表は、5%のリターンで投資運用を開始した各年齢 (Age) と、各年齢で3,000万円を貯めるのに必要な原資 (Principle) を表しています。

    25歳であれば、原資はなんと426万円ですむんですね!400万円以上の貯金をそのまま株に投資できるほど余裕がある25歳の方は少ないと思うので、35歳で老後に向けた貯えを準備したケースを見てみると、それでも694万円ですむようです。一方で、50歳で始めた場合は、3000万円の約半分に当たる1,443万円が必要になりますね。

    早く投資を始めれば始めるほど少ない原資ですむので、できるだけ早くから始めることをお勧めします!

    毎月いくら投資をすれば何歳でリタイアできるかはこちら

     

    S&P500のどの銘柄に投資すべきか

    上記のリターンについての例は、どちらも株式市場全体の過去トレンドであって、個別銘柄のトレンドではありません。株式市場はいくつも個別銘柄から構成されており、全体のトレンド以上に上がっている株も下がっている株も存在します。

    私は株価収益率や今後のビジネスの成長性を鑑みて、テック系の株を買っていますが(テック系株の分析はこちら)、個別銘柄がわからない人はS&P500に連動する投資成果が得られるインデックスファンドを買うこともできます。インデックスファンド投資のメリットは、大きくわけて、1) 広域な分散投資が可能、2)株の勉強に時間をかけなくてよいの2点になります。

     

    S&P500への投資戦略のまとめ

    簡単に上記の内容をまとめさせていただきますね。

    •  株投資は買う/売るベストタイミングを見計らうことは、困難。プロでも完ぺきなタイミングでは買えないことが多い。
    • S&P500の過去実績を見る限り、10年以上の長期投資であれば、買うタイミングと売るタイミングが悪くても、リターンはプラスに転じている。
    • 早く投資すればするほど、老後資金は貯めやすい。5%のリターン想定だと、3,000万円を貯めるために、25歳だと426万円の投資ですむ計算だが、50歳だと1,443万円必要になる。
    •  どの個別銘柄を買ってよいかわからなくても、S&P500のインデックスファンドに投資する選択肢がある。

     

     

     

     

     

    コロナショックで米国株は買いか②ー株価収益率、売上成長率、利益率を用いて検証

    前回の記事:コロナショックで米国株は買いか①ー下落幅と今後の展望から推測では、米国株優良8銘柄における1)過去一年間の最高値からのコロナショックによる下落率と、2)コロナ収束後の企業業績のざっくりとした見通しの2点をベースに、株価が割安か否かを私なりに判断してみた。しかし、そもそもコロナショック前につけた直近一年間の最高値が割高であった場合、コロナショックで適正値に戻っただけとも捉えられる。今回はその検証をすべく、株価収益率、売上成長率、利益率トレンドを用いて解説する(投資は自己責任でお願い致します)。

    米国株優良8銘柄の株価収益率比較:

    米国株8銘柄の株価収益率を比較してみたい(株価収益率の解説はここをクリック)。以下のデータは、2020年4月4日時点の時価総額を2019年の純利益で割ったものである。株価収益率が高いほど(割高)赤色、低いほど(割安)緑色になっている。 一番高いアマゾンが約82倍なのに対して、一番低いディズニーは約17倍と5倍の差が生じている。

    8銘柄は属する業界が異なるため、単純比較はできないが、過去5年間の売上成長率(Revenue YoY Growth %)と、純利益率(Net Profit Margin%)の2つを用いることで、現在の株価収益率の妥当性をより深く理解できる。

    売上成長率比較:

    まずは売上成長率から。2015年から2019年までの対前年比売上成長率を並べてみた。CAGRとは年平均成長率である。

    アリババが53%と一番高く、ディズニーが7.3%と一番低い。時代の流れをキャプチャーし成長段階にあるEコマース企業と、圧倒的なブランド力で長年にわたって人々を魅了し、シェアを伸ばし切った企業との違いだろうか。

    純利益率が一定とした場合、売り上げが伸びれば伸びるほど、純利益額が上昇し(例①)、株価収益率は下がる(例②)。

    例① 売上:100->120 & 純利益率:10%->10%の場合、純利益額:100*10%=10->120*10%=12。結果、純利益額は10から12に上昇する。

    例② 時価総額:100->100 & 純利益額:10->12の場合、株価収益率:100/10=10->100/12=8。 結果、株価収益率は10から8に下落する。

    もし各企業の売上が過去5年間の年平均成長率を維持して2025年まで成長するとどうなるだろう。2019年の売上を1とした場合、売上成長率が一番高いアリババで2025年に現在の12.8倍、売上成長率が一番低いディズニーで1.5倍になる。

    そもそも売上が大きくなるにつれて、企業は成長率を維持することが難しくなる。そのため、上記は非現実的な予測だが、高成長企業と低成長企業の間で年数を経ることで、どの程度売上に差がつくのかを理解するのに使ってほしい。同様に、この売上成長率の差がどう株価収益率に影響を与えるかを見てみると、以下のようになる。もし時価総額と純利益率が同じだった場合である。こちらも非現実的な数字だと心得ておいてほしい。

    アマゾン、アリババ、グーグル、フェースブックといった高成長企業は、株価収益率が1倍を下回る水準まで下がっている。すなわち、1年間分の純利益額よりも、会社の価値が低く評価されているということだ。一方で、アップル、マイクロソフト、ディズニー、スターバックスといった低成長企業は、下げ幅は限定的で、3-6倍の水準に下がっている。限定的とはいえ、現状の株価収益率の16-28倍よりも大幅に下がっている。

    仮に、各企業が売上成長率と利益率を維持できて、純利益額を上記の通り伸ばせたとしよう。その場合は、時価総額及びに株価も上がるはずだ。なぜなら、これらの優良企業が、0-6年間分の純利益額で買えるほどの割安の企業価値になるとは考えられないからだ。ブランドが確立して、ユーザーから支持を得ているブランドほど、倒産リスクは低い。売上も安泰だし、資金面でも信用を使って低コストでの借り入れができる。普通に考えて20-30年くらいは存続すると考えがちなので、株価収益率が20-30倍になる。

    純利益率比較:

    次に純利益率の見てみる。 2015年から2019年までの 過去5年間実績と、5年間の平均値(Average)を記載した。

    フェースブックが32.4%と一番高く、アマゾンが2.5%と一番低い。 20億人以上のユーザーデータベースを活用し、オンライン広告事業を手掛ける事業と、数多くの巨大な物流センターを有し、かつ薄利多売で、地球上のありとあらゆる商品を扱うEコマースとのビジネスモデルの違いだろうか。

    売上が一定とした場合、利益率が上がれば上がるほど、純利益額が上昇し(例①)、株価収益率は下がる(例②)。

    例① 売上:100->100 & 純利益率:10%->12%の場合、純利益額:100*10%=10->100*12%=12。結果、純利益額は10から12に上昇する。

    例② 時価総額:100->100 & 純利益額:10->12の場合、株価収益率:100/10=10->100/12=8。 結果、株価収益率は10から8に下落する。

    各社の純利益率の過去5年間の推移を見ていて、一番ポテンシャルを感じるのは、アマゾンだ。その他の企業は安定しているか、あるいはでこぼこしていて、コンスタントに伸ばしているようには見えない。

    アマゾンは、2015年の0.6%から2019年の4.1%までコンスタントに伸ばしている。しかも純利益率が低い分、1%純利益率を伸ばした時の倍率が高くなる(1%->2%の場合2%/1%=2倍だが、20%->21%の場合、21%/20%=1.05倍にしかならない)。このおかげで、仮に2025年までに現状の4.1%から6.2%に伸ばしただけで純利益が1.5倍になる。それに加えて売上が4倍になったとしたら、両方合わせて4*1.5=6倍も純利益が増えることになる。

    このように、目先で株価が上がっているか/下がっているかだけでなく、各企業の売上と利益率の推移をみることで、より深く株の適正価格を理解できる。

    もう少し現実的な株価予想:

    上記の知識と情報を活かして、もう少し現実的な予測を立てるとしたらどうなるだろうか。以下の条件でシミュレーションしてみる。

    • 2025の株価収益率は全銘柄20倍になる(米国株の平均的な水準)。
    • 2025までの売上年間平均成長率は過去5年間のそれの半分になる。
    • 純利益率は過去5年間の平均と同水準。しかし、アマゾンのみ1.5倍になる。

    果たして2025年の株価予測はどうなるのか。以下株価に影響する各要素の解説。

    • PE Adj:2025年の株価収益率を20倍にするために必要な調整。
    • X Revenue:1/2の売上年間平均成長率で、売上が2025年に何倍になるか。
    • X Net Profit Margin:純利益率が2025年に何倍になるか。
    • Stock Price FCST:株価が2025年に何倍になるか。(上記3つをかけた数字)

    結果は、アマゾンとマイクロソフトは、株価か0.8-0.9倍と現状よりも下落する予測になる。両社ともに現状の株価収益率が約82倍と28倍と高く、2025年までにそれを20倍に下げるためのマイナス調整が必要で、その調整をオフセットできる売上成長と利益率改善がなかった。

    一方で、アリババ、フェースブック、グーグルについては、株価が1.6倍から4倍まで伸びる予測になる。3社ともに、現状の株価収益率は2025年の20倍と既に近しい水準でほぼ調整が必要なかったことと、高い売上成長率が株価を押し上げるドライバーになった。

    アップル、ディズニー、スターバックスについては、株価が1.3倍から1.5倍に上がる予測になっている。3社ともに、現状の株価収益率は2025年の20倍と同水準か低い水準になっていたことで、プラス調整が入った。それに加えて、低成長ではあるものの、売り上げの伸びで更にプラスに転じた。

    上記の分析を受けて、私は予測上株価が一番伸びるアリババ、フェースブック、グーグル株を買った。

    株価収益率(Price Earning Ratio)とは:

    株価収益率は、時価総額/年間純利益で求められる。

    まずは、時価総額について説明する。時価総額=株価×発行済株式数。要するに投資家がつける企業価値と思っていただきたい。企業の業績予測が改善すると、株が買われ、それに伴い株価が上がり、時価総額も連動して上昇する。業績予測が悪化すると、その逆が起きる。

    次に、年間純利益について説明する。1年間分の売り上げから、全ての経費を引き、残った利益に対して税金を払った後に残る、一年間分の最終利益を指している。

    上記の2点を踏まえると、株価収益率=企業価値/1年間分の最終利益と表すことができる。言い換えると、株価収益率とは、投資家が何年間分の最終利益を企業価値と見なしているかになる。

    では、簡単な例を挙げてみたい。時価総額が1億円の会社が、年間2千万円の純利益を出していたら、株価収益率は、1億円/2千万円=5になる。即ち、投資家は5年間分の最終利益をその企業の価値として評価していることになる。

    注意しておきたいのが、結果として同じ最終利益額をあげている同業他社でも、時価総額が大きく異なることがある。例えば、企業A、B、Cの3社が以下の通りの利益額で推移していたとすると、あなたはどの企業に一番投資したいだろうか。

    恐らく、毎年利益額を伸ばしている企業Bではないだろうか。3社共に直近一年間は同じ利益額を稼いでいても、過去実績の傾向とそこから推測する今後の展望を加味して、株の需要が決まるため、株価と時価総額が異なってくる。

    企業Bの場合は、今後も同じペースでの利益額アップを織り込んだ投資家が株を買い、時価総額が1億円以上になる傾向にある。仮に時価総額が2億円になると、株価収益率は、2億円/2千万円=10倍になる。そのような背景を知らずに、企業Bの株価収益率(10倍)を企業Aのそれ(5倍)と比較してしまうと、割高に思えるかもしれない。

    一方で、毎年利益額が下落している企業C株の需要は落ちる。仮に、時価総額が5千万円になったとすると、株価収益率は2.5倍になる。以下にまとめた。

    さて、企業Aの10倍、企業Bの5倍、企業Cの2.5倍。どれが一番割安なのだろうか。どの株も過去実績とそこから推測する今後の展望が織り込まれている今、なかなか判断が難しいのではないだろうか。全企業で株価収益率が5倍だった時は、過去の実績から今後の利益額アップが一番見込める企業Bが一番割安に見えた。しかし、その結果として、企業B株に需要が集中して株価が上がり、企業Bの株価収益率が5倍から10倍に上がってしまった。株価収益率は、このような動きすると思っておいてほしい。

    上記に記載した業績トレンドの影響と合わせて理解いただきたいのが、株価収益率は、業界によって平均値が異なる傾向にある。そのため、各企業の株価収益率の妥当性を理解するには、同業の競合他社と比較するのが良い。全般的な株価収益率の平均値は、一般的な日本の上場企業で15倍、米国企業だと15-20倍、米国テクノロジー系を扱うナスダック総合指数だと30倍近くに跳ね上がる。記事に戻る場合はここをクリック

     

     

    コロナショックで米国株は買いか①ー下落幅と今後の展望から推測

    コロナウイルス感染拡大で世界的な株暴落が起きた。米国株は底値を付けたと表明したアナリストも複数出てきているが、1)米国のコロナウイルス感染収束の見通しが立っていない、2)実体経済への影響も顕著に出始めており、まだ安心できないと考える。これらは既に株価に織り込まれているはずだが、その程度がわからない。このような状況下、どう株投資を進めるか私なりの解釈を共有したい(投資は自己責任でお願い致します)。

    米国株はコロナショックまでは順調に推移していたこともあり、コロナショックの影響を受ける前の水準と比較すると、20-30%程下落している株が多い。以下のグラフは、過去一年間の最高値(52wk High)を100%とした場合、最安値(52wk Low)が何%で、現株価(Current)が何%かを表している。言い換えると、最安値から(グラフ上ブルー)、現時点で(4月3日)どの程度回復しており(グラフ上オレンジ)、最高値に戻るまでどの程度伸びしろが残っているのか(グラフ上グレイ)が見てわかる。勝手ながら、Amazon, Alibaba, Apple, Microsoft, Google, Facebook, Disney, Starbucksを対象にした。これらの企業はキャッシュを潤沢に持っており、当分倒産のリスクはないことから、安心して長期投資ができると判断したからだ。

    もしコロナショックによる経済影響は一過性で、コロナ感染収束後に元の世界に戻るはずと仮定すると、下落幅分回復することになるため、今現在投資することで15%-64%の上昇が見込める(コロナショック前の株価が100%としたら、そこから13-39%下がっており、現在61%-87%で推移しているため、87%–>100%, 61%–>100%に戻すには、現在の水準から15%から64%の上昇幅になる)。

    投資する銘柄選択のキーになってくるのが、1)現状コロナショック中の業績と、2)コロナ克服後の業績の見通しの2点になる。

    上記の2つの観点から、8銘柄を4つのグループに分けて、それぞれ評価してみた。パフォーマンスが良い順に、緑◎->黄緑〇->黄色△->赤×になる。

    Amazon and Alibaba:

    米国と中国を代表するEコマースプラットフォーム。どちらの国も外出が制限されている環境下、必然的にオンラインでの注文が増える。アマゾンは伸びる需要に対応するため物流センターで10万人に採用すると先日アナウンスした。今までEコマースを積極的に活用していなかったユーザーの需要もこれを機に取り込めるのではないか。また、コロナショックで営業を自粛している中小企業のデパートやストアが、資金繰り難で倒産すれば、益々売り上げがEコマースに流れるはず。並行して、両社が手掛けるクラウドサービスもコロナウイルスによるクラウド需要の急増に伴い、成長が加速すると思われる。

    最高値から現水準までの下落幅は13-19%にとどまっており、4つのグループの中で一番コロナショックの影響が限定的。下落率が限定的だが、それ以上にコロナ中もまたコロナ後も業績予測が良好なため、現株価は割安と考える。

    Apple and Microsoft:

    アップルはPCとスマートフォン、マイクロソフトはPCの販売が販売店の自粛で落ちるはず。しかし、今後においては、両社ともにPC事業は好調になるのではないか。というのは、コロナショックを受けて在宅勤務が普及したことで、家で過ごす時間が長くなり、より高品質のPCが欲しくなるのではないか。それに加え、アップルは5G対応のSmart Phone発売が予定されているのと、マイクロソフトは手掛けているクラウドビジネスが引き続き好調で、両社ともに売上アップが見込まれる。

    最高値から現水準までの下落幅は19-26%。アマゾンやアリババほどコロナを追い風にできていないが、コロナ後の世界での見通しは良いため、割安と考える。

    Google and Facebook:

    両社ともにメインがオンライン広告事業。広告業界の大きな流れとしては、オフラインからオンラインへの企業広告予算のシフトが進んでおり、その恩恵を受けてきた。シフトの要因はよりきめ細かい広告のターゲティング設定が可能なことと、圧倒的な費用対効果の良さが挙げられる。しかし、景気悪化に伴う企業広告予算削減を鑑みると、オフライン広告のみならずオンライン広告予算にも悪影響が広がる。そのためコロナ中は業績は悪いのではないか。コロナ後は、広告業界の地殻変動は今後も続くと想定される中、景気が戻れば再び成長軌道に戻るのではないだろうか。また、コロナショックを機に、両社は中小企業に対して無料で広告枠を提供し今後の新規ユーザー獲得に注力している。それに加え、両社とも潤沢な資金を活用し新事業への投資に積極的で、Googleはクラウドサービス、Facebookはインスタグラムを通したEコマースを展開している。

    最高値から現水準までの下落幅は29-31%と比較的大きく落としている。しかし、コロナ後にはオンラインの広告予算は過去同様に成長軌道に戻ると考えれば、割安ではないか。

    Disney and Starbucks:

    この2社は、他のグループと比較すると実店舗への客足で売り上げがより大きく左右される。また、どちらも生活必需品を売っているわけではないため、コロナショック中は自粛により売上を大きく落としているはずである。コロナ克服後も、濃厚接触となりやすいテーマパーク、映画館、コーヒーショップにすぐに客足が戻るかどうかが不透明なので、展望は他3グループと比較するとより危ぶまれるのではないだろうか。ディズニーはテーマパーク事業以外に、TV放送や、ストリーミングサービスを保有しているため、スターバックスよりかは、悪影響が抑えられると考える。

    最高値から現水準までの下落幅は37-39%と一番大きく落としている。コロナショックによる展望の不透明感で敬遠されやすくなっている。この2社のブランド力は圧倒的のため、もし人々の行動パターンが元に戻るのであれば、客足は戻るだろう。

    株を買うタイミング:

    もし1)長期投資ができて、2)既に割安になっていると確信できるのなら、今から投資を始めるべきだが、今すぐ投資可能な全キャッシュを投入すべきなのか。その判断は容易ではない。なぜなら、いつ株価が戻るかはわからないからだ。これから更に下がって、より割安に買える可能性も十分ある。

    そんな中、ドルコスト平均法で、毎月定額購入をすることをお勧めする。そうすることで、今が底値と思い全額を投資してしまった後で、更に株価が下がり後悔するのは防げる(同時に、仮に現在が底値だった場合は、定額購入で分散することで、より高い平均価格で購入することになる)。

    これから1-2か月にわたって世界的に感染者が増えた後でピークアウトして収束に向かうと予測されているので、その間は大きく株価が変動すると思われる。この期間においては、株が急落した時にもう少しまとまった資金を集中して投資するのが良いかもしれない。原則、株価は近未来で起こりうるイベントを織り込み済みのはずだが、大きなニュースが重なる期間は人間心理への影響が大きく過剰反応を引き起こしやすい。

    次回はこれら銘柄を株価収益率、過去5年間の売上と利益率を用いて、割安か否かを判断してみたい。 次の記事:コロナショックで米国株は買いか②ー株価収益率、売上成長率、利益率を用いて検証